ケーキなボクの冒険

丸めがね

その104

サスケはリーフを部屋に運び、ベッドに置いた。白いシーツに包まれる黒髪の小さな少女。グッスリ眠り込んで起きそうにない。
さっきロックがはだけたリーフの胸がやわらかく揺れる。
サスケはリーフの服を一枚づつ剥ぎ取った。白い肌がすべてあらわになる。よく見るとリーフの体は傷だらけだった。
(見かけより・・・苦労してるのか?)サスケは、体の隅々まで調べた。まだ、ブルー王につけられた紅い跡が全身に残っている。足を開かせるとき、無意識ながらもリーフは抵抗したが、眠りから覚めることはなかった。
サスケは、リーフの何も知らない体を確認すると、自分もマスクを取り、上着を脱ぎ棄て上半身裸になった。
黒く長い髪を一つにまとめている。弓のようにしなやかな引き締まった体。鋭く美しい瞳でリーフを見つめる。
(俺は・・・この娘を抱くのだろうか?)サスケは、彼にしては珍しく戸惑っていた。
彼女を抱くことは「命令だよ」と、ロック王子に言われた。主である王子の命令、いつもであれば何の迷いもなく実行しただろう。主が命を差し出せと言われればそうすること、そう育てられてきた。
ベッドに横たわるリーフの上に乗り手をつく。髪、目、唇、首筋を通り、胸に触れると、寝ている体がビクッとした。清らかなままだが、随分敏感に反応するようになっている。
(もし、このまま抱けば、この娘は目覚めた時ひどく悲しむだろう・・・・)リーフの反応を観察しながら、まだサスケは迷っていた。
唇を重ねた時、森でリーフに言われたことを思い出した。「どうしてこんなことしたの?」
(どうしてだろう・・・)彼は、この薄く艶やかな赤に色づいた唇に触れなければない気がしたのだ。
同じく色づいた胸に舌を這わすと、リーフの頬も赤くなった。肌がしっとりと汗ばむ。「あ・・・」唇から声が漏れてきた。サスケは背中がゾクッとするのを感じる。
もっと違う他の声も聴きたい、と思う。

その時、サスケの肩がズキッと痛んだ。火を当てているかのように熱い。幼いころから時折痛むことがあったが、今回は激しい痛みだった。
まるで、肩の中にある何かが、急かすように暴れている感じだ。はやく、はやく、ひとつに、はやく・・・・・・・・・・・・
サスケは、頭が何かに乗っ取られるような恐怖を振り払おうとする。このまま、体が求めるままにリーフに入ってしまったら、何かが起こってしまうと。
頭と体中が熱く身悶える。”はやく、ひとつに、はやく、はやく・・・・”と。


洞窟の外、雪道のクルト。ロックには、ヒョウガの国の城の様子を報告に来てくれる兵士を待つと言ってあった。事実、少し前に兵士は来て、エリー姫が突然いなくなった城内の様子を教えてくれた。
エリー姫が連れてきたツバサの国の家来たちは大慌てで城やその周辺、街中も探し回っているらしい。姫に何かあったらツバサの国とヒョウガの国の関係も危ぶまれるため、ヒョウガの国の兵士も総動員されている。
特にツバサの国から来た姫の親衛隊長はひどく怒っていて、あと5日以内に姫が見つからなければ、ツバサの国の父王に報告するという。

城から来た兵士が報告を終えて帰った後も、クルトは雪道に立っていた。すると、どこからか緑のマントを被った女がやって来た。
女がクルトに手を伸ばすと、クルトは膝をついてその手に口づけをした。
「お待ちしておりました。母上。」

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