裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚

葉月二三

47話



もうすでに地下21階まで下りてきている。

順調すぎて恐ろしさすら感じるくらいだ。

パーティー組んでると魔物狩りがこんなに楽になるんだな。

これだけ魔物が溢れかえってるダンジョンでも1日でここまで下りてこれるんだから。

でもさすがに1日で30階までは下りれなかったな。

これだけ魔物がいたら仕方ねぇか。
それに全フロアのマップ埋めまでやってたからな。
しかもほとんど歩いての移動だったし。

「リキ様!見て見て!新しいスキルを覚えたよ!」

地下21階の魔物をほぼ倒し終わった頃にセリナが近づいてきた。

「使ってみろ。」

セリナがイーラになった。
セリナも変身できるようになったのか?

「あれ?いきなりリキ様が目の前に来たよ?なんで?」

ん?これは本物のイーラじゃねぇのか?
イーラが元いた場所を確認するとセリナがニコニコしてこっちを見ていた。

「変わり身の術だと!?」

本当に忍者になりつつあるのか!?

「位置交換っていうスキルだよ?仲間や意識がにゃい物と位置を入れ替えることができるみたいだよ。」

そういってまたイーラと入れ替わり、目の前に戻ってきた。

「そうか。あとは分身の術を覚えれば立派な忍者になれそうだな。」

「ブンシンノジュツ?」

「あぁ、セリナが複数人になれる技だ。」

「頑張って覚えるね!」

いや、頑張ったからって覚えられるものじゃねぇと思うけどな。

まぁモチベーションを下げるようなことをいう必要はねぇか。

「あぁ、期待してる。」

「ニャハッ。」

ずいぶんご機嫌だな。

ってかこいつ新しいスキルを覚えたっていったか!?
そういやスキル取得申請がこなかったしな。こいつも勝手にスキルを覚えやがるのか。
アリアに続いてセリナもとは羨ま…ズルい奴らだな。

まぁいい。

どうせこいつらは俺のもとで戦うために強くなってもらわなきゃならねぇんだ。
なのに強くなったことを妬むくらいなら俺も努力すりゃいいだけだ。



地下21階の残りの魔物を倒し、地下22階へと下りる。

さすがに初めての戦闘だからかカレンはあまり戦ってないのに少し疲れちまってるみたいだな。

無理させて潰れても困るし、今日はこのフロアで最後にしとくか。

「今日はこのフロアが終わったらダンジョンを出るぞ。」

「「「「はい。」」」」


地下22階は熊みたいなやつらだった。
そこそこたくさんいるが、まぁカレンの練習には程良いだろう。

ここの魔物はほとんど群れていないみたいだから、極力カレンに戦わせた。

アリアに支援魔法を使わせているが、カレン1人だとけっこう時間がかかるな。

武器の切れ味はメチャクチャいいんだが、カレンは怖いのか上手く力が入れられてないというか力んでるというか…

やっぱり先に戦闘訓練をさせるべきだったか。

まぁいい。

明日の朝にでもイーラで切る練習をさせればいいだろう。

途中でカレンの疲労が限界に近そうだったから、残りはイーラに処理させて、村に向かうことにした。

ダンジョンから出ると外は真っ暗だった。

だいぶダンジョンに潜ってたんだな。

まぁここから村までイーラに乗って向かえば数分だから、魔物に襲われる心配もほとんどないだろう。

カレンは歩きながらほとんど寝てやがる。

イーラが犬型になったあと、一番にカレンを乗せた。

「こいつを落ちないように固定しろ。」

「ガウッ。」

あとはいつも通り俺、アリア、セリナの順で乗って、村に向かった。

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