根暗勇者の異世界英雄譚Ⅲ 〜闇魔法を操る最弱な少年の話〜

雨猫

Ep2/act.15 魂吸収ガリアvs覚醒サクラ


魔力が溢れ出てくるのが分かった。
闇のオーラが僕を包む。
気持ちがいい。気持ちがいい。気持ちがいい。

涙は出ていない。笑っているわけではない。
怒っているとも違う。ミカエルが死んだ。

「この魔力量は…ちょっと怖いですね」

ガリアが何か言っている。
僕が怖い?そんなわけないでしょ。
僕は人間で、君は魔人なんだ。
恐ろしい、魔人なんだよ。

でも、ああ。

「僕も、今の僕はちょっと怖い」

僕の目を見たガリアが一歩引いた。
魔人への恐怖心はどこかに消えた。

「ねえ、今から君を殺すよ」

僕は手から大量の魔力を放出させた。
技なんて大層なものじゃない。
ただ、魔力を集中させ、解き放った。

城に大きな穴が開いた。
ガリアの姿はなかった。

すると、住人たちはバタバタと倒れた。

「せっかくの覚醒も残念ですが、私も本気で戦わせて頂きます。結局、あなたは住人を救うことは出来なかった」

ガリアは住人たちの魂を食べていた。
みるみる内に体は膨れ上がり、おぞましい姿へと変身した。

「救えなかった。ならもう、彼らに気を使わなくてもいいんだね」

「僕が復讐をしてあげる」

城を包み込むほどの黒いホールを展開させ、全ての死体を吸収した。

「君は魂を食らうんだね。僕は死体を吸収してエネルギーにするんだ。どちらの力が上かな」

体から漏れ出る魔力が僕を包んだ。
ガリアは僕を恐れたのか叫んだ。

「洒落臭い!私の最大魔法でこの城ごと吹き飛ばしてあげましょう!!」

僕には恐れはなかった。

残滅の閃光スピリット エクスプロージョン

巨大な黒い塊が押し寄せる。

「やっぱり、君は僕より強いよ。僕はこんな真似できない。城を丸ごと破壊しちゃうような技なんかない。でもね、僕は君を殺せる」

ふっとジャンプし、ガリアの横に現れる。

「サヨナラだね」

ガリアの頰を殴りつけ、城の地面に叩きつける。そして、今ある最大の魔力を放出した。

やっぱり、アスラの戦闘を見て分かった。
技を繰り出した対象を気絶させるとその技は消滅するんだ。
巨大な黒い塊は消え去り、立ち込める砂煙の中にもどこにも、ガリアの姿はなかった。





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