ケーキなボクの冒険
その198 フェイリー
フェイリーはニコニコしながらアーサーに言った。
リーフと印象が良く似た可愛らしい少女・・・ジャックは無下にも出来なかったに違いない。
「でもねお嬢さん、これから俺たちが行くところはとっても危険なんだ。か弱い娘さんを連れて行くわけにはいかないんだよ。」
フェイリーはアーサーに顔を近づけ、小声で言った。
「どうか、どうかお願いします。今夜のうちに私を連れてこの町から出て下さい・・・。でないと、私は奴隷としてお金持ちに売られてしまうんです・・・」
ジャックが続ける
「この女の子・・・フェイリーは身寄りがなくてこのバーの主人に育てられたそうだ・・・。健気にも幼いころから店を手伝っていたそうだが、客の中にフェイリーを気に入ったやつがいて、大金を積むから売ってくれと言ってきたらしい。明日、迎えが来るそうだ・・・。」
「・・・・」
アーサーは考え込んだ。小さな村ではよくある話だが、どうもこの少女がこのタイミングでジャックに近づいたのは怪しい気がする。
”身寄りのない”人間に優しいジャック。それを見透かしている気がするのだ。
「気の毒だがお嬢ちゃん、俺たちは行く先々で身寄りのない女を助けて回っている訳じゃないんだ。頼るなら別の人間にしてくれ。」
「いや!ほかの人なんていや!ジャックさんがいいんです!」
フェイリーは潤んだ目でジャックの服の裾を掴んだ。
いつもは女とみれば見境なく優しいアーサーだったが、なぜかこの少女には嫌悪感を感じた。
「ダメだ。とにかく他をあたってくれ!」
いつになく厳しい口調。
「待ってくれ、アーサー。こんなに頼ってくれているし、せめて隣の町まで送ってやりたいんだ。」
「お前、自分のケガも治りきっていないのに、他人の世話をしている場合じゃないだろうが!」
「・・・すまん、アーサー。オレはどうしてもこの娘をほおっておけないんだ。南にサンゴの町があるらしい。飛んで、そこまでフェイリーを送ってくる。ついでにリーフのことも調べてこよう・・・。明日の昼までには戻ってくる。今晩は自由にさせてくれ。」
ジャックはフェイリーをコッソリ店から連れ出し、すっかり暗くなった空に消えていった。
「なんだよ!あいつ!ジャック!!」
なんとなくむしゃくしゃイライラするアーサー。
ガンガンやけ酒をあおる。
イライラというより、なにかしら黒い雲のような不安が心に立ち込めていた。
「くっそ!」
酒のお替りを店主に頼もうとした時、一瞬早く横のおっさんが注文してアーサーは後回しになった。
「店主さん、昼にいた金髪の可愛いお嬢さんはいないのかい?」そのおっさんが注文のついでに尋ねる。
(フェイリーのことか・・・ジャックが連れだしたからな・・・。いないのがそろそろバレたか・・・)
とアーサーが思っていると、
「ああ、あの子ね。なんでも旅の商人の娘で、勉強のために少しだけ働かせてほしいって言ったんで、数時間手伝ってもらっただけなんだよ。
ずっといてくれたらこんな酒場も明るくなって、よかったんだがねぇ。」
バンッ!!
アーサーは席を立ちあがって店から飛び出した。
リーフと印象が良く似た可愛らしい少女・・・ジャックは無下にも出来なかったに違いない。
「でもねお嬢さん、これから俺たちが行くところはとっても危険なんだ。か弱い娘さんを連れて行くわけにはいかないんだよ。」
フェイリーはアーサーに顔を近づけ、小声で言った。
「どうか、どうかお願いします。今夜のうちに私を連れてこの町から出て下さい・・・。でないと、私は奴隷としてお金持ちに売られてしまうんです・・・」
ジャックが続ける
「この女の子・・・フェイリーは身寄りがなくてこのバーの主人に育てられたそうだ・・・。健気にも幼いころから店を手伝っていたそうだが、客の中にフェイリーを気に入ったやつがいて、大金を積むから売ってくれと言ってきたらしい。明日、迎えが来るそうだ・・・。」
「・・・・」
アーサーは考え込んだ。小さな村ではよくある話だが、どうもこの少女がこのタイミングでジャックに近づいたのは怪しい気がする。
”身寄りのない”人間に優しいジャック。それを見透かしている気がするのだ。
「気の毒だがお嬢ちゃん、俺たちは行く先々で身寄りのない女を助けて回っている訳じゃないんだ。頼るなら別の人間にしてくれ。」
「いや!ほかの人なんていや!ジャックさんがいいんです!」
フェイリーは潤んだ目でジャックの服の裾を掴んだ。
いつもは女とみれば見境なく優しいアーサーだったが、なぜかこの少女には嫌悪感を感じた。
「ダメだ。とにかく他をあたってくれ!」
いつになく厳しい口調。
「待ってくれ、アーサー。こんなに頼ってくれているし、せめて隣の町まで送ってやりたいんだ。」
「お前、自分のケガも治りきっていないのに、他人の世話をしている場合じゃないだろうが!」
「・・・すまん、アーサー。オレはどうしてもこの娘をほおっておけないんだ。南にサンゴの町があるらしい。飛んで、そこまでフェイリーを送ってくる。ついでにリーフのことも調べてこよう・・・。明日の昼までには戻ってくる。今晩は自由にさせてくれ。」
ジャックはフェイリーをコッソリ店から連れ出し、すっかり暗くなった空に消えていった。
「なんだよ!あいつ!ジャック!!」
なんとなくむしゃくしゃイライラするアーサー。
ガンガンやけ酒をあおる。
イライラというより、なにかしら黒い雲のような不安が心に立ち込めていた。
「くっそ!」
酒のお替りを店主に頼もうとした時、一瞬早く横のおっさんが注文してアーサーは後回しになった。
「店主さん、昼にいた金髪の可愛いお嬢さんはいないのかい?」そのおっさんが注文のついでに尋ねる。
(フェイリーのことか・・・ジャックが連れだしたからな・・・。いないのがそろそろバレたか・・・)
とアーサーが思っていると、
「ああ、あの子ね。なんでも旅の商人の娘で、勉強のために少しだけ働かせてほしいって言ったんで、数時間手伝ってもらっただけなんだよ。
ずっといてくれたらこんな酒場も明るくなって、よかったんだがねぇ。」
バンッ!!
アーサーは席を立ちあがって店から飛び出した。
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