根暗勇者の異世界英雄譚Ⅲ 〜闇魔法を操る最弱な少年の話〜

雨猫

Ep3/act.1 ステータス


僕たちは、セルヴィアの復旧作業を手伝う片手間に、次の目的地を話し合っていた。

「次に行くとすれば、竜人の国かもう一つの魔法の国が近い。ただ、竜人の国に降り立った転移者ならば、空を飛んで移動ができる為に、まだ国にいる可能性は低いな」

シンスケさんは、過去の経験から話を進める。僕たちも真剣にその話を聞いた。
すると、勢いよく部屋のドアが開いた。

「うい〜〜っす。待たせたね」

勢いよく入って来たのは、今まで散々行方をくらませていたアスラだった。

「アスラ!今までどこに…」

「怒るのも分かるけどタイム。話すと長くなるが、私は住人を助けながら散り散りの魔族たちを蹴散らしていたんだ。そして、帰りが遅くなったのはバドムのとこにいたから」

「バドムさんが何故ここにいるって分かったの?それに、どうして僕と離れて勝手に…」

「サクラ、色々あったのは城の中を見れば分かるが、一旦落ち着いて聞け。順を追って説明しよう。私たち魔族ってのは魔力レベルが肌で感じて分かるんだ。アンタが転移者なら、指揮官くらい今のアンタ一人で倒せなきゃ今後ダメになる。それよりも、アンタたちが向かってなかった他の場所に行って他の住人たちを助けてたんだ」

この意見にはシンスケさんも納得と言った具合だった。
事実、僕らが目を見やってなかった他の場所から負傷者は誰一人出ていなかった。

「そして、バドムの場所が分かったのは気配だ。アンタらには話してなさそうだったが、アイツは元々魔族で、指揮官以上の実力者だ」

これには僕も、流石のエドさんも驚いた様子だった。

「そんなバドムからある物を貰ってきた。実は、私たち魔族以上に魔力レベルを感じやすいのが、そこのおチビの獣人だ。しかし、感じると言っても数値化して私たちに伝えることは出来ない。ナビゲーターなら敵の強さを把握して私たちに伝えることも今後は必要になる。だから、魔力レベル、そして様々なステータス、総合値を数値化できるアイテムを貰ってきた」

ガゼルはアスラから、首輪のようなものを貰い、それを首に着けた。

「首根っこにあるボタンを押してまずは私のステータスを見てみろ」

ガゼルは言われるがままに行動した。

「えっと、
【魔150 攻20,700 防13,000 総33,850】
って書いてある」

「よし、そしたらサクラから順に全員のステータスを言え、それをアンタらは目安にするんだな」

サクラ
【魔2,500 攻50 防350 総2,900】

エド
【魔800 攻1720 防1500 総4,020】

シンスケ
【魔34,000 攻26,700 防14,000 総64,700】

ヘンリー
【魔5,200 攻20 防100 総5,320】

「まあ、今のアンタらじゃこんなもんだろうね。指揮官は総合値10,000はあるだろう。サクラの戦ったガリアでも20,000はある。よく死ななかったと褒めるべきだが、そんな悠長なことは言ってられない。私たち幹部なら100,000を超える者もいる。早急に強くならねば」

シンスケさんとアスラのステータスを聞くと、随分と先の長そうな話に見えた。

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