皇太子妃奮闘記~離縁計画発動中!~

亜里沙 海里

35話 男は狼なのよ....いえ!野獣です!


 私はルイス王子の宮へと連れて来られた。

 だけれどもネネは予測をしていたのか


「ルイス殿下、アリア様はお召し物の替えをしなければなりませんので失礼いたします。」


 と言って唖然とするルイス王子から助けて出してくれた。

 でも離宮の自分の宮ではなく、本来なら私の部屋であった、ルイス王子の2つ隣の部屋へと入って行った。


「ネネ、ありがとう。」


「いえ。アリア様が式会場へ出掛けられた後に、他の侍女に聞いたら、本日は舞踏会はなく、お二人には蜜月を過ごすことになっていると聞いたもので······」


 ネネも知らなかったんだ·····。


「私もさっきルイス殿下から聞いて驚いたところなのよ。」


「そうでしょう。明日の昼頃から舞踏会があり、それから一週間ほどは二人で過ごすらしいので。」



 なぬっ!?


「そんな話聞いてないわよ!」


「何かルイス殿下の希望だそうで、一週間は二人きりにさせて欲しいと。その為にこの1ヶ月は寝る間も惜しんでお仕事をされていたみたいですよ。」


 ········。


 ルイス王子、用意周到ね。


 ネネは人差し指を立てて言う。


「ですから、例のことを早速しないといけません!」


 そうね!


 例のこととは、子作りのこと。


 ネネはポケットから10センチくらいの瓶を出した。その中には小さな丸い粒が入っている。


 それは·····


「はい、避妊薬です。」


 ネネがテーブルの上にデデーンと置いた。


「これが避妊薬·····」


「そうです!異国のお友達のフレアちゃんから頂いたお薬です!」


 ネネが言うにはフレアちゃんと言う子は違う大陸にいる異国のお友達だそうで····


「魔法の国のお薬なので効くこと間違いなしですよ!」


 そう····魔法がある国だそうだ。信じられないけれど。


「フレアちゃんのお墨付きですよ!飲んだら1日持つそうですわ!」


 1日も持つなんて大丈夫なのかしら?


「副作用とか?」


 私が聞くとネネは頭を捻り


「それはまずないと思うとのことです。ただこちらの国とあちらの国とでは大分文化も違うし体質とかも同じなのかわからないそうなので絶対に副作用がないとは言えないそうですわ。」


 心配そうに私の顔を見る。


「どうなさいますか?」


 副作用のことは心配だけど私の心は決まっている!


「飲むわ!」


 私は15才なので、瓶から丸い白い錠剤を出して二錠を飲む。

 別に味もしないし飲みやすいわ。



 しばらくはこちらの部屋で過ごすことなりそうなのでシャルの移動も考えたけれど、繊細なシャルがまた具合が悪くなってはいけないので、ネネに頼むことにした。ピューマも心配だし、1日に一回は離宮へ行くことを許して貰うつもりだ。


 夕食というにはまだ早い時間にご飯を食べる。

 ルイス王子はニコニコとして話しをしてくる。


 私はいうと····閨のことを考えると憂鬱になり食事どころではなかった。

 よほど、ルイス王子は嬉しいのかいつになく饒舌で興奮しながら話をしている。


「一週間は私達の蜜月ということで誰にも邪魔はさせないよ。ゆっくりとイチャイチャして過ごそう。·····まあベッドからは出れないだろうけどね。ふふふ。」


 私はルイス王子の言葉でビクッと身体を揺らした。


「あ、あのルイス殿下、ピューマやシャルのこともあるから1日に一回は離宮へ帰りたいのですが。」


 私が懇願をすると、ルイス王子は少し眉を上げて、不機嫌そうな顔になる。

 そしてある提案をしてきた。


「ならピューマの夜の散歩の時に一緒に行こう。」



 えー!ずっとルイス王子と一緒!?


 ルイス王子を見ると有無を言わせぬ威圧感を出している。どうやら私と離れる気はないようだ。

 私はふうと息を吐き諦めた。


「わかりました。」


「それから、1ヶ月くらいかけてアリアの御披露目で各国へ回るつもりだよ。まあ旅行かな。」


「え?本当ですか?」


「ああ。」


 ルイス王子はオークの肉のステーキをナイフで切りながら答えた。


 ルイス王子は説明をしてくれた。今回の来賓者はあくまで各国の代理。各国の国王にお祝いの品のお礼込めて皇太子妃になった私の御披露目をして回るとのこと。

 水面下ではその用意は着々と進んでいるという。お礼の品物も既に用意してあるらしい。私のドレスの用意などもそうらしい。あと細々したものを侍女であるネネが一週間で用意をしなければならない。今、侍女長から話はいっているはずだとルイス王子は言った。


 ····ネネ怒っているだろうな····。


 ネネの怒っている姿が目に浮かぶ。きっとキースが八つ当たりをされているに違いない。


 食事は滞りなく進み、いよいよお風呂のお時間!


 でもまだ外は明るい!


「さあ、一緒に入ろう!」


 ルイス王子がグイグイと迫ってくる。


「嫌です!」


「何で?夫婦になったんだよ?」


「恥ずかしいのです!」


 女心分からないのかしら!


「恥ずかしがることないよ。大丈夫。だって遅かれ私はアリアの全部を見ることになるんだよ?」


 嫌~!それは言わないでぇ!


「それでもダメです!」


 嫌がっているのに諦めないルイス王子。

 もうこなったら!


「だったら一週間は一緒にいるのですから、初夜は今日でなくていいですよね?」


「えっ?」

 私の言葉に困惑するルイス王子。


「私にも心の準備があるのです!今一緒にお風呂に入るのなら、ねっ、ねっ、閨は今日はなしでお願いします!」


「えー!そんなあ····」


 ルイス王子は考え込み


「ならお風呂は諦めるよ。また今度ね。」


 そう言って一人でお風呂へと向かっていった。


 私はひとまずホッとし、すぐに私の部屋へと帰った。


「あっ、無事だったのですね。良かったです。」


 ネネは私のお風呂の準備をしていた。


「ええ、何とか。」


 だけど、お風呂の後の閨のことを考えると恐怖で震えがくる。


「アリア様、何を震えるんですか?」


「だって、ネネがっ!ネネが!はっ初めては凄く痛くて、ちっ、血がドバーッて出るってぇ!」


 ベッドが血に染まるってネネが言ったよ~!

 怖いじゃない!


「アリア様、それは誰しもが通る道ですわ!覚悟を決めて下さい!」


 ネネは私の両手を握って力説する。


「血の量とか人によりますわ。私はキース以外に男性は知りませんが、キースは巨○だと思いますの。だから私はかなり血が出ましたが、初めての時にキースのアレを見ていたらきっと逃げ出してましたわ!」


 ·····ネネ····安心させるどこかますます恐怖が募るわ·····。


 そしてネネはこの一言で締めくくった。


「女は度胸ですわ!」



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ドキドキしながらお風呂に入り、丹念に身体を洗う。


 そして可愛いピンクのヒラヒラのネグリジェに着替えて寝室へと向かった。

 ネネも言っていたけれど、他の臣下達には近寄るなと通達しているらしく誰一人と出会わなかった。


 寝室に着き、ドアをノックした。

 返事の変わりにすぐにドアが開きルイス王子に抱きしめられた。

 そしてそのままお姫様抱っこをされてベッドへ寝かされた。


 ルイス王子は熱を帯びた目で私を見つめて唇に軽くキスをした。

 そして目をギラギラさせて私を見ている。


「やっとだ!やっと君を抱くことができる!どれほど熱望したことか!」


 ルイス王子はそう言いながら服を上半身裸になった。見事な腹筋に筋肉も盛り上がっている。

 ルイス王子は着痩せするタイプだったらしい。

 いつもはスマートで優男に見えて筋肉なんてあるようには見えないんだもの。

 ネネが見たら大喜びをしそうな筋肉質だ。

 私の心臓は爆発しそうなくらいバクバクしている。


「ルイス王子、まだ外は明るいですわ。閨はもう少し後にしませんか?恥ずかしいわ。」


 最後の悪あがきをするが、勿論却下される。


「大丈夫!すぐにそんなことが気にならなくなるから!」


 ルイス王子はガバッと私に覆い被さりにっこりと誰しもが魅いるであろう笑顔をし、私に濃厚なキスをしてきた。


 ああ·····何か獣に食らわれる感覚になる。


 私は恥ずかしいやら恐怖を感じながら、覚悟を決めてそれを受け入れた。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 既に朝というには遅い時間となっていたが、私は動けずにいた。


 昨日は夕方というには早い時間からルイス王子とベッドを共にした。


「子種をいっぱい注ぐからね!」


 ルイス王子はその言葉通りに実行した。体力は半端なくあり、私はついていけず何回も気を失った·····と、いうか、私は初めてなのに何回も求めてくるってどうかと思うわ!


 最初の行為の時は、かなりの激痛もありルイス王子はなかなか終わらなかったものありで気を失った。その時にシーツを替えたのか、血の海を見ることはなかった。


 早くから行為に及んだ為、途中お腹も空いたけれどいつの間にか軽食が用意されており、動けない私に食べさせてくれたり、行為が終わった時にお水を飲ませてくれたりたりと····しかも口移しで!自分で飲めると言ってもルイス王子は譲らずにその度に。


 私は「もう無理!」「これ以上したら舞踏会に出られなくなる!」と何度も懇願して、ルイス王子はしぶしぶ子種を注ぐのを辞めたのは外は明るくなりかけていた時だった。

 私の体力は限界を越えており、汗などで身体が気持ち悪かったが死んだかのように眠りに落ちた。

 朝にはなり朝食で起こされた時には身体のベタつきとかが無くなっており、どうやらルイス王子が綺麗に拭いてくれたようだ。

 だが、朝食後にまた求められ、満足したルイス王子は来賓客に挨拶をするために出かけた。


 そして私はまた眠りに落ち、今はネネに起こされたのだ。




 ····信じられないわ!あれだけしたのにピンピンして出かけわ!

 ネネは男は狼と言っていたけれど、それは違うわ!野獣よ!野獣!狙った獲物に貪りつき離さない!


 他の側妃達がルイス王子は「絶○」と言ってだけれど、このことね!

 私はルイス王子との閨についていけている皆を凄いと思った。



「アリア様、かなり昨日は励まれたようで·····」


 ネネは動けない私を見て少し飽きられたように言ってくる。


 励んだのはルイス王子よ!


「かなりしんどいと思いますが、舞踏会の準備をしなければなりませんわ。」


 ネネに急ぐようにと促されて、私はゆっくりと行動に起こすのだった。




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