ケーキなボクの冒険

丸めがね

その86

ず~んと落ち込んでいたリーフだが、しばらく考えて、めずらしく前向きな結論を出した。
「とりあえず!いまは!エリー姫をナントカしよう!!」
でも、ナントカって、結局どうすればいいんだろう?エリー姫が幸せになって、呪われた”泉の者”にならないこと。
幸せになるって何?ブルー王と結婚すること?このまま結婚しても、本当に心から幸せだろうか?
「う~ん、女の子が幸せそうな時ってどんなんだっけ?」がんばって考えるリーフ。学校で、リーフがお菓子を配って、それを食べているときの女の子はすごく幸せそうだった。「お菓子ならボクでも作れるし、そう言えばスカーレットさんも喜んでくれてたし。でも、お菓子を食べただけじゃ幸せは続かないよなぁ」
「そういえば」リーフはハッと思い出した。お菓子を食べているときも、女の子は「太っちゃう」と気にしてたし、よく聞かれていたのは「私可愛いかな~」だった。
「ひょっとして、女の子は自分が可愛いと幸せなのかな」リーフ、元は男なのでいまいちピンとこないが、そりゃ女の子は可愛いほうがいいんじゃないかと思う。
「よし!方向性としては、(エリー姫を可愛くする)大計画だ!!」
とはいえ。「・・・エリー姫を可愛くかぁ・・・。なかなか難題だぞ・・・」
でも、ちょっと望みもあった。実はリーフ、女の子のすっぴんを見ることがよくあったのだ。男として扱われていなかったせいか、女の子たちはリーフの前では気を抜きまくっていた。
眉毛薄い、まつ毛盛ってない、アイライナー引いてない、チーク入れてない、カラコン入ってない、それだけで顔って驚くほど変わる。ようするにほとんどの女子の元の顔はそこそこなのだった。
「痩せて、肌がきれいになれば、エリー姫はそんなに酷い顔の作りではないと思うんだよね。となると、エリー姫が太って肌荒れしてる原因を探らなきゃだなぁ。」
リーフは決めた。
「よし!新入り召使としてエリー姫に近づこう!!」


夜になって、クルクルもベイドも部屋に帰ってきた。そこで、リーフは自分の考えを発表した。
ベイドは渋い顔をしたが、クルクルは、「いいんじゃない?!いつまでも隠れてるわけにはいかないしさ、田舎から雇われてきた新入り召使なら怪しまれないだろうし。まあリーフってそんな感じだし」と賛成してくれた。
「どんな感じだよ・・・」と思うが。
「ところでリーフ、女の子に戻ってるけど、誰とキスしたの?」「えっ」
ついベイドと目を合わせてしまった。
「は・は~ん・・・。そういうこと。ま、いいか。どうせ召使なら女の子にならなきゃいけないしね。」
ベイドは咳払いする。「ゴホッゴホッ・・・。で、では、召使の衣装は私が何とか調達しよう。」リーフは急に、さっきベイドが自分にしたことを生々しく思い出して顔が熱くなる。真っ赤になるのが止められない。
「うわっ。リーフ、顔真っ赤だよ?ホント一体何したの?」面白そうに聞いてくるクルクル。ベイドも赤くなった。
ドアの外では、ブルー王が3人の会話を聞いていた。

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