ファルダーミール -明日の世界-

ほむほむ

第40話 鑑定結晶

 「お?なんかもうひとつ落ちてるな」
  緑色の宝石が落ちていた場所の横に小さな黒い結晶がキラリと光った。
 「なんだ?暗い宝石?」

 ポンッ!

 「うぉ!なんだ!」
 手に持っていた黒い宝石が小さな爆発を起こした。 
 その爆発にビックリしてカヤトは目を瞑る。
 
 「うん、なんだこれは?」
 目を開けると、右下に緑色の謎のステータスバーが表示されている。
 首を降ってみても消えないところをみると視覚に直接作用しているのか?
 目を瞑ったりしてみても消えない。
 変わらず右下に表示されている。
「なんなんだこれは……」

 『鑑定の石により、鑑定眼結晶を獲得しました』といった文字が視界ないに表示された。

 「鑑定眼とか、ここはアニメの中かよ」
 そうはいいつつも内心嬉しそうなカヤト。
  
 カヤトはミノタウロスを倒したことにより現れた扉を開けてさらに進んでいく。
 「階段か」
 暗く螺旋状につながる階段。
 「なんか寒いな」
 螺旋階段を下っていくとだんだん寒くなってきた。
 螺旋階段を降り切り、扉を開けるとそこには一面の雪景色が広がっていた。
 「こりゃ寒いわな」
 シンシンと降り積もる雪が可愛らしい白兎に被さっていて可愛らしい。
 その他の動物もいるようだが、他の視線も感じる。
 
 ズボ、ズボ……

 「なかなかに積雪が深いな」

 雪の中に足を入れ深いことを確認するカヤト。
 普通のスニーカーを履いてきていたために足に雪が入って冷たい。
 「そういえば、今年のクリスマスはどうしようかな。去年は西城と一緒に修行がてら山に行ったっけな。懐かしいな、西城、ヤダとか言っておきながら結局修行してたな」

 ヤダとか言う西城を無理やり……いや、自主的に修行をさせた去年の冬を思い出した。

 そんなことを思いながら、雪道を歩いていると目の前の森林から殺気を感じた。
 

 「ワォ~ン!」
 
 鑑定結果
 種族名:ホワイトウルフ
 HP:500
 特徴:走るスピードが速い、また、その白い毛並みはとても上質なコートの材料として重宝されている。

 鑑定結晶により。あの走ってくる狼の名前が表示される。
 特徴の説明が雑な気がするのだが。
  
 呑気にホワイトウルフを斬りつけながら鑑定していると、大量の足音が聞こえてきた。
 斬りつけたホワイトウルフの血につられたのか、他のホワイトウルフたちが集まってきた。
 その数、約100匹。
 「おいおい、冗談じゃないぞ!さすがに相手をしてられるか!」
 カヤトは目の前の斬りつけたホワイトウルフにとどめを刺し脱兎のごとく逃げ出す。大群のホワイトウルフとは逆方向に。
 雪煙を上げながらホワイトウルフから逃げるカヤト。
 「あああああ!めんどくさいな!?」
  
 「「「ワゥ~!」」」

 「ワゥ~!じゃねえよ!?」

 「ワゥ~!?バウ!!」
 
 「バウでもねえよ!?噛みつくなよ!!」
 カヤトの服の裾に噛みつくホワイトウルフ。
 もちろんのこと、狼に噛みつかれることを前提として作られていないカヤトの服はどんどんボロボロになっていく。
 「ああ~!お気に入りの服だったのに!?」
 悲しきかな、カヤトの服は無残に噛み裂かれていく。

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