裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚

葉月二三

291話



昨日の晩飯はわりと楽しかった。
やっぱり話を回すのが上手いやつが2人もいると話が弾むな。
リスミナはこれだけコミュ力があるのに『不和』なんて二つ名がつけられるとか、そうとう運がなかったんだろう。

スミノフはもっと気まずくなるかと思ったが、話を合わせるのが上手かったな。

冒険者ギルドでついでに受けた依頼の報酬が意外と良かったこともあって、追加のツマミと酒が入り、全体的にテンションが上がってた気がする。今思うと昨日の俺らは冒険者っぽかったな。いや、もともと冒険者なんだが、パーティーで依頼終わりに酒を飲むみたいな、俺がイメージするような冒険者らしいことは今までしてこなかったからな。

飲み会と化した集まりも朝までということはなく、学校区画の閉門時間に追い出されて解散となった。




今日はまた同じメンバーで集まって、闘技大会の観戦だ。

正確にいえば、デュセスとスミノフは観戦ではなく参戦するんだが。

受付のところで観戦組と参戦組でわかれ、俺らは観戦席へと向かった。

カンノ村の通行証を持っていれば観戦は基本無料みたいだな。ボックス席っぽい有料席もあるらしいが、金払ってまで見たいとは俺は思わんから、自由席にした。

観客席は段差があり、視力さえ良ければどの席からも見れるようになっているから俺はどの席でもよかったが、人が少ないのにわざわざ後ろの席を選ぶ必要もないし、前の方に座ることにした。
いや、こんな村の闘技大会にしてはこれでもけっこう人がいる方だろ。観客席が無駄に広いから、半分も人がいないように見えて少なく感じただけっぽいな。

観客席を見回すと見たことあるようなやつらもいるな。つっても授業で見かけた程度だから名前は知らんけど。
…ジャンヌとピグレもいるじゃねぇか。
朝からこんなところに来て、みんな暇人なんだな。

「予選が始まるみたいだよ。」

俺が観客席を見回していたら、隣に座っているリスミナに声をかけられた。

早速一回戦が始まるみたいで、審判役っぽい村人が舞台に上がってきた。

それから少し遅れて、舞台を挟んで両側にあるそれぞれの入り口から武装した2人が闘技場の舞台へと歩いてきた。

どっちも見たことない気がするが、ローブを着て木の杖を持ったやつと部分的な革鎧に剣を持ったやつの2人だ。

舞台の上で2人がある程度の距離をとった位置で立ち止まり、互いに武器を構えた。

ローブの方は魔法使いのように見えるが、杖を構えている感じからして、物理もいけるっぽいな。この世界では珍しいタイプな気がする。もしかしたら学校に来てから考えを変えた可能性もあるかもな。

審判が手を上げ、下ろしたところで第1試合が始まった。









数試合を見た感想としてはわざわざ朝から観に来る価値があるのかと疑問をもつ程度だった。

デュセスが見るべきっていうから、期待をしすぎたせいってのもあるかもしれないが、本当にこれがアラフミナの上位勢なのかと疑問に思う。

まぁカミエルの試合を見ていて、対人戦と対魔物戦では強さの基準が違うっぽいのがわかっただけでも勉強にはなったと思うが。

カミエルはそこまで強いイメージはなかったが、対人戦に関してはかなり上手いのがわかる。魔物相手に動きの読み合いなんて滅多にしないから、カミエルよりも強そうだった対戦相手が負けたのは仕方ないのかもしれん。

まぁ、俺もカミエルと対戦したときに一瞬意識を飛ばされてるから、あまりいえないんだがな。

ここでの試合は観客席の最前列からわりと近いからよく見える。だが、フォーリンミリヤの大会と違い拡声器的な効果はないから、音はそこまで聞こえない。
だからなのか、見ていてもあまり面白くはないな。
そう考えると最初の試合の魔法使いは杖で相手の攻撃をいなしながら魔法を多用していたから見てる側としては楽しかったかもしれん。まぁ、結果的には負けてたけど。

カミエルの試合の少し後にスミノフ、その次の試合にデュセスが出ていたが、この2人は対人戦も上手かった。順当にいけばこの2人のどちらかが優勝ってとこか。
だったら大会にわざわざ参加なんてしないで、俺らで戦闘訓練でもしていた方が練習になったんじゃねぇかとも思う。

「全員一試合目が終わったみたいだけど、どうだった?」

俺が試合観戦に飽き始めていたことに気づいたのか、リスミナがうかがうように声をかけてきた。

「デュセスが見るべきっていうから期待してたんだけど、思ったより微妙かな…。」

「テキーラくんからしたらそうだろうね。だからデュセスは見るべきっていったんだと思うよ。」

「どゆこと?」

「テキーラくんはさ、自分がどのくらいの実力だと思ってる?」

俺が質問をしたんだが、それには答えずに少し考えるそぶりをしたリスミナが質問をしてきた。

「どのくらいって、弱くはないと思いたいけど、そこまで強いといえるほどではないくらいだろうね。リスミナにわかりやすい比較対象を出すなら、俺個人の力だけで精霊術とかを使わなければデュセスより少し強いくらいかな?」

俺の返答にリスミナが苦笑いを返した。
そこまで間違ってはないと思うんだがな。

「テキーラくんって不思議だよね。自身の実力はある程度わかっているみたいなのに、それが全体的にどの程度の実力になるのかわかってないんだから。…でもそれもしょうがないのかな。テキーラくんの周りにいる人たちがみんな強いから、そこが基準になっちゃってるのかもしれないし。」

リスミナは言葉を選ぶように考えるそぶりを見せてから、また口を開いた。

「今試合をした人たちは正しくアラフミナを拠点にしている冒険者の中で上位の実力を持つ人たちなんだよ。カミエルさんの対戦相手だった人はラフィリアの冒険者ギルドから名指し依頼をされる実力者の人だし、デュセスの相手だった人はもうすぐSランクになれるって噂されてる人だったんだよ。少なくとも私からしたらどっちもまだ手の届かない強さの人なんだけど、その人たちに勝ったカミエルさんやデュセスよりテキーラくんは強いんでしょ?なら、間違いなく冒険者ランクSの実力はあるはずだよ。この前『戦乙女』とも渡り合えていたし、もしかしたらSSランクの実力があるのかもね。そこまでいくと私にはどのくらい強いかなんてわからないけど、そんなテキーラくんが強くないわけがないよ。テキーラくんの強さの基準ではデュセスくらいが普通と思っているのかもしれないけど、冒険者ランクでの普通はDランクくらいなんだよ。」

そういやこの前ローウィンスも似たようなことをいっていたな。
冒険者といわれて目安にしてたのがDランクくらいだって。だが、その程度だと冒険してる途中で簡単に死んじまいそうな気がするけどな。

「Dランクが普通だったら、冒険なんて出来ないんじゃない?」

「そういえばテキーラくんはもともとソロなんだったね。それにすぐに強くなっちゃったらしいから気にしてなかったのかもしれないけど、そのためのパーティーなんだよ。もちろん運悪く強い魔物や盗賊に殺されちゃうってこともあるけど、弱い部分を補い合えばEランクパーティーでも、国をまたいで旅をすることが出来るからね。それに乗合馬車を使えば1人旅もできるし。」

リスミナの話に納得しかけたが、まだ子どものフレドたちでもBランクになれてるし、同じくらいの歳のクレハもアリアがいうにはAランク上位の実力になってるとかいう話だった気がする。マナドールの強さは異常だから、あれは天才の部類ということで別にするとしても、普通の子どもでそこまで強くなれるのに冒険者ランクDが普通ってのはおかしくねぇか?

「でも、カンノ村の子どもたちでもBランクになれたりするのにDランクが普通って基準が低すぎじゃない?」

「ハハハ…。私はこの前やっとCランクになれたんだけどな。でも、今後のランクの基準は変わってくるかもね。この学校に真面目に通えば誰でもCランクくらいにはなれちゃうと思うし。だから、そのうちテキーラくんの思っている基準に周りの実力が追いつくことはあるかもしれない。でも、現時点での基準はもっと下なんだよ。だから、普通の人からしたらカンノ村の方がおかしいんだよ。普通の村人の子たちが上級者の実力があって、戦闘要員の子たちなんて、弱い方だっていってるサラ先生がAランクの実力はあるんだから、そのトップのリキさんが恐れられてるのは何も不思議ではないよね。」

…。

「でも、前にフォーリンミリヤに行ったときに受けたEランクの依頼で、ゴブリンの魔族の討伐があったけど、カンノ村の村人はその魔族より少し強いくらいの実力しかないと思うよ?」

「魔族の討伐?それはおかしいよ。冒険者ギルドの依頼の難易度は大陸共通だから、国によって変わるはずない。だから、魔族の討伐なら1体だけだとしてもBランク以上で出されるはず。本当に魔族の討伐って依頼書に書いてあったの?」

リスミナにいわれて思い出そうとしたが、あんときは文字が読めなかったから依頼書は見てなかったわ。
あんときはカリンがゴブリンの討伐っていってたのを聞いただけだった気がする。

「俺は付き添いだったから確認してないけど、書いてなかったかもしれない。」

「じゃあ、調査した冒険者が虚偽の申告をしたか、もしくは下調べなしで依頼を出されたんだろうね。ゴブリンだと下調べなしで依頼が出された可能性の方が高いかな。たぶん誰も魔族がいるなんて知らなかったんだろうね。」

ちょっと待て。
いや、なんというか…。

なんとなしに逆隣のローウィンスに視線を向けたら目が合った。どうやら俺らの話を聞いていたみたいだ。

「デュセスってどの程度の実力なんだ?」

「そうですね。正面から1対1で戦うと仮定してもアラフミナの騎士で勝てる方はあまり多くはないでしょう。それにデュセスさんの本来の戦い方は違うかと思うので、狙われて対応できるのはほとんどいないのではないでしょうか。ちなみにですが、エイシアは相当の実力があると私は認めておりますが、デュセスさんと殺し合いになった際には負けてしまうかもしれません。」

エイシアを強そうと思ったことはなかったが、よくよく考えたら王族の護衛になるやつなんだから弱いわけがねぇのか。
そのエイシアよりデュセスの方が強いってことはデュセスはかなり強い部類に入るんじゃねぇのか?
デュセスを弱いとは思ってないが、王族に仕える騎士よりも強いってのは予想外だった。

「補足をしておきますと、アラフミナの騎士たちは一番下の部隊でもケモーナ王国の第三部隊以上の実力はあるかと思いますよ。ただ、恥ずかしながらあちらの副団長ほどの実力者はアラフミナの騎士団にはほとんどおりませんが。」

デュセスが実力に自信があった理由に納得していたら、ローウィンスが補足してきた。
これはアラフミナの騎士団が弱いわけではないって意味だろうな。
あと、ケモーナの副団長ってのは確か俺をドワーフと勘違いしていたやつだよな?戦争ではイーラが相手をしていたから実力がイマイチわからなかったが、やっぱり強いやつだったのか。
実際、初対面の時は相手が油断してくれていたからなんとか逃げれただけだったしな。

「べつにテキーラくんが弱い人たちに合わせる必要はないけど、どの程度の実力があるかは知っておいた方がいいと思うよ。テキーラくんが謙遜してると、勘違いした少し強い人たちに絡まれて面倒なことになっちゃうと思うし。」

リスミナがいい聞かせるかのように、ゆっくりと話してきた。
そういや今までもたいして強くないくせに絡んでくるやつらがいたな。べつに俺は謙遜していたつもりはないが、面倒だったのは確かだ。

今まで次から次へと強いやつらに出会っていたから、自身の実力不足を実感していたが、一般人から見れば十分以上に強く見られるようになれてたわけか。
努力の結果が出てるのは悪い気分じゃねぇけど、人狼皇帝なんていう化け物に目をつけられてるんだから、満足するわけにはいかねぇんだよな。

「そう考えたら、クレハやユリアには悪いことしたかもね。強くなりたいっていうから、せめてうちのやつらと勝負できるくらいにはしなきゃかと思ったけど、そこまでする必要がなかったのかもしれないね。」

「それは違うんじゃないかな。周りはテキーラくんの強さを知ったうえでお願いしたんだから、テキーラくんが思うように訓練してあげていいと思う。ただ、テキーラくんが強いってことを知ってほしいと思って、デュセスは今回観戦を勧めたんだと思うよ。冒険者は強いってだけでも影響力があるしね。だからってテキーラくんが周りに合わせる必要はないと思う。その方が私たちは上を目指そうと思えるから。」

最後にリスミナが苦笑いではない微笑みを向けてきた。

けっきょく俺にどうしてほしいのかはわからなかったが、冒険者でいうSランクの力は手に入れているってことか。

前に冒険者ギルドでいわれたときは何いってんだ?としか思わなかったが、リスミナにいわれたら案外すんなり信じられた気がする。

「ありがとう。慢心しない程度に自信を持つことにするよ。」

「知ったような口をきいちゃってごめんね。」

「いや、俺にそういうことをちゃんと説明してくれる人はあんまいないから、むしろ助かるよ。」

まぁ俺が今までちゃんと聞いてなかっただけってこともあるかもしれねぇけど。
それに俺が強くなったと自覚したところで、何かが変わるわけでもねぇしな。

リスミナとの話を終えて試合に視線を戻すと、デュセスとスミノフが戦っていた。
話をしているうちにけっこう予選が進んでたみたいだな。

観戦するとかいっておきながら、2人の試合を危なく見逃すところだったわ。

2人の試合は始まってから少し時間が経っているっぽい。
デュセスが小刻みに攻撃をして、スミノフが流しながらカウンターを狙ってるって感じか。
互いに実力が近いから、すぐには決着がつかないんだろう。2人とも本気を出してないからってのもあるとは思うが。

「あれ?デュセスと互角に戦えてるスミノフってかなり強いってこと?」

「そうだね。でもラフィリアで情報収集したときにスミノフくんの名前を聞いたことがないんだよね。冒険者じゃないからなのかもしれないけど、あれだけ強ければ誰かしらに知られてるとは思うんだけどな。もしかして騎士だったり貴族の私兵だったりするのかな?」

リスミナは確認するようにローウィンスに目を向けた。
なんでローウィンスを見たのかと思ったが、騎士ならローウィンスが把握してるはずってことか。そういや最初にローウィンスとスミノフが会った時も互いに挨拶してたし、知り合いの可能性はあるのか。

「スミノフさんは騎士ではありませんよ。貴族と協力関係にあるようですが、私兵とも違いますね。」

「もしかしてもともと知り合い?」

「互いに知ってはいたと思いますが、お会いしたことはもちろん、間接的に関わったことすらありません。いえ、正確にいえばスミノフさんだとは知りませんでしたね。ラフィリアに腕の立つ方がいるのは知っていたのですが、その方がスミノフさんだと知ったのは最近のことです。」

噂にはなってるのに身バレしてなかったって意味か?
もしかしてスミノフもデュセスみたいな仕事をしてたりするのかね。でも雰囲気的には暗殺を得意にしてそうには見えねぇんだよな。
雇われ用心棒みたいな感じか?まぁ実際はなんだっていいけどな。学校通ってる間だけの関係だろうから、どんな仕事をしているかなんてあまり関係ないし。

…ん?
そういやデュセスやリスミナのときもそんな風に思ってたら仲良くなったんだったな。もしかして、スミノフともそういう流れになったりするのか?いや、さすがに三度目はねぇか。
まぁ、なるようになるだけか。

あっ、デュセスがスミノフに誘い込まれて攻撃の体勢に入っちまったな。
剣を構えて重心を移動させたところで失敗に気づいたみたいだが、もう遅い。

剣を突き出しながら踏み込んだデュセスに対してスミノフも踏み込み、スレスレで避けながらのカウンターでデュセスの脇腹を抉った。

この前新調したばかりの革鎧がザックリと切られた上に血まみれになっちまったな。

さすがに試合終了となり、スミノフの勝ちが決まった。
審判がすぐに回復魔法を使ったようで、血が流れ出るのが止まったっぽい。だが、跪いたまま、デュセスはまだ立ち上がれないみたいだな。

審判が何かをデュセスに渡し、デュセスがそれを口に入れた。
しばらくして、若干ふらふらとしてはいるが、スミノフの手を借りながら退場していった。






試合を終えて俺らのもとに来たデュセスがリスミナの隣に座り、めちゃくちゃ落ち込んでる空気を放っていたが、無視して観戦を続けているうちに予選の決勝戦になったみたいだ。

まぁ予想通りというか、カミエルとスミノフみたいだな。

2人が舞台の上で向き合い、構えたところで審判の合図があった。

試合が始まった直後は互いに静止し、相手の出方をうかがっているようだった。
その空気を先に破ったのはカミエルだ。
歩幅を大きくとって一気に間合いを詰めた。

カミエルの歩法は正面から見ていると近づいて来てるのがわかりづらいといっても、この距離を詰めようとすればさすがにわかるようだな。
スミノフはカミエルが近づいてくるのにあわせ、左手のククリナイフを振った。

それをカミエルが急停止して避け、ガラ空きになっているスミノフの鳩尾を狙うような前蹴りをカミエルが放った。

カミエルの前蹴りは速い。だが、それに気づいたスミノフが右手のククリナイフを振る方が速かった。

普通に考えたらカミエルの足が切断されて試合終了だろ。着けてる防具も普通の革鎧だしな。だが、カミエルの脛とスミノフのククリナイフが接触したのに足が切断されることはなかった。

カミエルが何かを纏っているのは見てわかっていたが、まさか防具なしで刃を受け止められるものだとは思わなかった。
あれは『気纏』なのか?
だとしたら俺も同じことが出来るってことか?

いや、試して失敗したら目も当てられないから、わざと素手で受け止める気はねぇけど。

驚いたのは俺だけでなく、スミノフも予想外だったようで動きが一瞬止まった。

本当に一瞬止まっただけだったが、そのせいで次のカミエルの左正拳突きを避けきれず、右肩にダメージを受けたみたいだ。

スミノフが一度距離を取ろうと退がったみたいだが、カミエルの左後ろ回し蹴りがなぜか距離をとったスミノフに届き、咄嗟にさらに退がりながら上げた左のククリナイフで受けた。だが、受けとめきれずにククリナイフを吹っ飛ばされた。

スミノフはさっきの肩への打撃で右手が上がらないようだし、左のククリナイフも失ったから、勝負ありだろう。
そう思った瞬間、攻撃手段を失ったはずのスミノフが距離を詰めた。
左手は手刀のような形を作り指先をカミエルの腹に向けて死角から突き刺そうとし、寸前で止まった。

なぜスミノフが攻撃を躊躇したのかはわからないが、無防備に止まったせいでカミエルの肘打ちを顎にくらい、スミノフが崩れるように倒れた。

最後以外は悪くない試合だったとは思うが、あまりに短い試合だったな。
いや、最後のもよくよく考えたら仕方ねぇのか。ククリナイフですら切れないやつに貫手なんてしたら突き指するわな。なら最初から殴ればいいだろうに…どっちにしろ結果は変わらねぇか。

『気纏』ってスキルは俺が思っている以上に使えるスキルなのかもしれないな。

予選はカミエルが優勝で決まったみたいだから、残るは昨日の予選の優勝者とヴェルの試合か。

いろんな意味でこの試合観戦は勉強になったが、次の試合は期待できない気がするな。
カミエルがいない予選を選ぶようなやつらの中の優勝者なんてタカが知れてるだろうし。

ふと周りを見ると、客が増えていることに気づいた。
やっぱり本戦ってなると、挑戦者が微妙な相手でも盛り上がるものなのかね。
もしかしたら、これだけ客が集まるんだからけっこう強いやつなのかもしれねぇな。
やっぱり少しだけ期待しておくとしよう。

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