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平凡男子の受難

安里あさ

act.8

「それであの、」
「とりあえず、自己紹介からしようよ!」

俺が勇気を出して発した声はとうま先輩の明るい声にかき消された。ちくしょう。

「僕のことは知ってると思うけど、一応ね。西道柊真(さいとうとうま)。とうまは柊に真実って書くんだよ。」
「宮原誠(みやはらまこと)」
「美道聖盟(びどうまさちか)だ。よろしくな」
「あ、俺は佐竹結吏です。よろしくです」

ぺこりと頭を下げて軽い挨拶を済ませる。
それにしてもとじっくり先輩方を見渡す。
この人ら、外見が整いすぎだ・・・。

柊真先輩はお兄さんな癒し系、宮原先輩は漢の中の漢、美道先輩に至ってはアイドルのようだ。
俺だってタッパ170はあるのに全員それより高い。そして学園にいるからにはご実家だって立派なはずだ。聞けば美道先輩は医者どころか院長の息子。天は二物を与えたわけだ。

「僕ら全員3年だよ~。それにしても、ふふっ」
「?」
「結くんが別棟にいた時は驚いたなぁ~」
「別棟、だったんですか?」

あそこには特別な何かがあるのだろうか?分からない俺のことを宮原先輩も美道先輩も驚きの目で見てきた。

「入学説明で聞いてないのか?お前ホントに何も知らないのな」
「まあ、外から来たら分からないのも無理はないかもな」

よっぽどのことをしてしまっていたらしい。
宮原先輩は呆れ半分、美道先輩は苦笑気味で説明をしてくれた。

「別棟は限定された特進クラスのみが入れる」
「時々例外もあるけど、基本一般生徒は許可なく立ち入りは出来ないんだ」
「え、」
「まあ理由は色々とあるけど、別棟が出来る前は特進と一般との間でトラブルが非常に多かった・・・。だから一般生徒の自由な出入りを禁止したんだ。」
「特進は特にガキの頃から知っている奴らばかりで転入生の場合すぐさま連絡がある。顔を知らない奴なんて居ないはずだ。」
「ふふっ、そうゆう訳で見たことない結くんがいたから実はすっごく驚いたんだよね。」
「そう、だったんですか・・・。因みに一般生徒が侵入したら、」
「よくて退学だとか聞くけどな。」
「ん~・・・、なんか前には勝手に入ってきてトラブル起こして次の日家ごと消えたとかも聞いたことあったよね?」

・・・そんな話一切知らないぞっ!
俺は柊真先輩に声をかけてもらえていなかったら入学初日にして退学だったかもしれないのか?
笑えない。

「柊真に救われたな」
「はい・・・っ、ありがとうございましたっ!」
「救うだなんて、大したことしてないけどねぇ」

ね?と柊真先輩は笑いかけてくれた。
この恩は必ず返そうと俺が密かに決意していると、部屋の前が騒がしくなったことに気づく。何事だ??

「やっと準備が整ったみたいだねぇ」
「遅かったな」
「急な事だったから仕方ないさ」

先輩方の言葉に首を傾げているとマイペースな柊真先輩に、よし行こうか~と手を掴まれて立たされる。

「え?何処に行くんですか?」
「どこって僕の部屋だよ~」
「は?!ここなのでは?!」
「ふふっ、僕の部屋は上階だよ。2年までは相部屋にしてたからまだ荷物動かしてなくて、さっき運んでもらうようにお願いしたの。」
「そうなんですか、ってなんで俺まで?!」
「ん?・・・結くん面白いから、相部屋だと楽しそうだなぁって思って。手配しちゃった」
「・・・面白そうってそれだけの理由で?!」
「どうせまだ荷解きしてないなら、お部屋移すのも簡単でしょ?今からお引越ししようねっ」

何が何だか。
もういっぱいいっぱいになった俺は
思考回路がショートしそうだった。

「俺一般生徒で一般人ですよ!?平々凡々すぎて無理です!意義をとなえますっ」
「ふふっ、また面白い事言ってる~」
「何一つ面白くないですからっ!」

「柊真お前まだ言ってなかったのか」
「そうゆうことは先に伝えておくべきだったなぁ」

俺らが言い合っている間に、部屋の前には大量の荷物、荷台、引越し業者。それから本来なら俺と柊真先輩の同室だった筈の生徒2人が揃っていた。

(な、何でこんなことに・・・)
(ふふっ、そんなに驚いた?)
(驚くも何も・・・!っもう疲労困憊ですよ・・・!)
(ははっ、それなら後でマッサージでもしてあげようか?ね!)
(・・・・・・はぁ・・・、要らないです)
((柊真楽しんでるなぁ))


――――――――
急に、部屋を移る+相方決めた=遊びに来い的な話を友達にした柊真センパイ。本人いざ知らず。
飲んでいた飲み物類は結吏の同室くんが、粗茶ですが良ければどうぞお使い下さいませっ!と提供してくれていました。あと色々小間使いしてくれていました(柊真同室相手への説明やら何やら・・・)。勿論お礼は後でたっぷり・・・。

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コメント

  • 砂糖漬け

    すごく続きが気になります…!

    3
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