ファルダーミール -明日の世界-
第45話 Neu
「わぁぁぁあぁぁああぁあああああ!!」
「ニャああぁぁあぁぁぁぁあ!!」
カヤトとネムは落ちていた。それはもう、ものすごい速さで。
「落ちてるニャ!?落ちてるニャ!!」
「そんなことはわかってる!!ネムまず落ち着け!!」
手足をバタつかせながらネムはパニックに陥っていた。
「ニャ!?カヤトさん!!わかったニャ、わかったニャ……って、落ち着けるわけないニャ!!なんでそんなに落ち着いていられるニャ!!」
パニックからは立ち直ったようだが、落ち着くことはできないようだ。それどころか逆切れをし始める始末である。
「だから落ち着けってネム!!」
「落ち着いていられないニャ!!ほら!こんなことをしているうちに地面が迫ってくるニャ!?」
「落ち着けって、まったく」
カヤトはこの状態でも落ち着いていた。
というよりも、自分が飛べるということを思い出したのであった。
トホホ……我ながら馬鹿だと思う。
そう思いながらカヤトは飛翔の呪術を詠唱する。
「我は求む、その黒き翼にて大空へと羽ばたかせよ!!黒衣!」 
カヤトの背中に黒い羽衣が纏わりつき、蜘蛛の巣のように細かく網目状に広がる。
「ニャ!?カヤトさん!!助けてくださいよ!」
「あ、すまん。忘れてた」
現状、落下中のネムの手をつかみ支える。
「お、以外に重いな」
「にゃ、失礼ですニャ!」
ギャアギャアとうるさくネムが叫んでいるが無視する。
「ニャ!蜘蛛が蜘蛛が!体にはってくるニャ!!」
「あ、すまんすまん。戻ってこい小蜘蛛」
カヤトが呼びかけると小蜘蛛たちは元居た場所に戻る。
「ふぅ~やっと着いたか。いったいどれだけの深さがあるんだよ」
ネムを片手で支えながら深い深い谷を降り、そこに降り立つ。
「怖かったですニャン」
ネムは緊張が解けたのか地面に座り込む。
本来であれば優しい言葉をかけるのがいいのだろうが、そこはカヤトクオリティ。優しい言葉など掛けずに降りた先にあった洞窟に入っていく。
「ニャ!?待ってくださいよ!おいていかないでください!」
「ん?別にそこで待っててもいいぞネム」
「怖いじゃないですか!!ついていきますよ!」
ネムは急いで立ち上がりカヤトの後ろをついていく。
「そんなもんかね?」
暗い洞窟を何の迷いもなく突き進んでいくカヤト。
ネムはいちいちトカゲやヤモリのようなものに驚いている。
「お、どうやらついたみたいだな」
「ついたようだな」
カヤトの見ている先には、ライトグリーン色のクリスタルが空中に浮いている。
そのクリスタルからは透明な液体が滴り、クリスタルの下にある直径20㎝ほどの穴に透明な液体がたまっている。
クリスタルの周りには薄く紫色に輝く花たちが大量に咲いている。
「うわぁ~綺麗ですねこのクリスタルといい、この紫色の花と言い。まるで、神話に出てくる聖なる地ですね」
ネムがその美しい光景に見入っている間にカヤトは目の前のクリスタルを鑑定していた。
__________鑑定結果
世間名→ライフ・クリスタル。別名、生命の結晶。
物体名→神鉱石
神鉱石等級→Sランク(最高ランクSSS~最低ランクGまでの等級がある)
俗説→そのクリスタルは万病を治し、寿命を延ばす力があると言われている。古来より、このクリスタルを求めた者は多かったがこれを手に入れたものは僅かだという。そのため、このような言葉が生まれた。「その神結晶を求むなら、屍になる覚悟をせよ」と。
???→???
鉱石年→628年物
__________
どうやら、このクリスタルがあいつの言っていた生命の結晶で間違いないようだな。
しかし困ったな......どうやってこの大きなクリスタルを運べばいいんだ?
砕くか?いや、なんかわからんがそれはしてはいけない気がする。
「うん~?」
先ほどまでそのクリスタルの美しさに魅入られていたネムは正気に戻ったのか、カヤトが悩んでいる姿を見て小首を曲げる。ネムが小首を曲げると同時に、その雪のように白い髪の毛が垂れる。
「カヤトさん、どうかしたですかニャン?」
「ん......いやな、このクリスタルをどうやって上まで運ぼうかと思ってな」
「そんなの簡単な話ですニャン!!」
さも当たり前といった風にネムは言う。
「風の魔法で浮かせて持っていけばいいニャン」
カヤトは何を言っているんだこいつはといった顔をする。
「にゃ?にゃんだにゃんその、こいつ何言ってんだよ?みたいな顔は、ちゃんとできるニャンから見てるニャン」
そういうと、ネムは呪文を唱え始める。
「風よ、かのものを母のよう優しく包み、持ち上げておくれ、ウィンド・エア!!」
クリスタルの周りに白い竜巻のようなものが発生し、巨大なクリスタルを包み込む。
「どうだニャン?驚いたかニャ!」
してやったぞ!といった風に調子に乗るネム。
しかし、そこはカヤト。特に反応することなく来た道を戻りだす。
「ニャ!?また、無視かニャン!?ひどい!!」
「いいから、とっとと戻るぞ」
そういってカヤトは走り出す。
「にゃ!?待ってくださいニャ!!この魔法、物は確かに運べるけど、運ぶスピードは遅いニャ!!」
「それを早く言え」
ネムの話を聞きUターンをしてくるカヤト。
「おっと、そうだ。ついでにこの花も持っていくか」
カヤトはそう言って先ほどまでクリスタルから滴っていた透明な液体がある穴の近くに行き、紫色の花をやさしく採取する。
_____鑑定結果
花名→常黄泉 草
俗説→この花の発光は生命の結晶を求め死んだ者の魂が宿るためであると言われているが、実際は生命の結晶からあふれ出した霊液が周りに生えている草花を活性化させ姿が変わったものである。そのため、この花を適切に処理すれば高級な霊薬などを作ることが可能である。しかし、適切に処理できなかった場合は単なる毒草に成り下がってしまうため注意が必要である。
______
「その花も持っていくんですね、可哀そうです」
「そうかもな……」
そうして、カヤトとネムは今まで進んできた道をたどり、研究室まで戻ったのであった。
「ニャああぁぁあぁぁぁぁあ!!」
カヤトとネムは落ちていた。それはもう、ものすごい速さで。
「落ちてるニャ!?落ちてるニャ!!」
「そんなことはわかってる!!ネムまず落ち着け!!」
手足をバタつかせながらネムはパニックに陥っていた。
「ニャ!?カヤトさん!!わかったニャ、わかったニャ……って、落ち着けるわけないニャ!!なんでそんなに落ち着いていられるニャ!!」
パニックからは立ち直ったようだが、落ち着くことはできないようだ。それどころか逆切れをし始める始末である。
「だから落ち着けってネム!!」
「落ち着いていられないニャ!!ほら!こんなことをしているうちに地面が迫ってくるニャ!?」
「落ち着けって、まったく」
カヤトはこの状態でも落ち着いていた。
というよりも、自分が飛べるということを思い出したのであった。
トホホ……我ながら馬鹿だと思う。
そう思いながらカヤトは飛翔の呪術を詠唱する。
「我は求む、その黒き翼にて大空へと羽ばたかせよ!!黒衣!」 
カヤトの背中に黒い羽衣が纏わりつき、蜘蛛の巣のように細かく網目状に広がる。
「ニャ!?カヤトさん!!助けてくださいよ!」
「あ、すまん。忘れてた」
現状、落下中のネムの手をつかみ支える。
「お、以外に重いな」
「にゃ、失礼ですニャ!」
ギャアギャアとうるさくネムが叫んでいるが無視する。
「ニャ!蜘蛛が蜘蛛が!体にはってくるニャ!!」
「あ、すまんすまん。戻ってこい小蜘蛛」
カヤトが呼びかけると小蜘蛛たちは元居た場所に戻る。
「ふぅ~やっと着いたか。いったいどれだけの深さがあるんだよ」
ネムを片手で支えながら深い深い谷を降り、そこに降り立つ。
「怖かったですニャン」
ネムは緊張が解けたのか地面に座り込む。
本来であれば優しい言葉をかけるのがいいのだろうが、そこはカヤトクオリティ。優しい言葉など掛けずに降りた先にあった洞窟に入っていく。
「ニャ!?待ってくださいよ!おいていかないでください!」
「ん?別にそこで待っててもいいぞネム」
「怖いじゃないですか!!ついていきますよ!」
ネムは急いで立ち上がりカヤトの後ろをついていく。
「そんなもんかね?」
暗い洞窟を何の迷いもなく突き進んでいくカヤト。
ネムはいちいちトカゲやヤモリのようなものに驚いている。
「お、どうやらついたみたいだな」
「ついたようだな」
カヤトの見ている先には、ライトグリーン色のクリスタルが空中に浮いている。
そのクリスタルからは透明な液体が滴り、クリスタルの下にある直径20㎝ほどの穴に透明な液体がたまっている。
クリスタルの周りには薄く紫色に輝く花たちが大量に咲いている。
「うわぁ~綺麗ですねこのクリスタルといい、この紫色の花と言い。まるで、神話に出てくる聖なる地ですね」
ネムがその美しい光景に見入っている間にカヤトは目の前のクリスタルを鑑定していた。
__________鑑定結果
世間名→ライフ・クリスタル。別名、生命の結晶。
物体名→神鉱石
神鉱石等級→Sランク(最高ランクSSS~最低ランクGまでの等級がある)
俗説→そのクリスタルは万病を治し、寿命を延ばす力があると言われている。古来より、このクリスタルを求めた者は多かったがこれを手に入れたものは僅かだという。そのため、このような言葉が生まれた。「その神結晶を求むなら、屍になる覚悟をせよ」と。
???→???
鉱石年→628年物
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どうやら、このクリスタルがあいつの言っていた生命の結晶で間違いないようだな。
しかし困ったな......どうやってこの大きなクリスタルを運べばいいんだ?
砕くか?いや、なんかわからんがそれはしてはいけない気がする。
「うん~?」
先ほどまでそのクリスタルの美しさに魅入られていたネムは正気に戻ったのか、カヤトが悩んでいる姿を見て小首を曲げる。ネムが小首を曲げると同時に、その雪のように白い髪の毛が垂れる。
「カヤトさん、どうかしたですかニャン?」
「ん......いやな、このクリスタルをどうやって上まで運ぼうかと思ってな」
「そんなの簡単な話ですニャン!!」
さも当たり前といった風にネムは言う。
「風の魔法で浮かせて持っていけばいいニャン」
カヤトは何を言っているんだこいつはといった顔をする。
「にゃ?にゃんだにゃんその、こいつ何言ってんだよ?みたいな顔は、ちゃんとできるニャンから見てるニャン」
そういうと、ネムは呪文を唱え始める。
「風よ、かのものを母のよう優しく包み、持ち上げておくれ、ウィンド・エア!!」
クリスタルの周りに白い竜巻のようなものが発生し、巨大なクリスタルを包み込む。
「どうだニャン?驚いたかニャ!」
してやったぞ!といった風に調子に乗るネム。
しかし、そこはカヤト。特に反応することなく来た道を戻りだす。
「ニャ!?また、無視かニャン!?ひどい!!」
「いいから、とっとと戻るぞ」
そういってカヤトは走り出す。
「にゃ!?待ってくださいニャ!!この魔法、物は確かに運べるけど、運ぶスピードは遅いニャ!!」
「それを早く言え」
ネムの話を聞きUターンをしてくるカヤト。
「おっと、そうだ。ついでにこの花も持っていくか」
カヤトはそう言って先ほどまでクリスタルから滴っていた透明な液体がある穴の近くに行き、紫色の花をやさしく採取する。
_____鑑定結果
花名→常黄泉 草
俗説→この花の発光は生命の結晶を求め死んだ者の魂が宿るためであると言われているが、実際は生命の結晶からあふれ出した霊液が周りに生えている草花を活性化させ姿が変わったものである。そのため、この花を適切に処理すれば高級な霊薬などを作ることが可能である。しかし、適切に処理できなかった場合は単なる毒草に成り下がってしまうため注意が必要である。
______
「その花も持っていくんですね、可哀そうです」
「そうかもな……」
そうして、カヤトとネムは今まで進んできた道をたどり、研究室まで戻ったのであった。
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