裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚
222話
カミエルが望んだ手合わせは終わったはずなんだが、その後もカミエルは帰ることなくなぜか一緒に朝食を取っていた。
まぁ飯は大量に作ってあるみたいだからいいんだけどさ。
フレドたちとも仲がいいみたいで、先輩として見せちゃいけない顔をしてたことなんかなかったかのように盛り上がっていた。
もしかしたら本当に誰にも見られてなかったのかもな。もしくはもともとがそういう顔を見られても幻滅されないキャラだったとか。まぁどうでもいいが。
「やっぱりリキ様は凄いです!もしかしてリキ様も格闘家ジョブなんですか?それともさらに上のジョブだったり!?」
朝飯を食い終わって、狐形態のテンコをモフりながらぼーっとしていたら、さっきまでフレドたちと話していたはずのカミエルが急に話しかけてきた。
「なんの話だ?」
「あっ!ジョブってそんな軽々しく教えるものじゃないですよね!なにも考えずに聞いちゃってすみません!」
ただ聞いてなかったから聞き返しただけなんだが、カミエルは勝手に勘違いをして慌てだした。
「いや、べつに注意したとかじゃねぇよ。えっと、たしか格闘家っていったか?悪いがそんなジョブは知らん。カミエルは格闘家ってジョブなのか?」
「え!?じゃあリキ様も武闘家ジョブなのにそんなに素手での戦闘が強いんですか!?あっ、私もジョブは武闘家です!」
なんか話が噛み合ってない気がすんな。
「いや、俺は武闘家ってジョブも持ってねぇよ。俺は魔お……魔導師だ。そういやヴェルがそんなジョブだっていってたな。」
「え?」
勘違いしてるみたいだから本当のことをいっただけなんだが、カミエルは呆けた顔で固まった。
いや、正確にはファーストジョブは魔王なんだが、魔導師もジョブにセットしてるから嘘ではない。だからそんな顔されても訂正するつもりはない。ヘタに王級ジョブを持ってるなんて知られたくねぇしな。
まだ話は途中な気がするんだが、カミエルが呆けた顔で固まったまま動かないから、俺はテンコをモフる作業に戻りながらしばらく待った。
すると、カミエルはなにかを思いついたような顔をした。こいつも表情豊かだな。
「なるほど!冗談ですね!いってる意味がわからなくてビックリしちゃいましたよ!すぐに冗談と気づけなくてすみません。リキ様が魔導師とかあからさまに嘘ですもんね。」
「は?」
こいつは何をいってんだ?
「え?」
「まぁべつに信じなくてかまわねぇが、俺が魔導師ってのがあからさまに嘘ってのはどういう意味だ?馬鹿にしてんのか?」
「いえ!そんなつもりは!!!リキ様は見るからに近接戦闘タイプなので、魔法を使うところが想像できなくて…。」
『上級魔法:水』
たしかに戦闘で使いこなせるほどではないが、出来ないと決めつけられるのはなんかムカついた。だから俺は魔法で水を生み出し、俺らの周りを3周させてから少し離れた場所にある木にぶつけた。
木にぶつかった水は爆音をあげながら水飛沫を辺りに飛び散らせ、的にされた木は大幅に抉られていた。そのせいで自重を支えきれなくなったのか、ミシミシと俺らの方に倒れてきた。といっても距離があるから俺らに被害はないんだがな。
ただ、見栄をはろうとして威力を込めすぎたみたいで、予想外の結果となった。…正直やり過ぎた。
「…凄い。」
「無詠唱…。ユリア、今のは精霊ではないのですか?」
「違うと…思う。ここにあんな大量に水を生み出せる精霊はいないはずだから、カンノさんの魔法じゃないかな。」
カミエルに見せただけなんだが、なぜかクレハが驚いてやがる。そういや無詠唱も珍しいんだったか。SPで普通に取れるのに。
まぁクレハは契約魔法とやらをしてるから知られても大丈夫か。
「物理でセリナさん以上なのに魔法が無詠唱でこの威力…。敵対者からしたらまさに“歩く災厄”ですね…。」
「は?」
いきなり何をいってんだと思って聞き返したら、クレハがビクッと肩を跳ねさせてわずかに俯いた。
「失礼しました。二つ名通りの実力者だと思い、声に出てしまいました。不快にさせてしまったのでしたら、申し訳ありません。」
「いや、べつに謝ることじゃねぇけどよ。厄介者扱いされてる感じは気にいらねぇが、“少女使い”よりはかなりマシだしな。つってもこの程度の魔法ならMPさえあれば誰でも使えるし、物理勝負で俺に勝てるやつなんていくらでもいるだろう。実際、この前一方的にやられたばっかりだし。だから俺程度で災厄なんていうのはどうかと思うがな。」
「その二つ名は強さのことだけじゃにゃいと思うけどね〜。」
ボソッとセリナが小声で呟いたみたいだが、全部聞こえてるぞ。
「セリナ、それはどういう意味なのかを丁寧に教えてもらえるか?」
「にゃんでもにゃ〜い!そろそろ休憩は終わりじゃにゃいかにゃ?」
セリナが笑いながら少し慌てたように話を無理やり切り替えてきた。
問い詰めたところでセリナは答える気はなさそうだし、そこまで続けたいような話でもねぇからべつにいいけどな。
それにセリナがいうように休憩を終わらせるタイミングとしてはちょうどいいしな。
「そうだな。じゃあ訓練を再開するか。」
「はい。」
「申し訳ありませんが、私はやることがありますので、お先に失礼させていただきます。」
ローウィンスとエイシア以外は揃って俺に返事をしたが、どうやら今日もローウィンスとエイシアは先に帰るらしい。
そもそもこれはユリアとクレハの戦闘訓練であって、教えてるアリアや相手をしてるセリナとイーラ以外は自由参加だから、無理して来る必要もないし、わざわざ断り入れずに好きなときに勝手に帰ればいいと思うんだがな。
「お疲れさん。」
俺が右手を上げててきとうに声をかけたら、ローウィンスはニコッと笑ってからエイシアを連れて村の方に歩いていった。
朝飯を食い終わってからはまた同じような訓練メニューを再開したユリアとクレハをただ見てるという暇な時間になった。だから暇つぶしにもう一度カミエルと素手で手合わせしたんだが、やっぱり楽しいな。
まぁ二度目は最初のような負けそうな展開になることなく勝てちまったんだが、それでもほどよく打ち合えて、最後まで気を抜けない相手との喧嘩…ではなく戦闘訓練はなかなかテンションが上がる。上がりすぎて、しばらく右手の人差し指が折れてることに気づかなかったくらいだ。
手合わせが終わってから人差し指に違和感はあったが、ちょっとズレてんのかな程度の感覚でポキっと指を鳴らしたら、一気に冷や汗が吹き出るほどの激痛が走って息が止まった。
テンションが上がっていたからか、普通にその手で殴り合いをしててもたいして痛くなかったから、折れてるなんて思わなかったし、そもそもいつから違和感があったかもよく覚えてなかった。
だが、安心したあとに指を鳴らしたら言葉にならない衝撃だったわ。
不意の痛さに声が出せなくて、痛みが少し治るまで回復魔法も使えなかったし、せっかくのいい気分が吹き飛んだわ。
「こういう感じに上体を動かさずに後方の右足を前方の左足まで持ってきてから踏み出すと、対人戦ならけっこうな距離を詰められます。このとき上体の姿勢を変えないのはもちろんですが、高さも変えないようにすると相手に気づかれにくいです。あと、相手の視線が足に向いてないことを確認してからやった方が相手の不意をつけることが多かったです。」
折れた指を治したあと、カミエルが戦闘中にやってた足運びのことをなんとなく聞いてみたら、カミエルが実際に手本を見せながら教えてくれることになり、今まさに目の前でカミエルが説明しながら動いているのを真横から見ていた。
「自分から聞いといてこんなこというのもなんなんだが、せっかくの技術をそんな簡単に教えちまっていいのか?」
「リキ様にはもう見切られてしまっているみたいなので、隠しても意味ないですから。それに手合わせしてもらえたお礼もしたかったので!」
本人がいいならいいんだがな。
まぁ魔物相手に使ってもあまり意味がなさそうな技だから、使いどころが限られるし、べつに隠すようなことではなかったのかもな。
せっかく教わっても俺の戦闘スタイルに合わせられるかわからねぇが、もしかしたら人狼皇帝を殺すときに役立つかもしれねぇから、今度試しておくか。
「お礼されるようなことはしてねぇと思うんだが、ついでにもう一ついいか?」
「私がわかることならいくらでも!」
なんでこいつは自分の技を盗まれるかもしれないのにこんなにテンション高いんだ?まぁ悪いが教えてくれるっていうなら利用させてもらうけどさ。
「武闘家ってジョブはどうやって手に入れるんだ?」
「手に入れる?私は師匠のもとで修行を終えてから冒険者になる前に神殿でジョブを変えようとしたら、選択肢にありました。」
「修行?」
「はい。5歳から10歳までの5年間、私を拾ってくれた師匠のもとで心身ともに鍛えていました。」
こいつも孤児なのか?あんま深く聞くと面倒なことになりそうだからそっちはスルーだな。
というか、この答え方を聞くに取得条件というものがあること自体を知らなそうだな。
たぶんその修行の中で条件を満たす何かがあるんだろう。
「どんな修行なんだ?」
「小さい頃は走り込みでの体力づくりや目を閉じての片足立ちで精神集中やバランス感覚強化などが主でした。それらに慣れてきてから構えをとっての突きの繰り返しや丸太の上を歩いたり一点を見ながら全体を視野に収める練習などに変わり…。」
こいつは5年分の修行内容を全部説明するつもりなのか、思い出すそぶりをしながら話し続けている。
中には意味があるかわからないものもあったが、この世界では意味があるのかもなとてきとうに聞き流していたら、そろそろカミエルの話が終わりそうだ。
「…最後に出された課題が岩砕きと崖の上に張ったロープを渡る、あとは師匠との勝負に1日耐えるもしくは勝つというのがありました。修行はその三つを達成して終わり、卒業試験として魔物を素手で倒せといわれ、近場に生息していたゴブリンを倒したら追い出されました。」
なかなかハードな修行だったのだろう。途中から聞き流していたが、10歳にも満たないやつにやらせるような内容ではなかったと思う。
まぁ結果としてカミエルは強くなってるんだから良かったのかもしれんが、俺はその修行内容を全て真似するつもりはない。
そこまでしないと武闘家のジョブが手に入らないというならいらない。だが、ヴェルも武闘家ジョブを持っているんだから、全てやらなければいけないわけではないはずだ。この中のどれかが重要なのだろう。
「岩砕きってのはなんだ?」
「素手で岩を砕くことです。拳の強化が目的だったのだと思いますが、この課題の達成までに何度も指が折れましたね。」
へへっと困ったようにカミエルは笑っているが、全く笑えねぇ。
スパルタにもほどがあるだろ。
…いや、俺も回復魔法があるからって泣いてるセリナを殴り続けたことがあるからなんもいえねぇな。
「その頃はまだ気纏を使えなかったので、怪我をすぐに直せなくて達成するまで半年くらいかかってしまいました。」
怪我しても治さねぇとか、こいつの師匠は俺よりもスパルタだったみたいだ。
俺はカミエルの話を聞いて周りを見てみたが、そんな都合よく岩はねぇな。
仕方がないから地面に落ちてる石を拾って軽く握った。
いけるか?
一度深呼吸をした。
大丈夫だ。最悪失敗しても『ハイヒール』を使えばいいだけだと自分にいい聞かせ、左手で石を持って右手を引いて拳を作った。
周りのやつらが不思議そうに俺を見てるのを無視して、俺は左手に持った石を右手の拳で殴りつけた。
「っ!」
『ハイヒール』
流石に素手だと痛てぇな。
だが、石は砕けた。
レベルが上がって身体能力が上がってるから出来るだろうと思ってやってみたが、実際にできたことに少し驚いてる自分がいる。
俺もだいぶ人間やめてるなって思うのは日本の感覚がまだ残ってるからなんだろうが、これでも勝てない相手がこの世界にはたくさんいるのだから、この程度で驚いてる場合じゃねぇな。
俺は右手を握ったり開いたりして痛みがなくなったことを確認してからジョブ取得を見てみるが、武闘家はないみたいだ。
岩じゃないとダメなのか、そもそもこれは取得条件とは関係ないのか。
あとヴェルがやってそうで俺がやってないのは素手で魔物を殺すことか?
俺は初っ端からガントレットをしちまってたから、素手で魔物を殺したことはなかった気がする。
他にも構えからの突きの繰り返しとかもヴェルがやってる可能性はあるが、それは数回やった程度で効果が出るとは思えねぇから、魔物を殺してみたあとだな。
魔物はこの辺にはほとんどいないらしいが、1体だけなら午後にダンジョンで試せばいいか。
「リキ様はどんな修行をしたんですか?」
そういやカミエルに修行のことを俺から聞いといて、何も答えずに午後の予定とか考えてたわ。
「俺は修行なんていえるようなことはしてねぇよ。前は好きで喧嘩してたのと、最近は強くなるためレベル上げしてたくらいだな。」
「え?戦闘ではなく喧嘩ですか?」
「あぁ、昔住んでたところの近所にいたやつらと喧嘩すんのが好きでな。その頃は喧嘩が将来役に立つとは全く思っちゃいなかったが、それで身についたのが俺の戦い方の基本だと思えば役に立ったんだな。」
「それってリキ様が喧嘩だと思ってただけで、リキ様の実力で殴ったら相手は死んじゃいますよね?」
「喧嘩してた頃はこんなに力がなかったからな。今の力があるのはレベルやスキルのおかげだ。」
「やっぱりリキ様もいろいろスキルを持ってるんですね!私も身体強化や敏捷強化、筋力強化なんかを重複して取得してるんですが、リキ様には勝てませんでした。リキ様は他にどんなスキルを持ってるか教えてもらえませんか?いえ!秘密ならそれでかまいません!」
ん?何をいってるんだ?
「俺は肉体を強化するようなスキルはなんも持ってねぇよ?」
そもそもSPで取得できるスキルにそういったものはなかった気がする。
あらためてパッと流し見で確認してみてもないっぽいな。
「え?強化スキルなしで近接戦闘してるんですか?」
「そういうことになるな。といっても戦闘時にはアリアに魔法で強化してもらってるし、今はテンコもいるしな。そもそもそういったスキルの取得方法がわからねぇから取りようがねぇ。」
「強化スキルも体術スキルもなしの物理戦闘で二つ名を得るなんて…やっぱり神として崇められる方は私たち凡人の常識で考えること自体が間違いなんですね。」
…ん?
「ちょっと待て。なんの…いや、誰の話をしてるんだ?」
「もちろんリキ様ですよ。私はリキ教の教えに感銘を受けて入信しましたが、みんながリキ様の教えを広めるだけでなく、教会を建ててリキ教を作った理由がわかった気がします。」
「いや、全くわからねぇよ。あいつらが教会を建てたのは親がいない寂しさを紛らわせるためみたいなもんだから、俺は神でも英雄でもなんでもねぇ。だから変に勘違いして納得すんな。」
…だよな?
ガキどもにとっては俺が親代わりなのにちょいちょい村をあけるから、そんときに寂しくなったときの心の拠り所として使えるように建てたんだよな?アリアがいってたのってそういう意味だよな?
俺が英雄だという勘違いはしてるみたいだが、さすがに神様だとか思っちゃいねぇよな?カミエルの頭がおかしいだけだよな?
「でも、フレドくんたちはいつもリキ様のことを“僕らの神様”としていろいろな偉業を教えてくれてますよ?」
反射的に振り返ってフレドを見たら、フレドが凄い勢いで目を逸らしやがった。
百歩譲ってガキどもが勝手に思うことはもう諦めるからいい。少なくともガキどもからしたら命の恩人という捉え方も出来なくないからな。だが、それを他人に脚色して伝えるのはどうかと思うぞ。
いや、村の関係者じゃないやつが入信してる時点で諦めるしかねぇか。今さら足掻いたって傷口を広げるだけだ。
アリアの脅しに負けた時点で止めようがなかったんだ。諦めろ俺。
俺はフレドには何もいわず、カミエルに向き直った。
「一応いっておくが、俺がとった行動がたまたまこいつらを助ける形になっただけで、偉業なんて呼べることは何もしてねぇ。俺の二つ名を聞けばわかるだろ?神や英雄どころか、災厄扱いだ。だから、こいつらにとっては俺が英雄みたいに見えたのかもしれねぇが、実際は違う。まぁカミエルがどうしようと勝手だが、盲信はするなよ。」
「私も最初は“歩く災厄”と呼ばれる人がいると警戒していました。フレドくんたちは洗脳されてるのかもしれないと疑ったこともあります。でも、ちゃんと自分で調べたうえでリキ様に好意を持ち、リキ教の教えに感銘を受けて入信しました。だから、私がリキ様を尊敬する気持ちは盲信がゆえではなく、自ら調べ、考え、得た本心です。」
カミエルは真っ直ぐと俺の目を見て、一度も逸らすことなく、最後までいいきった。
…なんだこれ?めちゃくちゃ恥ずかしいな。
今まで他人から尊敬だのいわれたことなんてほとんどねぇからか、対応に困る。
アリアたちやガキどもは結果的に助ける形になってたりするから、その感謝の気持ちと頼れる親的存在であることがごっちゃになって尊敬という勘違いをしてるんだろうからそこまで気にしてなかったが、俺が直接何かをしていないやつに尊敬されるとか意味不明すぎてわけわからねぇ。
この話題を続けたら俺が精神的ダメージを負いそうだから、早々に話を変えるべきだろう。
そもそももとはなんの話をしてた?
…。
そうだ、スキルの話で、俺が強化スキルも体術スキルもなしに物理で戦ってんのかって話だったな。
「そうか。まぁカミエルが自分で決めたことなら好きにしろ。そんで話を戻すが、強化スキルは持ってねぇけど、『拳術』とかいうスキルなら持ってるぞ。」
「『剣術』ですか?もしかして剣士のジョブを持ってるんですか?」
「悪い、そっちじゃない。拳の方の『拳術』だ。」
「なんで武闘家じゃないのに『拳術』は取得出来るんですか!?」
カミエルが急にでかい声を出しやがった。なんでそんなに驚いてんだ?
「そんなの知らん。SPで取得出来る中にあったから取っただけだ。」
「普通は武闘家にジョブチェンジすると得られるスキルなんですけど、フレドくんがいってた通り自分の常識で考えちゃダメなんですね。」
「リキ様。そろそろ昼食の時間のようです。」
どういう意味だよとカミエルにいおうとしたところで、いつのまにか真後ろに立っていたニアが声をかけてきて、俺は驚いて一瞬固まった。
「…そうか。なら帰るか。カミエルも今日はお疲れ様。また機会があったら喧……手合わせしような。」
俺は驚いて固まっていたことを気づかれないよう、出来る限り自然に言葉を続けた。
「はい!是非!」
カミエルとはここでお別れかと思ったが、どうやら村まで一緒に戻るつもりらしく、俺は上げかけた手をそのまま後頭部へと動かし、頭をかきながらアリアたちのもとに向かって歩き出した。
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コメント
葉月二三
おもしろいといってもらえて嬉しいです!
まだまだ続くので、よろしくお願いします!
ノベルバユーザー59906
最初から強いわけじゃなくて少しずつ強くなっていくのがよい。読んでいて飽きない進展で面白かった。頑張って続きも書いてください