ケーキなボクの冒険

丸めがね

その45

「妖精の紋章とは・・・」
マーリン王子は不安そうなリーフに説明し始めた。
「我が妖精の一族は、子供は男子しか生まれない。それで必ず人間の妻をめとることになるだが、普通の人間が妖精の血と交わるには難しいことが多いのだ。それで妖精の血を妻となる人間の体に刻み込み、妖精の力を与える。
これを妖精の婚儀、婚印という。
それは夫となる妖精の血で描かれた特殊な紋章で、あらゆる邪悪から守ってくれる。1000年間悪魔に半身を呪われながらも我が一族が絶えなかったのは、代々の妻が人間であることと、この紋章のおかげだろう。」

「へー・・・」他人事のように感心するリーフ。「あれ、でもちょっと待って。じゃあ、婚儀っていうのは、紋章を描くことなんだよねぇ。」
「ああ」
「ということは・・・あの夜・・・婚儀したっていうのは・・・紋章を描いただけ?」
「そうだ。嫌な気配も感じたので、一刻でも早くお前を守るために・・・」「じゃあエッチなことしてないのーーーー??!!」

ブッーーーーっとクッキーを吐くマーリンとスカーレット。一瞬時が止まる。
「わ、私の夜の悪魔はいなくなったから・・・もうそんな・・・中央の城につくまでは・・・無理矢理は・・・・。」しどろもどろになるマーリン王子。どうやら、やっていない、らしい。

男子の尊厳が(まだ)守られてることを知って大喜びのリーフ。
「よ、よかったーーーーーー!!」
せめて初めてぐらい好きな女の子としたい。たとえばスカーレットさんとか・・・・。(ちらっと見る)
しかし今の自分の姿と彼女のソレを想像して頭を振った。(やらしい本で見る分には楽しそうなんだけどなぁ、自分でするのはなぁ・・・)ブツブツ・・・

マーリン王子が困ったような嬉しいような複雑な表情でリーフを見ている。「なんですか?」「いや・・・、お前が早く・・、その私のものになりたいというなら、城につくまでもなく今夜でも・・・」
「えっ!?いやいやいやめっそうもございません!!!!」リーフは面白がるスカーレットの背中に隠れた。

その後の旅は順調に続き、翌日にリーフたちはホシフルの国最大の町、むらさきの町に着いた。のどかなみどりの村に比べて、賑やかで活気に満ちている。
マーリン王子の一行が町の道を通ると、人々は慌てて頭を低く下げた。王子を恐れているようだ。
「そうか・・・まだ悪魔に半分を乗っ取られて恐ろしかった頃しかみんな知らないんだ。」リーフはちらりと王子を見た。
王子はニッコリしてリーフの頭をなでる。「大丈夫、これからは良い王として国の民にわかってもらうよ」
馬車が城を取り巻く堀に差し掛かったころ、王子はリーフに「城に入る前に、言っておかねばならないことがある。そして頼みたいことがある。実は私には、兄弟がいるんだ。ララという。彼女を助けてほしいんだ」  と言った。

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