ハルバード使いは異世界を謳歌するそうですよ
3 魔法の手引き書
あの事件から早二日。ムラサキさん達は大臣を追い詰め追放に成功したらしい。そのとき俺は国家事情に関わりたくない一心でその場をあとにした。逃げたんじゃない、未来を考えた叡知ある行動だ。
あのあと、ムラサキさんとは会っていない。また国王中心の政治が行われるのだからそれの準備だろう。…どこかの天皇の建武の新政のようにならなければいいが。そして今、俺は何をしてるかと言うと…
「ファイア」
魔法の練習中だ。それも魔法を練習する気になったのは数時間前の些細な行為だ。ハルバードの練習をするために門に向かっていたときのこと。裏路地で一人の老人が若い男三人にかつあげされていた。なんとなく助けたくなったのでハルバードの柄で腹を突っついた。そしたら全員腹を抱えて逃げていった(このあと岩に同じことをしたら粉々になった)。んでもって、その老人からもらったのが魔法の手引きというタイトルの本だ。せっかく貰ったのだから練習しよう…それで今練習している。ちなみに今の段階ではテレポートを覚えた。簡単に言えばワープの上位互換だ。
「あれ?発動しない」
この世界の魔法というのは適正とかではなくイメージが必要になる。例えば初級魔法のウォーター。地面から水を吹き上げる魔法の場合噴水をイメージすればできる。ちなみに高度の魔法ほどイメージが必要だ。
「もう一度。ファイア」
ファイアは火属性の初級魔法で何もないところに小爆発を起こす魔法。何もないところからの爆発…と考えたときに水素爆発を思い付いた。しかしあと一歩のところで消えてしまった。果たして今回は、
ドカン!
「よし!」
少し強めにイメージしたらできた。しかしこの本にはまだまだ沢山のまほうが載っている。パラパラっとめくってみると気になるページを見つけた。
「金属製武器のコピーさせる魔法アームコピー?」
アームコピー。分類は金属で名前のまんまで武器をコピーする魔法。これが使えればハルバード両手持ちが可能になる。筋力については神様のお墨付きなので大丈夫だろう。
「やってみますか。アームコピー」
ボンッ!という音と同時にハルバードが二つになる。この魔法はイメージはあまり要らないらしい。切れ味も変わっていない。
「他にないかな…あ、これ面白そう。えーっと、ポルガイスター?」
ポルガイスター。分類は念属性で指定物を発動者が魔法を切らない限り浮かび上がらせる魔法。ポルガイスターっていうのはポルターガイストの略だろう。試しにコピーしたハルバードにフォーカスする。
「ポルガイスター」
すると二つのハルバードは空中にフワッと浮かび上がってその場を漂っている。
「おお!これも面白い!」
調子に乗ってくるっと一回転する。するとポルガイスターで浮かび上がっているハルバードも一回転してすぐそこまで迫っていたブルーウルフを一刀両断…いや、二刀両断した。
「…これってもしかして」
夜が開けて城下町に繰り出す。今日は魔法とハルバードの練習を中止して城下町に来ている。なぜかと言えば下らない理由だ。ムラサキさんに手伝いの依頼の手紙が届いたからだ。依頼というのは簡単で稽古の相手をしてほしいとのこと。場所は騎士団の詰所。なぜか蜂蜜を持ってきてくれと書かれていた。
「…ここって本当に詰所か?」
地図に指定された場所にいくとそこにはただのログハウスしかなかった。鍵は空いているのは確認したが間違っていたら…
「コウヨウさん」
後ろから聞き覚えのある(知り合いなんてまだ片手で数えられるぐらしかいないが)声が聞こえた。
「こんにちはムラサキさん。ここって本当に詰所ですか?」
「ええ。入りましょう、皆待っていますよ!」
「皆って誰ですか?てか引っ張らないで!」
引っ張られるまま詰所なるログハウスに強制連行された。
「ほんとだ…」
ログハウスのなかは外見からは考えられないぐらいに広かった。ムラサキさん曰く空間拡張魔法を使える騎士がいるらしい。部屋の真ん中まで来るとムラサキさんは剣を抜いて
「ではお願いしますね…といきたいんですがその前に団長代理が小見柄になっているので」
扉の方に向くとそこには白い髭をはやしたお年寄りがたっていた。
「あの方が騎士団団長代理のログナルド・ナポレオン様です」
「ログナルド・ナポレオンだ。今日はご足労ありがとう。刃物の悪魔君?」
「麻生甲陽です。刃物の悪魔なんて呼ばれる覚えはないのですが?」
突如詰所がざわつき始める。あれ?禁止用語だったか?
「君今朝の新聞は?」
「読んでないですが?」
ナポレオンさんは懐から新聞の一面を出して差し出してきた。
「見出しは…『平野にて大量のハルバードを振り回しながら踊る悪魔出現!?』って昨日の俺じゃん」
昨日アームコピーとポルガイスターを覚えた時に思い付いた戦法。それは、ハルバードをできるだけアームコピーで増やしてハルバードを両手持ちにして残りをポルガイスターで浮かび上がらせて振り回すという戦法だ。火力も範囲も十分なのでしばらく試していたらこんな騒ぎになっていた。
「まぁ、今さらこんなこと気にしてられないですし。サクッと始めましょうか、勝負」
「余裕ですね…でも負けないですよ!」
「ではレフェリーは私がやろう。勝負開始!」
「はぁっ!」
勝負開始とほぼ同時にムラサキさんは突撃してくる。まぁ読みの通りですがね?落ち着いて回避して…仕掛ける!
「アームコピー:数量50!」
回避からワンテンポ遅れてハルバードを五十個に増やす。その気になれば千は越えるだろうが五十個程度にしておく。
「これでどうだ!」
アームコピーの隙を見つけて垂直斬りを出してくる。右手のハルバードで受け止め、左手のハルバードで腰をえぐる勢いで斬りにかかる。
「ウィンドッ!」
あと少しのところで風魔法によって距離をとられるが好都合だ。
「ポルガイスター!」
瞬間、床に落ちていたハルバードが全て浮かび上がり俺の回りを囲む。
「決めてやるッ!」
回りながらハルバードを振る。それにあわせて他のハルバードも動き始める。それに対抗すべくムラサキさんは剣を両手で持って防御姿勢の構えをとるが、ハルバード五十個の連続技に耐えられるわけもなく勝敗は俺についた。
あのあと、ムラサキさんとは会っていない。また国王中心の政治が行われるのだからそれの準備だろう。…どこかの天皇の建武の新政のようにならなければいいが。そして今、俺は何をしてるかと言うと…
「ファイア」
魔法の練習中だ。それも魔法を練習する気になったのは数時間前の些細な行為だ。ハルバードの練習をするために門に向かっていたときのこと。裏路地で一人の老人が若い男三人にかつあげされていた。なんとなく助けたくなったのでハルバードの柄で腹を突っついた。そしたら全員腹を抱えて逃げていった(このあと岩に同じことをしたら粉々になった)。んでもって、その老人からもらったのが魔法の手引きというタイトルの本だ。せっかく貰ったのだから練習しよう…それで今練習している。ちなみに今の段階ではテレポートを覚えた。簡単に言えばワープの上位互換だ。
「あれ?発動しない」
この世界の魔法というのは適正とかではなくイメージが必要になる。例えば初級魔法のウォーター。地面から水を吹き上げる魔法の場合噴水をイメージすればできる。ちなみに高度の魔法ほどイメージが必要だ。
「もう一度。ファイア」
ファイアは火属性の初級魔法で何もないところに小爆発を起こす魔法。何もないところからの爆発…と考えたときに水素爆発を思い付いた。しかしあと一歩のところで消えてしまった。果たして今回は、
ドカン!
「よし!」
少し強めにイメージしたらできた。しかしこの本にはまだまだ沢山のまほうが載っている。パラパラっとめくってみると気になるページを見つけた。
「金属製武器のコピーさせる魔法アームコピー?」
アームコピー。分類は金属で名前のまんまで武器をコピーする魔法。これが使えればハルバード両手持ちが可能になる。筋力については神様のお墨付きなので大丈夫だろう。
「やってみますか。アームコピー」
ボンッ!という音と同時にハルバードが二つになる。この魔法はイメージはあまり要らないらしい。切れ味も変わっていない。
「他にないかな…あ、これ面白そう。えーっと、ポルガイスター?」
ポルガイスター。分類は念属性で指定物を発動者が魔法を切らない限り浮かび上がらせる魔法。ポルガイスターっていうのはポルターガイストの略だろう。試しにコピーしたハルバードにフォーカスする。
「ポルガイスター」
すると二つのハルバードは空中にフワッと浮かび上がってその場を漂っている。
「おお!これも面白い!」
調子に乗ってくるっと一回転する。するとポルガイスターで浮かび上がっているハルバードも一回転してすぐそこまで迫っていたブルーウルフを一刀両断…いや、二刀両断した。
「…これってもしかして」
夜が開けて城下町に繰り出す。今日は魔法とハルバードの練習を中止して城下町に来ている。なぜかと言えば下らない理由だ。ムラサキさんに手伝いの依頼の手紙が届いたからだ。依頼というのは簡単で稽古の相手をしてほしいとのこと。場所は騎士団の詰所。なぜか蜂蜜を持ってきてくれと書かれていた。
「…ここって本当に詰所か?」
地図に指定された場所にいくとそこにはただのログハウスしかなかった。鍵は空いているのは確認したが間違っていたら…
「コウヨウさん」
後ろから聞き覚えのある(知り合いなんてまだ片手で数えられるぐらしかいないが)声が聞こえた。
「こんにちはムラサキさん。ここって本当に詰所ですか?」
「ええ。入りましょう、皆待っていますよ!」
「皆って誰ですか?てか引っ張らないで!」
引っ張られるまま詰所なるログハウスに強制連行された。
「ほんとだ…」
ログハウスのなかは外見からは考えられないぐらいに広かった。ムラサキさん曰く空間拡張魔法を使える騎士がいるらしい。部屋の真ん中まで来るとムラサキさんは剣を抜いて
「ではお願いしますね…といきたいんですがその前に団長代理が小見柄になっているので」
扉の方に向くとそこには白い髭をはやしたお年寄りがたっていた。
「あの方が騎士団団長代理のログナルド・ナポレオン様です」
「ログナルド・ナポレオンだ。今日はご足労ありがとう。刃物の悪魔君?」
「麻生甲陽です。刃物の悪魔なんて呼ばれる覚えはないのですが?」
突如詰所がざわつき始める。あれ?禁止用語だったか?
「君今朝の新聞は?」
「読んでないですが?」
ナポレオンさんは懐から新聞の一面を出して差し出してきた。
「見出しは…『平野にて大量のハルバードを振り回しながら踊る悪魔出現!?』って昨日の俺じゃん」
昨日アームコピーとポルガイスターを覚えた時に思い付いた戦法。それは、ハルバードをできるだけアームコピーで増やしてハルバードを両手持ちにして残りをポルガイスターで浮かび上がらせて振り回すという戦法だ。火力も範囲も十分なのでしばらく試していたらこんな騒ぎになっていた。
「まぁ、今さらこんなこと気にしてられないですし。サクッと始めましょうか、勝負」
「余裕ですね…でも負けないですよ!」
「ではレフェリーは私がやろう。勝負開始!」
「はぁっ!」
勝負開始とほぼ同時にムラサキさんは突撃してくる。まぁ読みの通りですがね?落ち着いて回避して…仕掛ける!
「アームコピー:数量50!」
回避からワンテンポ遅れてハルバードを五十個に増やす。その気になれば千は越えるだろうが五十個程度にしておく。
「これでどうだ!」
アームコピーの隙を見つけて垂直斬りを出してくる。右手のハルバードで受け止め、左手のハルバードで腰をえぐる勢いで斬りにかかる。
「ウィンドッ!」
あと少しのところで風魔法によって距離をとられるが好都合だ。
「ポルガイスター!」
瞬間、床に落ちていたハルバードが全て浮かび上がり俺の回りを囲む。
「決めてやるッ!」
回りながらハルバードを振る。それにあわせて他のハルバードも動き始める。それに対抗すべくムラサキさんは剣を両手で持って防御姿勢の構えをとるが、ハルバード五十個の連続技に耐えられるわけもなく勝敗は俺についた。
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