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平凡男子の受難

安里あさ

act.21


「んん~!レポート終わったぁ!」
「ゆ、結吏?煩いよ」
「あ、悪ぃ!」

俺らは図書室脇に設置してある個室に篭って勉強中。高校までの俺には想像出来ないだろう。

「(わざわざ図書室にきてまで勉強とか・・・)」

せいぜいドリンクバーのあるファミレスで教科書だけ広げて何時間も食べて飲んで騒いでくらいだ。
(勉強してないとかツッコミなしで)

それにしても『ゆ、結吏』なんて。
名前呼ぶのに躊躇するとか、沙弥は慣れていない感じだった。
あんなに話すのも上手で有名人なのに何だか意外だ。・・・まあ徐々に慣れてもらえれば嬉しいけど!

「そろそろお昼時だね。」
「ん~、腹減ったな!」
「・・・結吏は、ご飯どこで食べるつもり?」
「食堂かなーと思ってるけど。」
「誰かと約束?」
「いや、・・・1人だけど。」
「そっか・・・」


そう言って何かを考えている沙弥。
正直この流れで一緒にご飯も、と思っていた俺だったが・・・。

多分沙弥は誰かと約束があるんだろう。

「っんじゃあ、俺食堂行ってみるから!」
「・・・待って結吏。もし、良ければだけど」
「?」
「ぼくと一緒に来ない?」
「え?!い、いいのか?」
「大丈夫。・・・多分。」

友達がいなくてずっとボッチ生活だと思っていた俺はすごく嬉しくて、沙弥に案内されながらも何度か礼をのべた。

それに対して沙弥は前を向きながらも進まない表情を浮かべていて、俺は段々不安になる。
(だからといって今更帰れと言われても、方向音痴な俺には場所がてんで分からないんだけど・・・)


「沙弥・・・?あのさ、誘ってくれたのは嬉しいけどもし沙弥が嫌なら俺、」
「ぼくが嫌とかではないんだ。ただ・・・」
「ただ・・・?」
「もしかしたら、結吏が困るかなって・・・」
「えっとそれはどうゆう・・・」

―ポーン・・・―
タイミングが良いのか悪いのかエレベーターが鳴った。

「・・・何でもない。行こう?」
「何でもない、って・・・」

俺めちゃくちゃ不安なんだけど?!



(沙弥side)

「結吏はさ、」
「ん?」
「ぼくに、その、・・・媚びたりしないんだね」
「へ?媚びるって"沙弥様~"っとか?無い無い!」

なんて心底可笑しそうに笑う結吏を見て、久しぶりに心がぽかぽかしてきたぼくは
結吏に背中をむけて少しだけ笑った。



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