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平凡男子の受難

安里あさ

act.23


「そうゆう事で、ちょうど昼時だったので結吏さんを誘ってきました」
「ユウリってば勤勉派なの?意外ー!」

みんなで食卓を囲みながら、沙弥は俺を連れてきた経緯を話した。
あの騒動は話していないので、俺と沙弥は勉強仲間になってしまったが。

それにしても此処は特進クラスのどの教室にあたるのか。我が物顔で使用している様子からしてまさかのプライベートルームなのではと思い始めた俺だったが、
今聞く勇気はない。

ニコニコした柊真先輩に抱えられているこの状態では。

沙弥と沙弥の幼馴染らしい黒崎さんもとても静かだった。


「へぇ、相変わらず賢い弟だねぇ沙那。はい、結くん卵焼き~。あーん」
「(パクっ)」
「「・・・」」

「沙弥マジでありがとなっ!」
「あのままだったらオレらもどうなってたか・・・」
「あ、いえ・・・あの、」
「ふふっ、お米ついてる~(ペロ)」
「あ、」
「「・・・」」

「やめろ、玲。皆まで言うな・・・」
「色んな物が半壊だけどな」
「誠も・・・」

「唐揚げ食べたい?あ、パスタがいいかな?」
「はあ・・・」
「「・・・」」

状況は大体把握した。
先輩方の疲労を見る限り、俺の後ろでおかずを吟味しているこの男が暴れ回ったのだろう。
そして俺らが来た時に聞いたあの騒音はこの人が暴れていた音と先輩方の必死の静止の声だったわけで。

「(この人ホント・・・ONOFFの切り替え怖い)」

「よし、ブロッコリーにしよう!お野菜も大事だからね。あーんして?」
「(パクリ、もぐ)」
「かわいー!ブロッコリー頬張ってほっぺた膨らんでる!ふふっ」

そして今、周りは他の恐怖に襲われているのだろう。慣れた様子の先輩方は置いておいて・・・

「・・・・・・」
「(ジーッ)」

沙弥は完全に視線をそらしているが手も止まってしまっていて顔色が悪いし、
黒崎さんに至っては柊真先輩を凝視して頬を引き攣らせている。

・・・っだよなぁ!!
自分の同級生ここまで可愛がる先輩(しかもキレたらやばい)なんて、怖いに決まってる!!

「あの、先輩・・・?」
「ん?どうしたの?あっ!」
「?」
「ごめんね、忘れてた!はいっ」
「え、まっ」
「果物でしょ?はい!食べて食べて」

先輩自らぶどうの皮をむいてフォークで種まで取ってくれた物を口に入れられる。

「っ!・・・うん、甘い」
「そっかぁ、よかったねぇ」

・・・じゃあない!2人の無言が痛いから!すごい視線送られてるから!!

「柊真先輩、そうじゃなくてっ」
「あ、こっちも食べる?」
「むぐっ、」

人が喋ってる時に口に物を入れるな!

って、

「うっ、・・・ぅえ、」
「あれ?もしかしてトマト苦手なの?」
「・・・っ(コクコク)」

特にミニトマト何てものは本当に苦手だ。あの噛んだ瞬間弾ける食感や中のドロっとした液体とつぶつぶの種のコラボ。
もう噛むことも飲み込むことも出来ない。

「ふふっ、涙目だよ?そんなに苦手?」
「・・・!!(ブンブン)」
「じゃあ・・・僕にちょうだい。」
「?」

グイ、と顎を掴まれて口を開けさせられる。え、と思う間もなく舌を入れられて口の中の異物(トマト)が攫われた。

「ぇあ、ありがとうございます・・・?」
「ふふっ、はい、お口直しの飲み物ね」

そう言い先輩は2回3回噛んでトマトを食べてしまった。すげぇ。
自然な流れでコップを渡されてそれを飲み干す。はあ~、まだ口の中にトマトが居座ってる気がする!

・・・ん?待てよ、ヤバイ!
柊真先輩のシャツを掴み目を合わせた。

「せせせ、先輩っ!」
「わぁ、ふふっなぁに?もう1回?」
「違うっ、違います・・・!み、見られてっ」
「ん?はいはい」

そう言って多分もう一度キスをしようとしたのだろう。頭の後ろに手を回されて顔を近づけられた時、

後頭部がズキリと痛んだ。

「ぅ・・・つっ!」
「っ!結吏、どうした?」

急に結吏呼びだとか、声変わったとか気にする余裕が無くて。

「い、たぃ・・・」

スッと後頭部を撫でられる。
そのまま背中まで撫で下ろされた手に抱きしめられた。

「・・・腫れているな。おい、美道」
「ああ。結吏少し触るぞ?」

立ち上がり、近づいてきた美道先輩に触診される。
そういえば、先輩は医者の卵だったな。

「コブが出来て熱を持っている。新しい傷だな。でも、」
「?」
「自分でここまで強く打つなんてことはないだろうが。」
「なるほどな・・・。ところで沙弥?」
「っ(ビクッ)」
「顔色が悪いようだが、気分でも悪いのか?」
「い、いえ、そんな事は・・・っ」

「結吏」

ああ、なんかヤバイ。
勘がそう叫んでいる。

「ダレに、やられた?」



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コメント

  • さき

    ご馳走様です!
    ニヤニヤが止まりませんでした!可愛い

    4
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