平凡男子の受難
act.25
「ごめんな?」
部屋から出た後、震えも止まらず顔も上げない沙弥に廊下を歩きながら声をかける。
「っ結吏さんのせいじゃあ、」
「そのさ、結吏サンての止めてよ。」
ずっと気になっていたのだ。俺が柊真先輩と親しいと分かってから、沙弥の態度が違うことが。
「俺は勝手に沙弥の事友達だと思い始めてたからさ、サン付けに戻るのはちょっと、悲しいってゆうか・・・」
そう言ってヘラりと笑うと沙弥はバッと顔をあげた。
「ぼくはっ、弱いから・・・兄と、違って・・・」
「沙那先輩と違う?」
「ケンカとか口も、体も弱いっ。だから、思ったこと考えた事全てをすぐに行動に移す兄みたいにはなれなくて・・・」
「そっか」
「ぼくはすぐ固まって、逃げたくなっちゃうんだ・・・。さっきみたいに。・・・キミを見つけた時、みたいに....」
「沙弥・・・」
「本当はぼくが答えなきゃいけなかったんだ。聞かれてそのままを。っでも言えなかった!言っちゃったら・・・、助けなかったのか見てただけかって、卑怯だって言われるのが怖くて・・・っ」
沙弥は涙を堪えて
だから友達になんてなれない、と言った。
「沙弥は沙弥でしょ。それでいいじゃん」
「でも・・・、」
「兄弟だから同じじゃなきゃいけないことなんてないだろ?人ってそれぞれ違うし。第一沙弥は得意なこともあるんだから胸張って堂々としてろよ」
「・・・」
「俺、時々沙那先輩の事心配になるぜ?語彙力とか!その点沙弥は的を得たことしか言わないし、頭も要領もいい!あ、顔と性格もいいよな~。あとそれから、」
「ちょ!ちょっと何急にっ!」
「だから!沙弥のいい所!俺は今日出会ってから数時間でいーっぱい言えるんだ。
沙弥と友達になりたいって思うのも当然だろ?」
「・・・っ、ふ、ははっ!」
沙弥は呆気に取られた顔をして、それから吹き出すように笑い出した。
「ふはっ、い、意味わからないよっ!」
「えぇ!?なんでだよっ!」
「っはぁ。とにかく、沙那兄の語彙力と同じ位の衝撃だよ。・・・"結吏"」
「っ!ンだと!沙弥のばーかっ」
「馬鹿って言う方が馬鹿なんだよね。」
「はぁ!?」
登校初日。
俺は1人友達をゲットしたのだった。
(なぁ、沙弥)
(何?)
(・・・保健室どっち??)
(っ?!分かっててぼくの手を引いてたんじゃないの!?)
(いやぁ、アレは勢いというか・・・?)
(っはぁ・・・。結吏、君はまず地図から覚えようか。)
(・・・善処しまーす。)
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