ケーキなボクの冒険

丸めがね

その133

ハゲワシの怪鳥ジャックは、大地に降り立つとすぐに人間の姿になり、アーサーのもとへ駆け寄った。
「おい、リーフはどこだ?!どこだどこだどこだ~~~!」「おいおい、焦るなよ、ジャック」
アーサーは今朝、煙球を使ってジャックを呼び寄せていた。遠くの空に自分を呼ぶ煙を確認したジャックは大急ぎで駆けつけたのだ。アーサーはジャックに、これまでの旅の要点を話す。
ツバサの国のエリー姫が、ハエの化け物になって目の前のお城に立てこもっているということ。リーフはその中に連れて行かれたということ。
リーフが赤の欠片を集める者ではないかもしれないということ。
「おいおい、待てよ、いろいろツッコミどころがある状況だけどな・・・。
リーフが赤の欠片を集める者じゃないって、どーゆーことだよーーーー!!!」
「だから説明しただろ。アリスとかいう美人の巫女が現れて、自分こそがその使命を受けていると主張したんだってさ。いいじゃん、美人の巫女が相手になったんだから。」
「アーサー、それ本気で言ってるのか?俺は違うぞ。リーフだからしたいと思ってるし、リーフだから可愛いし、守ってやりたいと思うんだ。リーフじゃないと起つものも起たん!!」
「まあ、ジャックって可愛くてセクシーなのね。こんなところで起つとか起たないとか・・・。アタシ興奮してきちゃう♡」ロザロッソがジャックにすり寄ってきた。
「な、なんだよお前は。」「ロザロッソよ、ジャック。」「あーそうそう、紹介してなかったな。リーフが連れてたロザロッソだ。死の武器商人、ガンダフの息子だってさ。あ、で、ホモだから。」「!!!」ジャックは自分にへばりつく金髪のホモをベリッとはがす。
「ちょっと!早くリーフを助けてよ~~~!」唯一、仔馬のクロちゃんだけがまともなことを言ったのだった・・・。


「上空から城を見たが、巨大なハエはいなかったぞ。無数の銀バエは城の上を守っていたが」とジャック。すきあらば近づこうとするロザロッソを避けながらの説明である。
「じゃあ、強行突破といきますか。煙球を使ってハエが逃げたところを、上空からジャックと降りてみよう。城の建物の中に入ったら、まあなんとかなるだろう。巨大なハエが襲ってきたら、殺す方向で行かないとこっちが殺られるな。リーフには悪いが仕留めるぞ!」
アーサーは大雑把な作戦を立てた。


そのころ、リーフは。ハエの大群に囲まれて息苦しくなり、意識を失っていたが、誰かの呼びかけで目覚めつつあった。
「リーフ・・・大丈夫かい?リーフ・・・。」やさしい、聞き覚えのある声。
アーサーでもない、ジャックでもない、マーリン、ララ、ブルー、ベイド、シャルル、ヒュー・・・・誰でもない。
「クルト・・・。」リーフは自分を心配そうに見ている茶色の瞳を見た。
「気が付いた・・・よかった、リーフ。」クルトは馬小屋で一緒に働いていた時と同じ調子で話しかける。
「ここは・・・。ツバサの国のお城の中、だよね・・。」「そうだよ、リーフ。緑の間だ。」たしかに、壁や床や、様々な調度品に緑色が使われている。
「あの・・・クルト」「うん?」「あなたは一体何者なの?」ずっと抱いていた疑問。ハエの化け物と化したエリー姫とともに消え、城の中にいるクルト。
リーフは変わらない優しい手でリーフの頭をポンポン叩いた。「会いたかったよ、リーフ。だから君には話そう。ボクのことを。」

クルトはベッドの端、リーフの横に腰かけた。
、「僕の母は、ツバサの国の王の妾だったんだ。」

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