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ハルバード使いは異世界を謳歌するそうですよ

超究極キグルミ

22 フリューゲル(6)

「では三日でしたがありがとうございました」

 滞在期間である三日目の昼頃。支度を終わらせてカグヤさんに会いに行った。

「いえいえ。また何かあったらお願いします」
「はい。…そう言えばスクナさんの姿が見えませんが?」

 今いるのはカグヤさんと俺だけでスクナさんの姿が見えない。いつもは近くにいるはずだが。

「昨日の反動が大きくて部屋で寝込んでます。全く秘書として情けない子ですよ」
「まぁたまにはゆっくりさせてあげましょう」
「そうするつもりです」
「コウヨウさん、そろそろ行きましょう!」

 雑談を交わしていると用意ができたムラサキさんが呼びに来る。そろそろ出発だ。

「今いきます。ではまた」
「はい。さようなら」

 と言ってムラサキさんの所へ行く。途中で気になったことがあったので聞いてみた。

「カグヤさんってスクナさんのこと好きですよね?」

 返答はスクナさんと全く同じだった。

「もちろん好きですけど…何か問題ありますか?」


「マスター遅い―」
「ごめんごめん。じゃあ帰ろうか」
「ムラちゃんの故郷だっけ?楽しみ♪」

 アリスはムラサキさんのことをムラちゃんと呼ぶ。最もムラサキさんは気に入ってないらしいが。

「ねぇマスター」
「何?やり残したことでもある?」
「やり残したことは無いんだけど…マスターってワープ使える?」
「一応使えるけど…それがどうした?」
「じゃあさ、マルチホーミング使える?」
「何それ?」
「マルチホーミングは複数の対象をロックして攻撃を当てるサポートをする魔法です。コウヨウさんも使えると思いますよ」

 マルチホーミングか。確かにマルチホーミングがあれば今私がここにいることの証明最終旋風風車のホーミング性能がより高くなる。

「で、マルチホーミングとワープで何しようとしてるんだ?」
「いや…マルチホーミングとワープの複合魔法を使えば早く帰れるのにな。と思ってさ」
「…言われてみればそのほうが早いですね」 
「じゃあその方法で帰るか。マルチホーミング コネクトワープ、えーっと…キャリアー」

 キャリアーにしたのは良いのが思い付かなかったから。ともかく、魔法を発動させると俺を中心にして白い光に包まれた。この感覚はワープの時と似ている。白い光がだんだん消えていき、そこにある風景は何も変わっていないパルテナ王国だった。


「そう言えば何でアリスは蛇神って呼ばれてたんだ?」

 ジャンヌダルクさんの所へ行く途中、訪ねてみた。機械兵器のアリスは蛇とは全く無縁な気がするのになぜ蛇神なのか今更になって疑問になった。

「それたぶん私の機能の一部の威嚇が蛇睨みに似ているからだと思うよ」
「ふーん…試しに俺を睨んでみてよ」
「嫌だー」
「何でだ?」
「だって、コウヨウ君は私のマスターだもん♪」

 そう言いながらアリスは抱き付いてくる。こいつは嬉しいことがあるとすぐ人に抱き付くらしい。最もそれは抱き付いた瞬間に後ろから砲撃するための演技らしい、とカグヤさんが言っていた。

「あ、アリスさん!何やってるんですか!?」

 更に言えば、ムラサキさんもアリスの抱き付く癖には毎回驚いている。こんな茶番をしていると城まで来ていた。

「ちょっと待っててください。…アリスさん、勝手に抱きついちゃ駄目ですよ?」
「わかったー。出来る限りの努力はしてみる」
「絶体やめてください!」

 ムラサキさんは少々起こったようすで門番に話し掛けに行った。しばらく見ているとアリスが耳打ちをしてきた。

「マスター。ジャンヌダルクっていう人怖い?」
「あー、うん。人によって感じ方違うけど考えてることは怖い」
「そっか。じゃあ最悪迎撃してもいい?」
「それはやめとけ。国際問題になる」
「つまんないの。ジャンヌダルクさん、決闘とかしてくれないかな…」
「でも昔は戦場で剣を振ってたらしいぞ」
「でもそれって昔の話でしょ?」
「でも凄くないか?戦場で剣を振ってた人が今では陛下だぞ」
「マスター。良いこと教えてあげる」

 いつにもましてしんみりとした声でアリスは言う。

「…昔とか思い出なんて所詮は空想と現実がごちゃ混ぜになったスープみたいなもの。そんなもの、マスターは食べたいと思う?不確定な味のスープを本当に食べる気になれる?」
「…」
「…ごめんマスター。言い過ぎた」
「不確定な味か。中々いい表現だな、昔とか思い出の比喩表現としては」
「マスター?」
「でも、生き物は過去を振り返らないと絶体に先には進めない。それは機械兵器だろうが人間だろうが一緒。もし、不確定なごちゃ混ぜのスープがあるとしたら…」

 ムラサキさんが話を着けたらしく戻ってくる。城門が開き中に入る瞬間、アリスにこう言った。

「…そこに今とか未来って言う調味料を加えるんだよ」
「…クスッ」
「えーっとアリス?笑わないでくれる?言ったこと思い出すとただのカッコつけにしか思えなくなってきたから」
「…マスター」
「どうした?」
「その考え方とか全部丸めて…面白い」
「ところでアリスさんとコウヨウさんはさっきから何の話をしているんですか?」
「何でもないです」
「何でもないよームラちゃん」



 

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