ケーキなボクの冒険

丸めがね

その66

リーフの口に何か熱いものが流れ込む。
それはのどを通って、胃に入っていった。
「ん・・・」
リーフが気が付くと、王子の腕に抱かれていて、口移しで何かを飲まされていた。
「?!」
「きつい酒だが、体を芯から温める。ちゃんと飲みなさい。」
さらに口移しされる。リーフはふらふらしながらもブルー王を押しのけた。
「ゲホッ、ゴホッ・・・。もう大丈夫ですから、自分で飲めますから・・・!」
ブルーは無言で自分の持っていた鉄のグラスをリーフに渡した。中身は綺麗な茶色の液体だけど見るからに濃い感じのお酒。飲もうとすると目に染みた。ブルー王がしっかり見ているので、仕方なくチビチビと飲む。「うえっ・・」
リーフが渋い顔をすると、ブルーはフッと笑った。「乙女は男子の前でそんな顔をしないものだよ。ああ、キミは純粋に女ではないのか・・・。まあいい、その調子だともう大丈夫だな。」
気が付くとリーフは男子用のもこもこした服を着ていた。荷物を限界まで減らした山の旅、女物のドレスなどなかったらしい。
(ということは・・・ボクはまた裸にされて・・ってことか・・・とほほ・・・)まあ、今回は起きたら服を着ていて、しかも男物なだけましである。
「リーフ・・・お前がホシフルの王子にとってどれほどの価値があるかわかった。その大事なものを奪ったら、さぞかし苦しむだろうな」
ブルー王はリーフを毛皮の上に押し倒す。持っていた鉄のコップが倒れてお酒がこぼれた。赤く燃える薪がリーフとブルーの顔を照らす。ブルーの顔からはいつもの微笑が消えていた。
(怒り…?)
ブルーから何か怒りのようなものを感じる。リーフに滅茶苦茶にキスをして、せっかく着せた服を脱がし始めた。
「ボロボロになったお前をマーリンの前に突き出して地獄に落としたいものだ・・・!」
もはやブルーは正気でないように見えた。「止めてください!」
リーフは手に届きそうなものをまさぐって探す。薪の木が手に当たった。掴んで思いっきりブルーにぶつける。ブルーは右手で受けたが、赤く火傷をした様だった。
ブルーの目が冷たくリーフを捉える。リーフに馬乗りになって何度も平手打ちし、ぐったりしたところに覆いかぶさった。
抵抗をやめた手を払いのけ、ズボンを脱がせる。
リーフの白い太ももがあらわになった。
ブルーは腰を腹を、男の子の時とは違うところをまさぐる。「やめて・・やめて・・・」
口の中が切れて血の味がするが、リーフは声を絞り出した。すぐ横の炎の熱さと、お酒の強さと、殴られた痛みのせいで頭がボーっとする。
ブルーの手が、リーフの太ももに触れた。
「!!!」
妖精の婚印
それにブルーの指が触れた時、リーフの頭に何かわからない映像が流れてきた。
氷の大地、青い城、二人の人間。
それはブルーと見知らぬ女の人だった。


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