ファルダーミール -明日の世界-

ほむほむ

第30話  血引きピアノの怪

 音楽室の扉を開け、なかを見渡す。
 「何も変わったことはないな」
 暗い音楽室にあるグランドピアノが月光に照らされて、異様な雰囲気を放っている。

 ポン〜ポンポン〜ボン

 「きゃ!なに、この音!?」
 「ピアノだな」
 「なんでそんなに冷静なの!」
 「いや、まあ、いつものことだし」
 「そうなんだ……じゃなくて!この音!」
 
 ボンポン〜

 「ほら、また鳴った」
 誰もいないはずのグランドピアノから謎の音色が聞こえる。
 サキを無視し、グランドピアノを見つめていると鍵盤に何か液体のような物がたれていることに気づく。
 「え!カヤト近づいて大丈夫?」
 グランドピアノに近づき、鍵盤にたれている液体を指で触ってみる。
 「生暖かいな、それに赤黒い」
 「それってつまり!血!」
 「血だな。しかも新鮮な」
 「……」
 サキが急に静かになったため。
 気になりサキの方を見るとそこには、何か黒い影?いや煙の塊のようなものが纏わりついていた。
 「……あの?カヤトさん……私の後ろ誰かいません?」
 「いる」
 「そんなハッキリ言わないでくださいよ!」
 「いやだっているし、嘘を言ったってしょうがないじゃないか?」
 「そうですけど!なんか、その、わかりませんがもっとこう、言い方があるじゃないですか!」 
 

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