ケーキなボクの冒険

丸めがね

その55

しばらくリーフは王子に身を任せるしかなかった。
ほとんど裸にされて、王子の肌と自分の肌が触れ合う。しっとりとした肌の感触が妙に気持ちいい。王子の舌が全身に這いまわるのを止められなかった。
(このままマーリン王子としちゃうなかな・・・)ぼんやりした頭で他人事みたいに考える。スカーレットが飲ませた何かのせいか、そんなに嫌じゃない気がした。
何かが下半身に触れる。そのあと、激痛が走った。
「いたいっ・・・やめて・・・」
「え?私はまだ・・・・」
「ん?」

少し正気に返るリーフ。お腹の辺りを見ると、ギロリとにらみを利かせたこだぬき・・・じゃなくてクルクルがいた。リーフのおへそのあたりをカプリと噛みついている。
「あいたたた!やめてよクルクル!」
クルクルは、噛んだ口を離すと、リーフに覆いかぶさっているマーリンを睨むように唸り声をあげた。どうやらリーフとマーリンが何かしているのが気に入らないらしい。
王子がクルクルをベッドから降ろしても、何回も何回も這い上がってきた。
そして怒ったようにリーフの頭に乗っかり、髪をぐしゃぐしゃにかき回してしまった。
プンプンの小さな動物と、グシャグシャの頭の小さなリーフ。マーリン王子は思わず笑ってしまう。「今夜はあきらめたほうがいいかな。小さな騎士がお姫様を守っているからね。」リーフも思わず笑いだす。なんだか安心して力が抜ける。
王子は優しくキスだけしてリーフの部屋を後にした。
「クルクル、ありがとう。助かったよ・・・。あのままだとボクはきっと王子と・・・。」冷静になって考えると、さっき自分がされていたことは・・・「やらしすぎる・・・!」顔が真っ赤になってきた。「あ、ああいうことは、まだボクには早すぎるね、うん。」
膝の上から離れないクルクルを抱きしめる。クルクルはすごく役に立ったんだぞ、とばかりに誇らしげな顔をした。その夜は一人と一匹でぐっすり眠った




起きた時には 二人 になっていた。

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