ファルダーミール -明日の世界-
第20話:リア 【改訂】
「うん、なかなか見つからないな」
部活動中生徒たちに噂の少女のことを知らないかと聞きまわったが、知っている人は居なかった。
(あまりにも見つからなすぎるな…)
そうカヤトは考える。
(ちょいと面倒だが呪術を使って調べるか)
カヤトは懐からの2枚の黒い紙を取り出す。
「黒き闇よ、光をも呑み込む暗黒よ、その闇の力を解放し我に力をかせ!!」
詠唱を終え、カヤトは2枚の黒い紙を空中に投げ捨てる。
黒い紙はヒラヒラと揺れながら地面に落ち、地面に溶けるように消えていき、黒い波紋が広がって行く。
「何をしたんだカヤト?」
カヤトは西城の質問を無視した。
「……」
「無視かよ、カヤト」
「……」
「いたな……」
3階の今は使われていない部室、そこに人がいた。それだけならなんら気にする事では無いのだが、そいつの肩に小さな何かが憑いていた。
(正確には残り香のようなものだが……)
「何がいたんだ?」
「噂の少女かも知れない奴がいたんだよ。3階の今は使われていない部室に」
「3階の部室?あそこか。でもおかしくないかカヤト、あそこの部室な確か閉鎖されている筈だ」
西城は少し悩んだあと、思い出したかのようにカヤトに部室が閉鎖されていることを伝える。
「そうなのか?だが、実際に居るんだから行ってみるしかないだろう」
カヤトと西城は玄関から校舎内に入り、3回の部室を目指す。
「おい、カヤトあそこだ」
西城が部室に指を指す。
「どれどれ、特に変わった所はないようだが……マズイ、人が出てきた西城隠れるぞ!」
カヤトは、隣から覗き込んでいた西城の口もとを自分の手で覆いながら、無理やり階段横の壁裏に連れて行く。
「うっ……あ……カ……ヤ、クル……シイ」
「静かにしろ馬鹿が、気づかれるだろう」
「……離……せ」
「おっと、すまない」
そう言ってカヤトは西城の口もとから自分の手をはなす。
「殺す気か!この野郎」
西城は怒気を孕んだ声でカヤトに話しかけた。
その際、声が小さいのは隠れているという自覚があるからだろう。
「……出てきたな」
西城が何か言っているのを無視して、カヤトは部室から出てきた少女を見ていた。
「何か声が聞こえた気がしたんですが、気のせいですかね?」
少女は少し小首を傾(かし)げていた。
背中まで垂らした金色の髪が、窓から入る光により淡く輝いており、夕日に輝く一輪の花のようだとカヤトは思った。
「……綺麗だ」
自然とそんな言葉が漏れていた。
「あなたは誰?なんでこんなところに隠れているの?」
どうやら、先程呟いてしまった言葉ば相手に聞こえてしまったようだ。
(……不覚)
カヤトは隠れていた壁裏から出た。
「すみません、空いていない筈の部室から音がしたので、つい隠れてしまいました」
当たり障りのない言葉を返す。
「そうなの?それはごめんなさいね、私、あまり人と関わりたくないから、特別にここを使わせてもらっているのよ」
おや、思っていたのと違うな。
自分から死者からの電話がくるとか話しているという噂だからてっきりもっと明るい奴かと思ったがどうやら違うようだ。
「そうなんですか……あ!すみません聞きたいことがあるんですけどいいですかね?」
「えぇ、いいですよ」
「あの、最近死者からの電話っていう噂が立っているのは知っていますかね?私はその死者からの電話の噂を調べているんですよ」
死者からの電話と言った瞬間、目の前の少女の顔が一瞬強張った。
(何か知っている)
「どうして?」
「なんとなくです」
「本当に?」
「えぇ……」
「そうなの……」
それから少しの間沈黙が続いた。
黙っていてもしょうがないので、カヤトは直球に聞いた。
「あの、もしかしてあなたが死者からの電話を受けたっていう……人ですか?」
少女は少し困った顔した後、こちらの顔を見てきた。
「そうだったとしたらどうするんですか?」
「そうですね、相談にのれます」
「そうなのですか……わかりました。お名前を伺ってもよろしいですか?」
「カヤトだ」
「カヤトさんですか、それではカヤトさん、こちらの部室でお話をしませんか?」
こちらの言っていることに嘘がないか?ということを判断しようとしたのか、こちらの態度を少女は注意深く確認をしていた。
「あなたの名前はなんて言うんですか?」
カヤトが逆に少女の名前を聞こうとすると、部室に入ろうとドアノブに手をかけていた少女はこちらを向き。
「私の名前は、リア、リア・クリューソス。知り合いには、リアって呼ばれているわ」
「リアさんですか、よろしくお願いします」
「えぇ、それより早く入りましょう?」
リアに引き続きカヤトは部室に入っていく。
西城には部室の外で待機をしてろと手振りで伝えた。
「少し散らかっているけど気にしないで」
部室の中には長机と可愛らしいイス、パイプ椅子がそれぞれ一脚ずつ置いてあった。
リアさんには長机を挟んで奥にあるパイプ椅子に座るように促された。
「失礼します」
キィー!とパイプ椅子が軋(きし)む。
「どうぞ、カヤトくん」
「ありがとう御座います」
「紅茶しかないけど大丈夫?」
リアさんが長机の上に置いてあったティーセットで紅茶を淹れてくれた。
「大丈夫ですよ、私、紅茶が好きなので」
「あら、そうなの?なんか嬉しいな、私も紅茶が好きだから」
「そうなんですか、奇遇ですね」
「えぇ、本当に奇遇ね」
そんなたわいの無い話をしながらリアはカヤトと対面にある可愛らしい椅子に座る。
「それで、死者からの電話についてよね?」
リアが確認をするように聞いてくる
「えぇ、そうです」
紅茶を2人で飲んでいるとリアが話し始める。
「あれは、1週間前の夜中でした。その日はなぜか寝付けなくて、私、○ou○ubeを見ていたんです、そうすると丁度夜中の2時ぐらいに、非通知で電話がかかってきました。最初は気にしてなかったんですが、あまりにもずっとスマホが鳴っているから出たの、そしたら最初はノイズ音が聴こえるだけだったのだけれど、次第に人の声のようなものが聴こえてきたの「……助……け…………て……リ……ちゃ……ん、助……け……助……け……」って、その後、気持ち悪くなって通話を切ったのだけれど、その日からずっと夜中の2時になると電話がかかってくるようになってしまったの……」
終盤のリアさんの声は少し怯えたようだった。
「……ありがとう御座います」
「いえ、別にお礼を言われるようなことは話していないのだけれど」
リアは少し不思議そうな顔をしていた。
「まあ、よくある心霊話ですね」
「そうなの?」
「えぇ、よくある話です。電話系の心霊話は昔からよくありますので」
「それで、どうしたらいいのかしら?」
リアはカヤトに対して話を急かす。
無意識なのだろうが、おそらく怖いのだろう。
「どうしたらと言われても困りますね……直接その現場にあってみないとわかりません」
「それなら、私の家に今夜来てくれないかしら?」
「大丈夫ですか?リアさん。どこの馬の骨とも知らぬ男を家に連れ込んで」
「大丈夫よ、今晩は両親は仕事で帰って来ないから」
「わかりました、それではまた」
「え、帰ってしまうの?」
「準備があるので」
「あら、そうなの」
カヤトは仕事の準備の為に家に一旦帰る。
西城には、他のことを頼んでおいた。
部活動中生徒たちに噂の少女のことを知らないかと聞きまわったが、知っている人は居なかった。
(あまりにも見つからなすぎるな…)
そうカヤトは考える。
(ちょいと面倒だが呪術を使って調べるか)
カヤトは懐からの2枚の黒い紙を取り出す。
「黒き闇よ、光をも呑み込む暗黒よ、その闇の力を解放し我に力をかせ!!」
詠唱を終え、カヤトは2枚の黒い紙を空中に投げ捨てる。
黒い紙はヒラヒラと揺れながら地面に落ち、地面に溶けるように消えていき、黒い波紋が広がって行く。
「何をしたんだカヤト?」
カヤトは西城の質問を無視した。
「……」
「無視かよ、カヤト」
「……」
「いたな……」
3階の今は使われていない部室、そこに人がいた。それだけならなんら気にする事では無いのだが、そいつの肩に小さな何かが憑いていた。
(正確には残り香のようなものだが……)
「何がいたんだ?」
「噂の少女かも知れない奴がいたんだよ。3階の今は使われていない部室に」
「3階の部室?あそこか。でもおかしくないかカヤト、あそこの部室な確か閉鎖されている筈だ」
西城は少し悩んだあと、思い出したかのようにカヤトに部室が閉鎖されていることを伝える。
「そうなのか?だが、実際に居るんだから行ってみるしかないだろう」
カヤトと西城は玄関から校舎内に入り、3回の部室を目指す。
「おい、カヤトあそこだ」
西城が部室に指を指す。
「どれどれ、特に変わった所はないようだが……マズイ、人が出てきた西城隠れるぞ!」
カヤトは、隣から覗き込んでいた西城の口もとを自分の手で覆いながら、無理やり階段横の壁裏に連れて行く。
「うっ……あ……カ……ヤ、クル……シイ」
「静かにしろ馬鹿が、気づかれるだろう」
「……離……せ」
「おっと、すまない」
そう言ってカヤトは西城の口もとから自分の手をはなす。
「殺す気か!この野郎」
西城は怒気を孕んだ声でカヤトに話しかけた。
その際、声が小さいのは隠れているという自覚があるからだろう。
「……出てきたな」
西城が何か言っているのを無視して、カヤトは部室から出てきた少女を見ていた。
「何か声が聞こえた気がしたんですが、気のせいですかね?」
少女は少し小首を傾(かし)げていた。
背中まで垂らした金色の髪が、窓から入る光により淡く輝いており、夕日に輝く一輪の花のようだとカヤトは思った。
「……綺麗だ」
自然とそんな言葉が漏れていた。
「あなたは誰?なんでこんなところに隠れているの?」
どうやら、先程呟いてしまった言葉ば相手に聞こえてしまったようだ。
(……不覚)
カヤトは隠れていた壁裏から出た。
「すみません、空いていない筈の部室から音がしたので、つい隠れてしまいました」
当たり障りのない言葉を返す。
「そうなの?それはごめんなさいね、私、あまり人と関わりたくないから、特別にここを使わせてもらっているのよ」
おや、思っていたのと違うな。
自分から死者からの電話がくるとか話しているという噂だからてっきりもっと明るい奴かと思ったがどうやら違うようだ。
「そうなんですか……あ!すみません聞きたいことがあるんですけどいいですかね?」
「えぇ、いいですよ」
「あの、最近死者からの電話っていう噂が立っているのは知っていますかね?私はその死者からの電話の噂を調べているんですよ」
死者からの電話と言った瞬間、目の前の少女の顔が一瞬強張った。
(何か知っている)
「どうして?」
「なんとなくです」
「本当に?」
「えぇ……」
「そうなの……」
それから少しの間沈黙が続いた。
黙っていてもしょうがないので、カヤトは直球に聞いた。
「あの、もしかしてあなたが死者からの電話を受けたっていう……人ですか?」
少女は少し困った顔した後、こちらの顔を見てきた。
「そうだったとしたらどうするんですか?」
「そうですね、相談にのれます」
「そうなのですか……わかりました。お名前を伺ってもよろしいですか?」
「カヤトだ」
「カヤトさんですか、それではカヤトさん、こちらの部室でお話をしませんか?」
こちらの言っていることに嘘がないか?ということを判断しようとしたのか、こちらの態度を少女は注意深く確認をしていた。
「あなたの名前はなんて言うんですか?」
カヤトが逆に少女の名前を聞こうとすると、部室に入ろうとドアノブに手をかけていた少女はこちらを向き。
「私の名前は、リア、リア・クリューソス。知り合いには、リアって呼ばれているわ」
「リアさんですか、よろしくお願いします」
「えぇ、それより早く入りましょう?」
リアに引き続きカヤトは部室に入っていく。
西城には部室の外で待機をしてろと手振りで伝えた。
「少し散らかっているけど気にしないで」
部室の中には長机と可愛らしいイス、パイプ椅子がそれぞれ一脚ずつ置いてあった。
リアさんには長机を挟んで奥にあるパイプ椅子に座るように促された。
「失礼します」
キィー!とパイプ椅子が軋(きし)む。
「どうぞ、カヤトくん」
「ありがとう御座います」
「紅茶しかないけど大丈夫?」
リアさんが長机の上に置いてあったティーセットで紅茶を淹れてくれた。
「大丈夫ですよ、私、紅茶が好きなので」
「あら、そうなの?なんか嬉しいな、私も紅茶が好きだから」
「そうなんですか、奇遇ですね」
「えぇ、本当に奇遇ね」
そんなたわいの無い話をしながらリアはカヤトと対面にある可愛らしい椅子に座る。
「それで、死者からの電話についてよね?」
リアが確認をするように聞いてくる
「えぇ、そうです」
紅茶を2人で飲んでいるとリアが話し始める。
「あれは、1週間前の夜中でした。その日はなぜか寝付けなくて、私、○ou○ubeを見ていたんです、そうすると丁度夜中の2時ぐらいに、非通知で電話がかかってきました。最初は気にしてなかったんですが、あまりにもずっとスマホが鳴っているから出たの、そしたら最初はノイズ音が聴こえるだけだったのだけれど、次第に人の声のようなものが聴こえてきたの「……助……け…………て……リ……ちゃ……ん、助……け……助……け……」って、その後、気持ち悪くなって通話を切ったのだけれど、その日からずっと夜中の2時になると電話がかかってくるようになってしまったの……」
終盤のリアさんの声は少し怯えたようだった。
「……ありがとう御座います」
「いえ、別にお礼を言われるようなことは話していないのだけれど」
リアは少し不思議そうな顔をしていた。
「まあ、よくある心霊話ですね」
「そうなの?」
「えぇ、よくある話です。電話系の心霊話は昔からよくありますので」
「それで、どうしたらいいのかしら?」
リアはカヤトに対して話を急かす。
無意識なのだろうが、おそらく怖いのだろう。
「どうしたらと言われても困りますね……直接その現場にあってみないとわかりません」
「それなら、私の家に今夜来てくれないかしら?」
「大丈夫ですか?リアさん。どこの馬の骨とも知らぬ男を家に連れ込んで」
「大丈夫よ、今晩は両親は仕事で帰って来ないから」
「わかりました、それではまた」
「え、帰ってしまうの?」
「準備があるので」
「あら、そうなの」
カヤトは仕事の準備の為に家に一旦帰る。
西城には、他のことを頼んでおいた。
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