根暗勇者の異世界英雄譚Ⅲ 〜闇魔法を操る最弱な少年の話〜

雨猫

Ep2/act.13 襲いくる住人たち


※ここからはサクラ視点に戻ります。


城門にはエドさん、城下町にはシンスケさん、城内に敵は来ないだろう。
情けなくとも安心してしまっていた。

いざって時もアスラがいるし…っていない!?

一緒に向かってきていたはずのアスラの姿がどこにもなかった。
どこかではぐれたのかな…こんな状況でさっきみたいな指揮官と出くわしたらヤバい…。
そんなことを考えながらも城内へと急いだ。

城内では避難した住人たちがウロウロ歩き回っていた。
みんな不安で落ち着かないのかな…。

そう思って近付くと ドゴッ!
鈍い音と同時に口元がじんわり熱くなる。

「痛っ…なんだ…」

僕は村人の一人に殴られていた。
すると僕を囲うように村人が集まってきた。

「皆さん!僕は魔族じゃないですよ!皆さんを助けに来た転移者の一人です!」

誰一人として聞く耳を持たなかった。
すると、奥の方から声が聞こえた。

「違いますよ転移者さん。皆さんはもう助からないので、助けられてないです」

「どういうことですか」

「ここにいる人たちの魂は既に私の支配下。彼らは私の操り人形になったんです」

操り人形…?じゃあこの人たちは意識のないまま僕のことを襲っているのか。

「ならまだ助けられるはずですよね。あなたを倒せば、ここの人たちは操られない」

「その通りですが、私の元まで辿り着けるでしょうか?彼らは私の命を最優先に動きます。ここに避難した何十人を相手に、それらを全て戦闘不能にして私を倒す。果たしてそんなことが出来るでしょうか」

僕は相性のいい敵だと思った。
これなら僕の力だけで倒せるかも知れない。

そう、僕には人の精力を意識を失うまで奪い取ることが出来る能力がある。

よし…。
息を吸い込んで自分の周りに黒いホールを展開させた。

「少しだけ、休んでいてください」

僕はその場にいる全員の足元に黒いホールを展開させ、精力を奪い取った。
意識を失った村人はバタバタと倒れて行った。

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く