裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚

葉月二三

326話



とりあえず地下14階までは俺1人で1体ずつ倒してみたんだが、テンコを体内にいれている状態なら、油断さえしなければ問題なく倒せた。
もちろんイーラたちにも試させたが、1対1なら普通に戦えていたな。でも、アリアは地下5階くらいで1人での戦闘を遠慮していたし、俺の体感的にもたしかに他のダンジョンの同じ階層よりは魔物が強かったとは思う。だが、パーティーなら苦戦することはないだろう。それなのにウサギ、サーシャ、ヴェル、ニアの4人パーティーで地下15階を攻略出来なかったってことはいきなり魔物が強くなるってことか?

「地下15階はどんな魔物なんだ?」

「メタルウルフだね。攻撃力はたいしたことないから当たってもダメージはほとんどないけど、重いくせに動きが速くてすぐ距離を取るから、こっちも攻撃が出来なくてね。軽く当てるだけだとそれなりに硬いからダメージを与えられないし、厄介な魔物だったよ。」

「それはヴェルさんが龍族だからダメージを負わないだけです。メタルウルフは重量があるので、突進されるだけでも普通の人なら骨が粉々になってもおかしくありません。それなのに素早さはウルフ以上で、表皮の硬さはアイアンゴーレム並みですから、自分たちではうまく倒せませんでした。申し訳ありません。」

「ニアがいっても説得力がないのぅ。昨日はメタルウルフの突進に対して平気な顔して微動だにせんどころか、大盾で押し返しておったではないか。おかげでメタルウルフが突進しながら潰れるなどという珍しい姿を見れたがの。」

「サーシャだって何体か倒してたんだからいいじゃん。ウチは速度で勝てても攻撃が全く通じてないから、倒しようがなかったし…。」

昨日探索した4人がそれぞれ答えてきた。
話を聞いた感じではなかなか強そうな魔物だな。
まぁ強いのは間違いないだろうが、攻略できなかった理由としては4人と相性の悪い魔物だったって方が正しいそうだが。

ヴェルとニアは相手の速さについていけず、速さに対応できたサーシャとウサギの攻撃はほとんど相手に通じなかったんだろう。だからといってスルーして進めるような相手でもないから、何体か倒してからの撤退を選んだってところか。
判断としては正しいな。へたに無理して死なれる方が問題だ。

「ここまで進めといてくれただけで十分だ。強い相手ならいい練習になるし、自分で戦わないとレベルの上がりも悪いしな。ちなみにここって何階層まであるんだ?」

昨日の攻略メンバーに確認したつもりだったんだが、反応したのはアリアだった。

「…冒険者ギルドの情報では地下41階までしか攻略されていないようなので、何階まであるかはわかりません。」

全員がギルドに報告するわけでもないだろうから、実際はもうちょい攻略されてるかもしれないが、思ったより攻略されてないんだな。
この辺は魔物が強いから強いやつらが集まるって聞いた気がするんだが、もしかしてダンジョンはあんま人気がないのか?
いや、よくよく考えたら強いやつは特殊なジョブについてたりするだろうし、ジョブが冒険者じゃないと便利なスキルが使えないから、ダンジョンに潜る利点があまりないのかもしれないな。

「まぁまずは地下15階だな。あんま先を考えたって、そこまで行けるかわからんし。ってことでニア、頼んだ。」

「はい。」

近くに魔物がいないことを確認してからニアにリスタートを使ってもらい、地下15階へと下りた。
今回はマップ埋めをしてはいないが、これで俺も地上1階から地下15階まで好きなところに行けるな。

「というか、雑魚の魔物を倒してもたいした経験値にならないだろうし、そのうえ他の冒険者からなんかいわれんのも面倒と思って、浅い階層では魔物を少しだけ倒して他はスルーしたが、さっきの話を聞いた感じだともしかしてマップ埋めしながら掃討してもよかったのか?」

「…問題はないと思いますが、地下20階までは冒険者ジョブのパーティーでも対応できるらしいので、面倒ごとを避けるのであれば地下20階以降からにした方がいいかと思います。とくにこの階層のメタルウルフは素材がそれなりの値段になるそうなので、Aランク冒険者の稼ぎ場だそうです。」

「Aランク程度の冒険者が倒せる魔物を僕が倒せないと思われるのは不快だから、再戦させてもらえないかな?」

アリアから追加の情報を聞き出していたら、ヴェルが不機嫌そうな顔で頼んできた。

「べつにいいけど、俺らも普通に戦うからな。」

「ありがとう。メタルウルフより僕の方が格段に強いことを示せればいいから問題ない。」

俺が許可を出すと、ヴェルはニカッと爽やかに笑った。
自分の力に自信があるのは悪いことじゃないんだが…………まぁいいか。

「そんじゃあとっととメタルウルフとやらを探しに行くか。セリナ、どっちに行けばいいかわかるか?」

「どっちに向かってもいっぱいいるから、メタルウルフを探すだけにゃらてきとうに進んで大丈夫だと思うよ〜。そもそもこっちから向かわにゃくても、向こうから来てくれたみたいだしね。」

リスタートの出口である階段の前からそろそろ進もうかと思ってセリナにメタルウルフの居場所を確認したら、向こうから向かってきてくれてるらしい。
探す手間が省けていいな。

「何体かわかるか?」

「最初は5体だね〜。魔物自体は思ったほど強くにゃいかも?強くはにゃいけど、話を聞く限りでは硬くて速いのが厄介にゃ魔物って感じかにゃ〜。」

耳と鼻をピクピクさせながら緊張感のない報告をしてきたセリナだが、戦闘は真面目にやるつもりのようで、まだメタルウルフは見えていないのに短剣を2本とも抜いて構えをとった。

俺もセリナが向いている通路の方に意識を向けると、そこまで大きくない銀色の狼っぽいのが緩やかなカーブの先から姿を現した。

まだ遠いが、この速度ならすぐに接敵するだろう。

この階層はメタルウルフとやらが動きやすいようになのか、道幅がかなり広く、5体のメタルウルフが横並びで走ってもだいぶ余裕があるようだ。まぁ俺たちにとっても広いのは都合がいい。

横並びだったメタルウルフの内1体が少し前に出てきたから、それの相手は俺がしようかと思ったんだが、俺が踏み出す前にヴェルが走っていった。まぁ5体もいるから、最初はメタルウルフとの戦闘経験のあるヴェルに任せて見学でいいか。

ヴェルはメタルウルフへと真っ直ぐに進み、腰より少し高い位置にあるメタルウルフの頭を上から殴りつけるモーションに入ったところで右腕を巨大化させ、そのまま殴り潰した。
潰されたメタルウルフは一応寸前で避ける動作を取っていたが、反応が遅れたようで巨大な拳の範囲外に抜けきれずに腹から尻尾の先までがぺしゃんこになった。頭だけは避けられたようだが、後ろ半分が潰れたことで生き絶えたようだ。

硬いと聞いていたが、普通に潰れたな。

簡単に殺したように見えるのになんで攻略できなかったのかと不思議に思っていたら、他のメタルウルフは散開して距離をとっていた。
もしかして1体が潰されたことで警戒する程度には知能があるのか?

距離を取られたことなど関係ないとばかりにヴェルが散らばった内の1体のメタルウルフに狙いを定めて近づくと、狙われたメタルウルフがステップを踏むように後退し、他のメタルウルフが死角からヴェルへと近づいた。

ヴェルは狙った相手が離れたからか、急に振り向いて死角に回っていたメタルウルフに狙いを変えて殴りかかった。だが、あらためて狙われたメタルウルフは素早く距離を取り、狙われていないメタルウルフがヴェルに突進しながら腰に噛みついた。

重量で負けているみたいで、ヴェルはメタルウルフとともに転がっていった。
ゴロゴロと転がろうがメタルウルフはヴェルに噛みついて離れないから、普通なら噛みちぎられてもおかしくないのかもしれないが、ヴェルの腰には牙が食い込めていないっぽいな。

ヴェルは起き上がりながら腰に噛みついているメタルウルフの首に腕を回し、暴れるメタルウルフを気にもせずに絞め殺した。
捕らえられたメタルウルフ以外も引っかき攻撃をヴェルに仕掛けているが、それは効いてなさそうだな。

ヴェルが殺したメタルウルフを放った瞬間の無防備な背中に他のメタルウルフが突進してきて、ヴェルは耐えられずに吹っ飛ばされた。
数回転がりながらも勢いが止まったところで即座に起き上がったヴェルを見て、追撃しようとしていたメタルウルフが距離を取った。

他のメタルウルフも距離を取り、今度は唸るだけで近づきはしないみたいだ。突進以外は効果がないと気づいたから、隙でも狙ってんのか?
ただ、なぜかヴェルもすぐには近づかずに狙う相手を選んでいるようだ。

「次のメタルウルフの群れが来てるよ。今度は6体だね。」

なんとなく俺らは参戦せずにヴェルの戦闘を見ちまっていたせいで、最初の5体を倒しきる前に次のメタルウルフの群れが近づいてきちまった。

後からきたメタルウルフは少し離れたところで止まり、同族の死体を見てからヴェルや俺らに視線を移したように見えた。同族を殺されたことに怒ったか?
いや、死体の殺され方でヴェルの戦い方を予想したのかもな。後からきた6体はいきなり突っ込んでくることもなく、警戒しながらヴェルの間合いの外を囲むように移動し始めた。といっても、俺たちには近づきすぎないようにもしてるみたいだから、完全にヴェルを囲むことはできてねぇけど。

「メタルウルフは一度完全に全滅させないと、こちらの戦闘方法を学習してしまうようです。昨日は初めこそ問題なく戦えていたのですが、途中から同じ方法では倒しづらくなっていきました。メタルウルフが学習するということに気づいた時には集まりすぎてしまっていたために全滅させることが叶わず、撤退せざるを得ませんでした。ですが、1体目がヴェルさんに簡単に倒された姿を見る限り、1日経てば忘れてくれるようですね。」

俺が参戦せずに立ち止まっていたから、他のやつらも俺のそばで立ち止まって観戦していたんだが、ヴェルが動きを止めたところでニアが近づいてきて昨日メタルウルフと戦ったときのことを教えてくれた。

合流してきた追加のメタルウルフは状況を目にしただけで対応したのに、一度集まってきたやつらを全滅させるとリセットされるっていうのか?
よくわからんな。
もしかして追加で来たやつらは状況を見て判断したわけじゃなくて、もともと戦ってるやつらと意識共有でもしたのか?

少し様子見をしていたヴェルが1体に狙いを定めて前に出ると、狙われたメタルウルフは回避し、他のメタルウルフが近づいていく。その近づいてきたメタルウルフに狙いを変更すると、今度は狙われたメタルウルフが距離を取り、狙われていないメタルウルフが突進してヴェルを吹っ飛ばした。

これはたしかに戦いづらいな。
ヴェル自身は無傷っぽいけど、攻撃を当てられなければ倒せないし、無視して進もうにもちょいちょい吹っ飛ばされてたら進むに進めないって感じか。

ヴェルは敵を叩き潰すことが出来るのに吹っ飛ばされるんだな。上から叩き潰すにはそれなりの重さがなけりゃ不可能だと思うんだが、レベルやステータスの恩恵ってやつか?

「このままヴェルに任せてたら時間が…。」

観戦をやめて参戦するぞと伝えようとしたところでヴェルが龍の姿に戻りやがった。
ヴェルはまだ龍にしては小さく、このダンジョンは道が広いから龍の姿でも動き回ることは出来るだろうが、共闘するにはさすがに邪魔なサイズだ。だからもうしばらくは参戦せずにビキニアーマーを着た龍の戦闘を見ることにするか。さすがにこれなら倒せるだろうし。

ヴェルは高速で回転して尻尾を振るったが、メタルウルフは警戒していたからか跳んで避けた。だが、メタルウルフが必要以上に高く跳んだことで、着地前にヴェルに接近され、潰された。正確には爪で切り裂こうとしたが、切り裂けずに地面に押し潰しながら爪を食い込ませたといった感じだ。

それを見た他のメタルウルフがすぐに俺らとは反対側に向かってヴェルから大きく距離を取った。これがヴェルの狙いだったのかはわからないが、ヴェルは喉に魔力をタメ始めた。そして、全てのメタルウルフがまとまったところに火を吹きかけた。

ヴェルが吹いた火は俺らとは反対側に向かっていっているのにクソ熱い。前にも似たようなことがあった気がするんだが、デジャヴか?いや、前にダンジョンでの『龍の息吹』は禁止したような気がするんだが気のせいか?

いくら広いといっても地下でこれだけの炎が使われたのに熱いだけで息苦しくはならないってのは不思議な感じだ。もしこれで俺らが酸欠なんてなってたら、ヴェルにブチ切れるところだったな。

じんわりと汗をかき始めたところでヴェルが吹く炎が止まり、黒焦げのメタルウルフたちの姿が露わになった。
それを確認したヴェルは満足そうに鼻息を吹いた後に人型へと戻った。

「これで僕の方が強いのはわかってもらえたかな?」

「こんな狭いところで『龍の息吹』なんか使うんじゃねぇよ。熱いだろうが。」

「っ!?す、すまない。」

「べつにヴェルが強いのはわかってるから、いちいち見せつけなくていい。今日は全員のレベル上げと戦闘訓練に来てるんだから、1人で戦うんじゃなく共闘するつもりで戦え。」

「はい…。」

ドヤ顔だったヴェルの顔が少しだけ悲しそうに歪んだ。
まぁ途中で止めずに観戦してた俺も悪いかもしれんから、これ以上文句をいう気はないが。

「次来たよ〜。」

わずかに重くなった空気を紛らわすように、セリナが間の抜けた声で次の敵が近づいて来ていることを知らせてきた。

「初っ端に突進がきたらニアに任せる。漏れたのを俺とヴェルで対処。残りは各自判断に任せる。」

「はい!」

作戦ともいえない簡単な指示を出し、全員の返事とともにニアが先頭に立ったところで次のメタルウルフたちが姿を現した。

やっぱり一度全滅させるとリセットされるらしく、4体のメタルウルフの内の1体が速度を上げて突進してきた。
それに合わせてニアが大盾を一度引き、殴るように押し出した。

ゴチャッと硬くて柔らかいものを潰したような不快な音がダンジョン内に響いたことで、残りのメタルウルフの内1体が下がって距離を取り、もう2体はニアから距離を取りながら左右から回り込んできた。

「ヴェルは左を頼む。」

「はい。」

俺がメタルウルフの前に出ると相対したメタルウルフが唸りをあげて近づいてきた。メタルウルフの攻撃方法は噛み付くか引っ掻くか突進くらいしかないだろうから、そのどれがきても対応できるように構えをとると、メタルウルフもギリギリまで俺の動きを見ながら、無駄に飛びかかることもなく駆けてきた。

メタルウルフがかなり姿勢を下げた。意識が俺の足に向いているっぽいし、左足の脛あたりに噛み付くつもりだろう。
俺はブーツタイプの足装備をしているから脛をかじられても問題ないと思うんだが、こいつはブーツごと牙で貫く自信でもあるのかね。

予想通りメタルウルフが口を開いて牙を剥いたから、俺は左足を軸にして、右足でメタルウルフの左頬を蹴りつけた。

タイミングはドンピシャなんだが、予想以上に硬くて重い。本気で蹴ったから力負けはしなかったが、互いに威力を失って止まるという状態になった。俺は左足一本立ちでメタルウルフは4足とも地面についてる状態だ。

…これはやべぇな。

メタルウルフもチャンスと思ったのか、さらに踏み込んできやがった。普通なら蹴りの威力を失った状態の片足立ちで押し返せるわけがないんだが、この世界はPPさえ大量消費すれば瞬間的な力を発揮できる。だから、咄嗟に下半身に力を込めて力の限り足を振り抜いた。
メタルウルフは力負けするのを悟ったのか、一度距離を取り、俺が蹴り終えた姿勢の隙を狙って再度近づいてきやがった。

PPにまだまだ余裕があることを確認しながら、軸足を右足に変え、タイミングを合わせて左後ろ回し蹴りをメタルウルフの左頬に当てた。その際にふと思い出してブーツに魔力を一気に込めたら、俺の左足の踵がメタルウルフの顔にめり込み、その勢いのまま左足が通過したことでメタルウルフの顔が飛び散った。

普通の回し蹴りよりもだいぶ威力が下がる後ろ回し蹴りで、しかも利き足ですらないにもかかわらずこんだけ硬くて重いメタルウルフの顔を吹き飛ばすとか、PPの過剰使用とブーツの魔法陣効果の同時使用は凶悪すぎるだろ。いやまぁ、その分俺の左足にも痛みがあるんだが、このくらいはヒールどころか自然治癒で治る程度だろうからたいしたデメリットではねぇな。どちらかというとPPの急な消費での疲労感の方がデメリットか。あとはPPが0になると死ぬらしいから、使いすぎに注意ってところだな。まぁ咄嗟の判断としてはありだが、戦闘前に準備出来るならPPの過剰使用より『会心の一撃』をまとった方がデメリットがほぼないから無難だろう。
今日は戦闘訓練も兼ねてるから、敵がもうちょい強くなるまでは使わんけど。

『ヒール』

自然治癒でも治るだろうとは思うが、ダンジョン内ではいつ戦闘になるかわからねぇのに無意味に違和感を残しとく意味がねぇからとヒールで治した。
ソフィアみたいに魔法攻撃がメインだとMP残量管理も大事かもしれんが、俺はほとんど魔法を使わねぇからな。

ブーツについた血を地面に擦り付けながら、他のメタルウルフを誰が対処したかを確認しようと周りを見回した。

最初の1体はニアに盾で殴られたときに死んでたっぽいな。んで、俺が1体とヴェルが1体。一度リセットされたメタルウルフならヴェルは人型で問題なく倒せるみたいだ。

最後の1体はセリナが対応してるのだろうと思っていたが、意外にもヒトミが倒したらしい。しかもなぜかメタルウルフの死体がやけに綺麗だ。
ヒトミは武器として剣を大量に用意していた気がしたが、メタルウルフにはパッと見では切り傷は見当たらない。ヒトミも剣を持ってないようだし、剣を使わずに絞め殺したとかか?

「ヒトミが倒したメタルウルフは随分綺麗だな。」

「あたしはリキ様やヴェルやニアみたいにメタルウルフを潰せるような力はまだないからね♪だから、中から壊しただけだよ♪」

ヒトミに近づきながら声をかけたら、ヒトミがニコニコとしながら予想外の返事をした。

「中から壊した?」

「そうだよ♪あたしの身体は影だからね♪相手の口からあたしの身体の一部を入れて、奥で実体化させて内臓をぐちゃぐちゃにしただけだね♪だからあたしよりもあの不安定な姿勢の蹴りでメタルウルフの顔を破裂させるリキ様の方がすごいと思うな♪」

「メタルウルフの顔を破壊できたのはこの靴のおかげだ。蹴りはあんま得意じゃないからな。でもせっかくこの靴をもらったんだし、今日は蹴りの練習でもするか。」

「ありがとう♪そのアクセサリーがリキ様の役に立ってくれたらあたしたちは嬉しいな♪」

靴のおかげで蹴りが魔物に効くようになったのだから俺が感謝する立場なのに、なぜかヒトミに礼をいわれた。
まぁプレゼントを喜んでもらえたら嬉しいって意味でならわからなくはないか。

「次くるよ〜。今度は8体だね。」

セリナが見つめる先へと視線を向けるが、まだ視界に入る位置にはいない。というか、このペースで襲ってこられたら、相性が悪けりゃ確かに攻略なんて出来ねぇだろうな。

まぁ今回は経験値稼ぎや戦闘訓練も予定の内だし、急いで攻略する必要もないから問題ないが。

わずかに足音が聞こえてきて、それからしばらくした頃に通路の先にメタルウルフたちが現れた。

さて、せっかくもらった靴の感覚を試しつつ、蹴りの練習といこうか。

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