ファルダーミール -明日の世界-
第18話:ティータイム
「サツミを俺の家に連れて行くのはいいが、問題はそのあとだな」
そんなことを考えながらカヤトは屋根を走っていた。
「寝顔はかわいいものだな」
初めて見たときは日本美人という言葉が似合いそうなスリムな体型だと思ったが、実際に背負ってみると女の子特有の柔らかい感触がする。
どこがとは言わないが......察してくれ。
「…うぅ、あれ?ここは、どこ?」
どうやら、目覚めたようだ。
「おはよう」
とりあえず、安心させるためにおはようのあいさつをしてみた。
「......キャ!放してください」
効果はなかったようである。
「動くな、落ちるぞ?」
「え、何を言っているのですか?…て、ええー」
どうやら自分がいまどういう状況なのか理解したようである。
「落ちる 」
「いや、だから暴れるなと」
人の話が聞こえていないのか、大声を出しながらさらに暴れだす。
「うるさいわ!」
手刀をサツミの首筋にかます。
「うげっ!」
女の子らしかなる声をあげながらサツミは気絶する。
10分後
カヤトは自分の部屋のベットにサツミを寝かせた。
「ふぅー、やっと一息つける」
紅茶をいれるためにリビングに向かう。
「ふん、ふん~♪」
鼻歌を歌いながら俺はティーポットに80度ほどのお湯をそそいでいく。
「いい匂いだ」
紅茶を飲み終わったカヤトはソファーに座り目を閉じる。
「久しぶりに固有呪術を使ったな、疲れた」
「サツミの様子を見に行くか」
カヤトは2階へと向かう。
自分の部屋に入ると、そこには気持ちよさそうに眠っているサツミがいた。
「起きろ」
「う、ううん」
可愛らしく寝返りを打ちながらサツミは寝言を漏らす。
「うへへへ~西城様~、やめてくださいよう」
どうやら彼女は、夢の中で西城といちゃついているようだ。おそらくこちら素なのだろう。
「お~い!起きろ」
「ふにゃ?……え、ここはどこ!?」
起きたはいいが、自分が知らないところにいて驚いているようだ。
「落ち着け、ここは俺の家の中だ」
「え?あなたは!」
「お前が殺そうとしたカヤトさんだよ」
サツミは近くにあった目覚まし時計をカヤトに向かって投げつける。
「危ないな、目覚まし時計が壊れたらどうするんだ?」
カヤトは飛んできた目覚まし時計を右手で受け止め、机の上に置く。
「何で私があなたの家にいるんですか!?」
「君が気絶したから」
カヤトはいろいろとはしょってサツミの質問に答える。
「そんな簡単な説明では理解できません。もっとしっかりと説明をしてください!」
サツミはカヤトの適当な説明が不満なのか、少し怒気のこもった声で再度カヤトに説明を求めた。
「カクカクしかじか」
「なるほど、どうやら私は嫉妬のあまりあなたを殺そうとしたようですね。そして、あなたに負けたということですか」
事情を話した結果どうやら納得したようだ。
「まあ、そういうことだ」
「すみません、どうかしていたようです」
こちらを見つめサツミは謝罪の言葉を口にする。
「いや別にいいが、おまえ、二重人格なのか?」
「いいえ違います」
「そうなのか?」
「ええ、あれはもう一人の自分、普段は表に出せない私の感情を具現化したわたしです」
そういいながらサツミはどこか悲しげな表情をしていた。
「そうなのか、すまないな、どうやら君のプライベートな部分に触れてしまったようだ」
「いいえ、大丈夫です」
その後、サツミは帰りますと言って帰っていった。
出来上がった紅茶にミルクを程よく加え、砂糖を少し入れる。この時、砂糖を入れすぎないのが美味しい紅茶を飲むコツだ。
「はぁ~」
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