ケーキなボクの冒険

丸めがね

その99

「エリー姫を誘拐?!」
「正確には、誘拐監禁だけどね!」
「もっと悪いよ・・・」
ロックの突拍子もない提案に驚くリーフとクルト。
「エリー姫の体をもとに戻すには、ゆっくりじっくり食事で、体の内側から治すしかないんだよね。そばにリンゼイ王妃の息がかかりまくった侍女たちがいる環境じゃ無理でしょ?だから、どっかに監禁してテッテーテキにやる!」
「そんな、ダメだよ・・・!」リーフが焦っていると、「いや・・・、そうするしかないかも・・・」クルトが乗り気な発言をした。
「たしかに、姫様のあの状態を治すには時間が必要だよ。周りにいる者も邪魔だ。どこかに閉じ込めて、キチンと治療できれば・・・」
「クルトまで!でも姫様を誘拐なんてしたら殺されちゃうよ!もしできてたとしても、誰にも知られずに姫を閉じ込める場所なんてな・・・」あった。ヒョウガの国の山にある、竜の舌の洞窟だ。
「あるんでしょ~?」
ロックがニヤニヤしながらリーフを肘でつつく。
「あるけど・・・。それには・・・ブルー王の協力が必要だし・・・いやいや、そもそも誘拐なんてできないよ!」
「大丈夫だって!リーフはチビで巨乳で可愛いくせにネガティブだなぁ!」「チビと巨乳は関係ない・・・」
「大丈夫、誘拐は知り合いに頼むから任せて!」
「知り合いって・・」
「サスケ!」
ロックが叫ぶと、3人の周りに風が巻き起こる。風が止んだとき、ロックのすぐ後ろに黒い影が立っていた。
それは全身黒づくめの長身の男、顔の下半分は黒のマスクで覆われている。
「あ、あやしすぎる・・・」ひるむリーフ。「そ、その方がお友達かな・・・?」
「そうだよ!サスケっていうんだ!よろしくね!」サスケと呼ばれた男は、鋭い眼光を隠すかのようにお辞儀をした。



「リーフはとにかく、ブルー王に洞窟に入れるように頼んどいて!!」というロックにせかされて、ブルーのところへ歩くリーフ。なんとなく流れで断れなかったが、足取りが重い。
(どんな顔してブルーさんに会えばいいんだよ・・・)ブルーに会う段取りは、バニイさんがつけてくれた。彼は中庭の噴水のところで、一人で待っているという。
細い通路を抜けると、ブルーが噴水のヘリに腰を掛けて座っているのが見えた。水面がキラキラ光り、それがブルーの顔に反射してとても綺麗だ。
でもなかなか近づけないリーフ。近くで話すのが怖い。
ブルーはすぐ、通路の出口で立ち尽くすリーフを見つけた。目が合う二人。
「・・・・ブルーさん・・・あの・・・」足が震えた。自分で思った以上に、森での出来事がショックだったのかもしれない。まだ、ブルーの熱い舌と肌の感触が残っている気がした。
「リーフ。」名前を呼ばれてビクッとする。ブルーが近づいてきた。
湿った石の壁に押し付けて、当たり前のようにキスをする。そして包むように抱きしめた。「お前を見ると全てが台無しだ。もう何度もあきらめようと思ったが、やはり無理だ。こうするのは、赤のドラゴンのせいじゃない・・・運命なんだリーフ。お前が私に会いたがっているとバニイから聞いたとき、どれほど喜びで心が震えたか・・・」
「あの・・・今日はお願いがあってきただけなんだ・・・。竜の舌の洞窟の鍵を貸してほしくて・・・」
「竜の舌の洞窟の?なぜだ?」「それは言えないんだよ・・・。失敗した時に迷惑がかかるからって・・・クルトが・・・あっ!」ブルーがリーフの胸を乱暴に掴んで白い首を噛んだ。「は・・・あっ・・・痛いよ、やめて・・・」「その口からほかの男の名前を聞きたくない。」
「わかったよ・・・おねがい、鍵を・・・貸して・・・」「鍵なら私の胸にかかっている。自分で取るといい」「どうしてそんな意地悪するの・・」「嫌か?鍵はいらないということか?」
鍵は、ブルーの服の下。リーフは仕方なく、震えながらブルーの上着のボタンをひとつづつ外していった。

ブルーの肌があらわになる。男の匂いがした。胸のところにある金の鎖に金の笛が付いている。雪山で見た、洞窟を開けるときの鍵だ。
笛だけでは取れないので、鎖ごと外そうとしたとき、ブルーはリーフの両手を掴んだ。
「口だけで取りなさい」「無理だよ・・・!無理・・・」しかしブルーは許してくれない。
リーフは笛を口に咥えた。どうしても唇がブルーの胸の肌に触れてしまう。しかもブルーはリーフより身長が30センチ以上は高いので、頭から鎖を抜くことができない。
その間、ブルーは好き勝手にリーフの体を弄んでいた。全身を赤くして震え、泣きそうな少女のことが、愛しいのか憎いのかもう分からない。ただどちらの感情だとしても自分を止められなかった。
その様子を、エリーが3階の窓辺から冷たく見降ろしていた。


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