ケーキなボクの冒険

丸めがね

その81

リーフたち一行がヒョウガの国の中央にある、ブルーの青い城にもうすぐ着くというとき、行く先から馬に乗った兵士が駆けてきた。
「ブルー王よりのご伝言を急ぎお伝えします!・・・リーフ様とベイド様、クルクル様は申し訳ありませんが、城の裏口より入られるようにとのことでございます・・・!」
「なにっ?!」間髪入れずに怒鳴ったのはベイドだった。
「リーフ様は、ブルー王が妻にと望まれたお方ぞ!なにゆえ裏口から入れなどと申されるか!」
兵士は困った顔をした。
「・・・エリー様か・・・」何も聞かなくても答えは分かる。ベイドもうつむいた。大国、ツバサの国はヒョウガの国にとって最大の脅威である。その国の王女が今、ブルーを愛するあまり追いかけてきた。そこに妻にしたという娘が現れれば、大変なことになるだろう。
「大丈夫だよ、ベイドさん!ボクは別に表からでも裏からでも!」リーフは明るく言った。「そもそも妻になった覚えはないし。(えっちはしたみたいだけど・・・)」これは小声で言った。
ベイドもリーフの明るさに救われ、仕方がないとばかりに承諾する。内心、リーフはホッとしていた。(さっき聞いたみたいに怖いお姫様なら会いたくないな・・・)

リーフ、ベイド、クルクルの3人は指示通り、少し遠くなったがお城の裏門に回った。裏門の横に小さな通用口みたいなのがあって、そこを守る兵士はあらかじめ説明を受けたらしく、3人をすんなり通してくれた。
「うわあ、きれい!」ブルーの城は外壁が青白く、とても美しい城だ。リーフは実際生で見て感動した。以前、ブルーの記憶に入ったときにおぼろげにこの城を見ていたが、目の前にそびえる青い城は神々しいばかりに美しかった。
「この城に使っている壁の青白い石は、このヒョウガの国でしか採掘できない、しかも数が少ない貴重なものです。気高いほどに美しく、強く、汚れることがありません。」ベイドはうっとりと見惚れるリーフに言った。「ヒョウガの国の民にとって、この城は何よりも誇りなのです。」

リーフたちは兵士の案内で、城の端にある、離れの塔の一室に案内された。豪華とは言えないが清潔で品のある調度品が置かれた素敵な部屋である。「リーフ様に・・・このような離れを・・・」ベイドは不満でブツブツ言っていたが、リーフは暖かい部屋に入ることができてホッとしていた。(雪山、怖かったんだよね)ふかふかのベッドにダイブする。

そのころ、ブルー王は、旅に加わっていた一人の兵士から、リーフたちが無事に城に入ったことを耳打ちされていた。すぐ隣の部屋にはエリー姫が控えている。ブルーは再三、エリー姫との結婚は、ヒョウガの国の状況から無理だと説得したが、全く聞き入れてもらえなかった。また、ツバサの国の王からの書状を携えていて、それはエリー姫と結婚するならいかなる援助をも惜しまないこと、結婚しなければこれまでの友好的な関係は厳しいだろうと書いてあった。事実上、ブルー王に選択肢はない。
コンコン
王の部屋がノックされる。王の返事を待つことなく、午後の着替えを終えたエリー姫が入ってきた。
醜く太った体、つぶれたような顔にはかなりの数の吹き出物ができていて、ガマガエルを連想させる。
着飾ったガマガエル
それがエリー姫の、ツバサの国のお城での、影のあだ名になっていた。

「ブルー王、私は結婚するかしないかをお話に来たのではありません。いつ婚儀をあげるかを決めるためだけに来たのでございます。もし・・・ブルー様がほかに妻にとお考えの女がいるのであれば、我が父はその者、生かしてはおかないでしょう。」


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