ケーキなボクの冒険

丸めがね

その31

 どうやら、とリーフは推察する。
よくわからないが、アーサー王子とマーリン王子とジャックが、自分を取り合っているっぽい。相手が男なので嬉しくはないがモテモテである。
てか、3人が3人、(とくにアーサーとマーリン)は結構リーフをひどいめに合わせたと思うのだが、どうして今更「オレのモノ」とか言い出すのか。そしてその輪にどうしてスカーレットさんが加わっていないのか・・・。加わればいいのに・・・。
リーフは2,3秒考えてジンワリ腹が立ってきた。
「あのですね、 ボクはボクのモノですので、どなたのモノにもなりませんから!だいたい勝手に話を進めないでほしいんですけど!」
リーフにしては強気の発言。さすがに中身は(気弱でも)15歳男子である。
「それにここだけの話」
リーフは取って置きの切り札を出した。
「ボク、本当は、

なんですよ!」



皆の視線が一斉にリーフの胸に移る。たわわな胸が上下に揺れている。
「オレお前の体、全部見たし。ついてなかったし。」アーサー
「私も見た。」マーリン
「オレも」ジャック


よく考えればリーフは、ここにいる男全部に素っ裸を見られていた。
「ちっがーう!この姿はちがうのです!!話せば長くなるんだけど・・・!」

「あー、もういいからっ!話なんか後だ!ハルさんの宿屋に帰るぞ!」

しびれを切らしたアーサーが、リーフの腕を引っ張って部屋から出て行こうとする。
ジャックもそれに続く。
「まてっ!」
剣を抜こうとするスカーレットを制して、マーリンがなにか呪文を唱えた。


すると、透明な縄が足に絡みついたように、アーサーとジャックは動けなくなってしまった。バランスを崩して床に倒れこむ。
「アーサーさん、ジャックさん!」 心配するリーフ。

「やはり・・悪魔の契約が邪魔していた、妖精の力が蘇っている・・・!」
マーリン王子は両手を見た。抜けていた魂が帰ってきたように力がみなぎる。

「王子・・・!本当に呪いが解けたのですね・・・!」スカーレットは感動して涙ぐんだ。

マーリンの祖先の一族が1000年前、妖精の末裔と言われていたのは、不思議な力を持っていたからでもあり、人々はそれを「魔法」と呼んだ。
悪魔と契約して以来、その力を操れるものはいなかったが、マーリンは確かに血から湧いてくるような「力」を感じたのだった。
マーリンが創造した「魔法」は」「透明な縄」を生み出し、二人の男の自由を奪った。

マーリンはあっけにとられているリーフの肩を抱いた。
「アーサー王子、申し訳ないが婚儀が終わるまで地下の牢屋でおとなしくしていていただきたい。・・・安心して欲しい、もうこの者に乱暴なことはしないと誓う。婚儀が終われば相応の礼儀を持ってお二人を自由にして差し上げよう。」

「まてっ!おいマーリン王子・・・!」激しくもがくジャック。
「同盟国の王子である俺に、あまりに無礼ではないか、マーリン・・・!」アーサーも抵抗しようとしているが、倒れたまま全く動けない。
スカーレットの合図で二人は兵士たちに連れて行かれた。
残されたのはリーフとマーリン王子。
「マーリン王子、ボクは・・・婚儀なんて無理なんです」
アーサーとジャックが頼れない今、自力でどうにかするしかない。とりあえず断ってみるリーフ。
しかしそんな言葉は聞かず、マーリンはリーフを抱きしめた。
「お願いだ、私には君が必要なんだ・・・受け入れてほしい・・。どうしても、助けてほしいことがあるんだ・・・!」


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