ケーキなボクの冒険
その199 フェイリーの正体
ジャックとフェイリーは、リーフたちがいるサンゴの町に空から向かっている。
ジャックの傷はまだ癒えていなかったが、大ハゲワシに変身しフェイリーを掴んで出来るだけ急いで飛んでいた。早くしないとジャックに死ぬほど怒られるだろう。
リーフに似ている金髪の少女フェイリー。
しかしリーフの代わりになろうはずもない。
”リーフに会いたい”という強い気持ちがジャックの判断を鈍らせた。
「もうすぐサンゴの町ね。」
フェイリーが可愛らしい声で言う。
小高い丘の向こうに家々の明かりが固まっているのが見えた。
さっきまでいたシンジュの町より南にあるので、夜風も暖かい。海が近い匂いがする。
町中では目立つので、ジャックは”サンゴの町に続く道”の少し手前で地上に降り立った。
「さあ、行こうフェイリー。町までもう少し・・・歩けるか?」
ジャックはフェイリーの手を取る。
フェイリーは微笑みながらジャックにその手をあずけた。
その時、ジャックの掌に鋭い痛みが走る。
「!!」
見ると、小さい針が3本刺さっていた。
「なっ・・」声が出ない。
膝からガクリと崩れ落ちるジャック。視界が絞り込むように狭くなり、やがて真っ暗になった。
その様子を表情一つ変えずに見下ろすフェイリー。
左手を横に上げて何か呪文を唱える。
すると、男の姿になった。
「さあ、ボクの役に立ってもらうよ。ハゲワシのジャック。リーフをこの手にするために。」
リーフが大ちゃんである現実世界で彼は、”瞬”と呼ばれている。
サンゴの町
リーフとダグラス、アトラスは宿屋に泊まっている。
夜のうちに先を急ごうとしたダグラスだったが、リーフがひどく疲れている様子だったので1泊することにしたのだ。
(体が熱い・・・熱があるのかな・・・)
いつもに増して赤い頬っぺたになっているリーフ。
次の満月までの間に赤のドラゴンの欠片を集めないと世界が滅びてしまう。
もう1日として無駄にできない。気だけが焦る。
「さあ、横になりなさい。ゆっくり休んで。キミのことはもう何だってわかるんだよ。赤の欠片でつながったのだから」
紫の髪の英雄王にして吸血鬼アトラスは、リーフのベッドの横に立って優しく言った。
昨夜のことを思い出して顔が一層赤く熱くなるリーフ。思わずシーツを被る。
「・・・こんなに小さい君に無理をさせてしまったね。世界を救うためとはいえ、どうか許してほしい。
ああ、そのままでいいよ。」
リーフはシーツを被ったままアトラスの声を聞いた。
「でも少し良い知らせがあるよ、リーフ。ボクはこの日のために塔の地下で何百年も一人で知識の脳みそを喰らっていたんだ。キミを苦しみから救ってあげられるかもしれない。」
「アトラスさん・・・」
「ボクが吸血鬼であることは知っているね。吸血鬼は血をすするのみではないんだよ。人間の奥にある”魂”を喰らうんだ。それがなにかは実に表現しづらいのだけど、人を人として形にしている”核”だと思って欲しい。それがなければ人は”無”になるんだよ。」
「・・・はい・・・」
「ボクは知識の血の中で気づいた。”赤の欠片”とは、”核”に入り込んだ赤のドラゴンの”魂”であることに。」
ジャックの傷はまだ癒えていなかったが、大ハゲワシに変身しフェイリーを掴んで出来るだけ急いで飛んでいた。早くしないとジャックに死ぬほど怒られるだろう。
リーフに似ている金髪の少女フェイリー。
しかしリーフの代わりになろうはずもない。
”リーフに会いたい”という強い気持ちがジャックの判断を鈍らせた。
「もうすぐサンゴの町ね。」
フェイリーが可愛らしい声で言う。
小高い丘の向こうに家々の明かりが固まっているのが見えた。
さっきまでいたシンジュの町より南にあるので、夜風も暖かい。海が近い匂いがする。
町中では目立つので、ジャックは”サンゴの町に続く道”の少し手前で地上に降り立った。
「さあ、行こうフェイリー。町までもう少し・・・歩けるか?」
ジャックはフェイリーの手を取る。
フェイリーは微笑みながらジャックにその手をあずけた。
その時、ジャックの掌に鋭い痛みが走る。
「!!」
見ると、小さい針が3本刺さっていた。
「なっ・・」声が出ない。
膝からガクリと崩れ落ちるジャック。視界が絞り込むように狭くなり、やがて真っ暗になった。
その様子を表情一つ変えずに見下ろすフェイリー。
左手を横に上げて何か呪文を唱える。
すると、男の姿になった。
「さあ、ボクの役に立ってもらうよ。ハゲワシのジャック。リーフをこの手にするために。」
リーフが大ちゃんである現実世界で彼は、”瞬”と呼ばれている。
サンゴの町
リーフとダグラス、アトラスは宿屋に泊まっている。
夜のうちに先を急ごうとしたダグラスだったが、リーフがひどく疲れている様子だったので1泊することにしたのだ。
(体が熱い・・・熱があるのかな・・・)
いつもに増して赤い頬っぺたになっているリーフ。
次の満月までの間に赤のドラゴンの欠片を集めないと世界が滅びてしまう。
もう1日として無駄にできない。気だけが焦る。
「さあ、横になりなさい。ゆっくり休んで。キミのことはもう何だってわかるんだよ。赤の欠片でつながったのだから」
紫の髪の英雄王にして吸血鬼アトラスは、リーフのベッドの横に立って優しく言った。
昨夜のことを思い出して顔が一層赤く熱くなるリーフ。思わずシーツを被る。
「・・・こんなに小さい君に無理をさせてしまったね。世界を救うためとはいえ、どうか許してほしい。
ああ、そのままでいいよ。」
リーフはシーツを被ったままアトラスの声を聞いた。
「でも少し良い知らせがあるよ、リーフ。ボクはこの日のために塔の地下で何百年も一人で知識の脳みそを喰らっていたんだ。キミを苦しみから救ってあげられるかもしれない。」
「アトラスさん・・・」
「ボクが吸血鬼であることは知っているね。吸血鬼は血をすするのみではないんだよ。人間の奥にある”魂”を喰らうんだ。それがなにかは実に表現しづらいのだけど、人を人として形にしている”核”だと思って欲しい。それがなければ人は”無”になるんだよ。」
「・・・はい・・・」
「ボクは知識の血の中で気づいた。”赤の欠片”とは、”核”に入り込んだ赤のドラゴンの”魂”であることに。」
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