平凡男子の受難
act.11
仮眠をとっていた俺は賑やかな声に起こされた。
頭がボーッとする・・・。
「あ!起きたよー!」
「やっとお目覚めかい?」
「・・・?」
俺はソファーを一つ占領して寝ていたらしく目を開けると知らない人に顔を覗き込まれた。
・・・ん・・・?誰だこの人達・・・?
「ふふっ、おはよう。まだ眠そうだけどねぇ(チュ)」
「・・・ねむ、い(ヨダレとか、垂れてないかな・・・(ゴシッ))」
「お口もしてほしいの?(チュ)」
「・・・・・・っ!!!」
「ふふふっ」
―ガバッ!
「何すんだっ、」
―ゴツン!
「~~痛てぇっっ!!」
「お前学習能力ないのか、ああ?」
寝起きの俺を襲ったのは目の前でニコニコしている柊真先輩からの瞼や口へのキス。
そして宮原先輩からの拳骨だった。
しかも知らない生徒に見られるとかなんて仕打ち・・・。台所へ消える宮原先輩の後ろ姿を睨みつける。
「~っ!(俺は今回被害者だっての!)」
「あららー、めちゃくちゃイイ音」
「まこっちゃん加減知らないもんね!いったそ~っ!」
「うんうん、涙でてるよ。かわいい~」
俺の左右に腰掛けてきた知らない2人は置いて、俺の頭を優しく撫でながらどこか満足気に頷く柊真先輩をジト目で見る。
原因はアンタだからなっ!!
「くそー・・・っ」
「凄く痛かったねぇ。目、うるうるしてる(チュ)」
「・・・っいやいや!なんで、」
「ふふっ、こっちもね?(チュ)」
「・・・ちょっと!っやめてください!」
腕を突っ張って、目尻にキスを落としてきた柊真先輩を押し返す。
左右前方を人の壁に塞がれ逃げ場がない。
仕方なしにソファーに立ち上がり見下ろしながら文句を吐き出す。
「何してんですかっ!さっきから!」
「ん?何って、」
「俺にちょっかい出して楽しいですか?!イタズラとかで済むレベルじゃないですよねっ?!」
「ふふっ、怒ってる。かわいいなぁ~」
「ちょっとちょっと。それ火に油、注いじゃうやつじゃない?」
「とーまってばおドジさん!」
アハハって、何なんだっ!
目の前で話してる男3人は笑いあっていて俺が怒っている事なんて意にも介してない。
ふざけんなっ!!
「俺真面目にっ、」
「はーい、ご飯完成したよ」
「おいしそ~っ!」
「んん~、パスタか、洒落てるね」
「おい、ソファに立ってんな。ガキかお前は。座れ」
「んふふっ、はーい座ろうねぇ」
「・・・」
美道先輩、宮原先輩がランチを運んできて、俺の大演説を聞いてくれる人なんてこの場には一人もいなかった。
ボーゼンと立ち尽くしていると腰あたりをギュッと抱きしめられてソファーから降ろされ、一人掛けへと座らされる。
柊真先輩の足の間に。
「・・・ちょ、何ですかこの体勢!」
「ん?他に空いてないからねぇ」
「いやだって、」
見渡す限り男が5人。そして俺。
ソファーは1人掛けが3つと、3人掛けが一つ。
3人掛けには宮原先輩と美道先輩。間が空いているが、ギロりと宮原先輩に見られ、美道先輩は苦笑していた。
図体でかい男3人がそこに座るには、キツイですよネー。
「何でもないっす・・・」
「ふふっ」
「何ならお兄サンの所、くる?」
「レイはダメでしょ~っ」
「冷めないうちに食べるとしよう。」
「うまい。」
「あら、宮原もう食べてるじゃん」
「ボクも食べよー!んん、おいしぃー!」
・・・はぁ。もう諦めてメシ食うか。
「柊真先輩。俺床に座るので、」
言いかけて後ろを振り向いたら
柊真先輩が口を開けていた。
「あーん」
「いや、え?何すか」
「お腹すいたなぁ~」
「いや、食べてくださいよ」
「ふふっ、あーん」
「いや、」
「お腹すいた、」
「それさっき聞きましたっ!だから、」
「あ、誠ストップストップ」
「え?」
柊真先輩の視線は俺を越えて宮原先輩に注がれていた。その手は固く握られて今にも振りあげられようとしている。
その着地点は言わずもがな俺の頭だろう。
・・・なんで?!
「え、あの、宮原先パ、」
「うるせぇ。」
「ちょ、落ち着いてくださっ、」
「うるせぇって言ってんだろーが。」
「えと、あの(ムグッ)」
「ふふっ、お口にチャック、ご飯食べよーね。結くん」
「!(コクコク)」
「ったく、ほんとにガキじゃねぇか」
「んふふっ、ホントにかわいいよねぇ」
「かわいくなんてな、むぐっ!」
ふふふっ、なんて笑いながらパスタの皿を持ちフォークにパスタを巻き付けた柊真先輩は、自分の口ではなく俺の口にパスタを突っ込んでくる。
ちょ、喋ってたのに・・・!
「ふふっ、どう?美味しい?」
「・・・んまいっス」
「そっかそっか!はいもう一口」
「え、でも、」
「あーん」
「・・・いや、」
「(チラ)」
「(ビクッ)あー・・・(もぐっ)」
「いい子だねぇ、ふふっ」
柊真先輩の目線が気になる。時折俺の後ろを見てはニコニコしているのだ。騒げば宮原先輩に打たれると言いたいのだろうか。卑怯な・・・!
「(パクッ)ん~。美味しく出来ててよかったぁ」
「相変わらず料理上手いね~、柊真は」
「これなら毎日食べたくなっちゃうね!」
「そうかなぁ?(パクッ)」
「・・・え!これ、柊真先輩が作ったんですか!?」
「そうだよ~?ふふっ」
「(マジか・・・!)」
てっきり台所に立っていた美道先輩か宮原先輩だと思っていた。最悪、学食から貰ってきたものかと。
「俺は炒めただけだな」
「炒め方も大事なポイントだよ~。聖盟も上達してきたんじゃない?」
「そうだといいがな、」
「これ!めっちゃうまいです!今度教えてくださいっ」
「ははっ、いいよぉ」
だから今はいっぱい食べてね~、とパスタを口に入れてくれる先輩に何も言えなくなったのだった。
(んまいっ)
((ニコニコ)ありがと~(もぐもぐ)はい、あーん)
((パクッ))
(((たぶんあれは同じフォークで食べてることに全く気づいてないな・・・)))
―――
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コメント
砂糖漬け
キャラクターの外見についてすごく気になります…詳しく知りたいです┃灬❁˙๑)ちらっ