平凡男子の受難
act.9
柊真先輩の部屋は確かに上階で、俺が住む筈だった部屋は遥か下にある。とゆうか、部屋の扉からして構造が異なり高級そうなのだが・・・なんせ寮だし中は一緒だろと足を踏み入れて呆然とする。
え、何だこれ・・・?ちゃんと玄関があるぞ?!リビングに扉が何個かあって台所はアイランド型キッチンって
ここまるで普通のマンションじゃねえか!!
「はい!コレ、この部屋のカードね。」
「は?」
ゴツっ―
笑顔が二割増しになった柊真先輩が差し出したカードを見てつい口をついて出た一言(一文字)に反応したのは宮原先輩だった。
「さっきから口調が軽すぎる。」
「(痛ぇっ!)~っ!!すみませんでしたっ!」
頭がかち割れそうな位の拳骨をもらい、涙目で渋々謝罪した。
「すごい音がしたが・・・頭大丈夫か?」
すかさず心配してくれたのは美道先輩。
今は先輩相手に騒ぐ生徒の気持ちが分かる。
(この部屋に来るまで充分と言っていい程
先輩方への歓喜の悲鳴(男子生徒からのな!)と、俺への訝しがる視線を頂いた)
「ふふっ、痛かったね?冷やしてあげるから顔見せて。」
美道先輩に返事をするより先に、横から首を持っていかれるのではと思うくらいの勢いで顔を掴まれた。
仕方なしに柊真先輩の顔を見上げる。
・・・顔近すぎないか?それにしても柊真先輩てホントに綺麗な顔だよな
・・・って悲しくなるわっ。
「せ、先輩?」
「ん~、涙目もかわいいよねぇ・・やっぱり」
な に が 。
言っとくけど、18の男の涙目とか可愛いに一つも掠らないだろ。あれか、先輩には俺が小学生にでも見えてんのか?あん?
若干やさぐれ気味の心が伝わったのか目の前の柊真先輩が急にしょんぼりした。
「涙引っ込んじゃったね…」
何なんだよアンタ。何を求めてるんだ。
解放してもらった俺は痛む頭を擦りつつ、引越し業者の手伝いに名乗りを上げた。
もう頭ん中はめちゃくちゃで、考える事を放棄した。
俺は元々、肉体労働向きなのだ。体を動かせば少しは気分も晴れるだろうかと引越し作業に勤しんだ。
「・・・ねぇ、聖盟・・・?」
「柊真?しょぼくれてどうしたんだ」
「涙が出るツボとかないかなぁ・・・」
「は?あぁ、涙か・・・?・・・玉ねぎでも切るのはどうだ?」
「玉ねぎ!それいいねぇ(ニコ)」
「擽ったい時にも涙は出るものだし」
「擽るのも楽しそうだなぁ(ニコニコ)」
「他にも個人差はあるが怖い時や感動した時など、感情が動く時に人は涙を流したりするだろう?」
「ホラーとかでもアリかなぁ(ニコニコニコ)ありがとう聖盟!ふふっ、がんばろ~」
「何、大した事じゃないさ。」
「よし、結くん手伝ってこようかなっ!」
「・・・聖盟、柊真は」
「ん?柊真とは涙について話していたのだが、・・・ドライアイの心配でもしているのかと思ってな。」
「・・・」
「違うのか?」
「・・・・・・いや、(コイツも大概天然だよな。)」
こんな会話がされていた事を、生き生きと作業を続けていた俺は一つも知らない。
―――
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