皇太子妃奮闘記~離縁計画発動中!~
13話 恋のキューピッド作戦!?
次の日の朝。
ネネは眠そうに服を持って部屋にやってきた。
「アリア様、申し訳ございませんがこちらで着替えさせてください。」
あっ!そうか!隣にはキース隊長がいたからね。
「ええ。どうぞ。ネネ眠そうね。」
ネネはキッと私を睨み
「眠れる訳ありませんよ!」
怒っている。
あらら~失敗したかしら。
でもネネはすぐに頬を染めて
「でも身近にキース隊長を感じられて嬉しかったです。さっきもお着替えをしているのを少し拝見させて頂き、見事な腹筋を····」
ネネはキース隊長の身体の筋肉がいかに素晴らしいかを語り始めた。
「·······。」
別に聞かなくてもいいんだけど·····。
そうこうしている内に、ネネも私も着替えが終わり、キース隊長を呼んで朝食を食べに一階に降りた。その時にランクス副隊長がちょうど階段を上がってきていた。
ランクス副隊長は私達に気付き笑顔になるがすぐ様困惑した顔をした。
「何故キース殿がアリア様達と一緒に?」
ランクス副隊長が顔を引きつらせながら聞いてきた。
「ああ、それは·····」
私が説明をしようとするとネネが私の前に出てきてランクス副隊長に説明を始めた。
「これからピューマの首輪を買いに行くのでキース隊長についてきてもらうのですわ。」
「·······。」
ランクス副隊長は少し考え込む動作をし
「私もついていきます。」
と言ってきた為、四人でお出かけするのことになった。ちょっと予定外でしたが、三人だと私を気を使ってあまり二人でお話しができないと思っていたところだったから、ちょうど良かったのかもしれないわ。
キース隊長はサブライマの街は何度か来たことがあるそうで、動物の用品店まで案内をしてくれた。
時間の方もお昼近くなり、街行く人たちも結構賑わっていた。
今回も大きな帽子を被り、なるべく髪が隠れるようにネネが結ってくれた。
私はなるべくキース隊長とネネが二人で並んで歩けるように指示をした。
「ここの住民は私のことが分かりませんし、普通に歩きたいので、ネネとキースが一緒に歩いてください。私はランクス様と一緒に歩くわ。」
ネネは少し頬を染めて、ランクス副隊長は嬉しそうに笑顔になった。キース隊長も笑顔で「分かりました」と応えた。
外では役職名は避けないといけないので、キース隊長は呼び捨てに、ランクス副隊長は公爵家の身分があるので「様」をつけることにした。
ランクス副隊長には呼び捨てでもいいと言われましたが、やはりそういう訳にはいきませんもの。
三人にも私のことは呼び捨てにするように言ったのだけれど、それはできないと却下された。キース隊長とは従妹の設定なので、キース隊長だけでもでも言ったのだけれど、母方が爵位出にすれば問題ないと言い切られた。
街の中はめったに見ることが出来ないのでキョロキョロして歩いてしまう。
そんな私を心配したランクス副隊長が
「手を繋ぎましょう」
とまぶしいくらいの笑顔をして言ってきたので手を繋いで歩いている。
男の人と手を繋ぐなんてルイス王子以外にしたことなかったのでちょっとドキドキしました。ルイス王子には内緒にしとかなくちゃね。
動物用品店に着き、店内に入ると沢山の商品が並んでいた。
そしてある一角に目がいった。
「ここは動物の売ってますの?」
そう!猫や犬、鳥などが売られていたのだ!
「はい。猫はネズミと捕り、犬は番犬になりますので。鳥は愛玩ようですね。貴族は猫も犬も愛玩用に飼われている方達が多いですね。」
ランクス副隊長が説明してくれた。
そうなんだ·····。知らなかったわ。野生の猫しか見たことなかったですもの。
それより、ピューマの首輪を探さないと!
私は用品売り場へと急いで向かった。
ネネも一緒にきたので
「あちらでキース隊長と話をしなさいよ!」
「ですが······」
私達は小声でひそひそ話をして、ネネにキース隊長とピューマを餌を探すように指示した。
全くもう!昨日、あんな宣言しときながら消極的なんだから!
そう思いつつランクス副隊長とあれはダメだ、これは似合わないなど相談しながら商品を物色した。
首輪は2つ買った。ピューマは成体になったらかなり身体が大きくなる。その為に大型獣用の首輪をひとつ買ったのだ。
獣用もあるなんて驚いたが、稀にそういう獣が迷い込み飼っている人間もいるそうだ。もしくは討伐用など·····。
あとはリードという紐の長いやつ。散歩とか外に出る時に首輪にある引っかけにかけて付けて使う物で動物が逃げないようにするという意図もあるらしい。
これは便利だわ!これでピューマと堂々と散歩できる!
そのことをいうと、ランクス副隊長に注意された。
「ピューマは珍しい黒ヒョウです。堂々とは散歩してはいけません。せめて人が少ない夜にしましょう。」
ちょっとがっかりしたけど、元々黒ヒョウは夜行性らしく夜に行動する獣らしい。それを聞いて少し気持ちが軽くなった。
それから、オモチャなどを選びネネ達に頼んであったピューマの餌と一緒にお金を支払ってお店を出た。
動物用品店でネネとキース隊長を二人きりしたのが良かったのか、二人はかなり急接近したようだった。
お昼ご飯を四人で楽しくおしゃべりしながら食べて、雑貨屋に寄って髪飾りを買ったりと買い物を楽しんで宿へと戻っていった。
私は早速ピューマに首輪をつけた。
ピューマは最初は嫌がったが、私がこれをつけてたら一緒に居られるよと言ったら大人しくなった。
外したいのを我慢してるのが分かるくらい身体をプルプル震わせている。
本当に可愛いんだから!
そのあとはピューマを撫でたり、今日買ってきたオモチャで遊んだりと構い倒した。夜になったら早速散歩に連れていくつもりだった。
夕食もキース隊長とランクス副隊長と一緒に取った。
私は、また二人きりの時間を作ってあげたくて、ピューマの散歩についてくると言い張る二人を説得しランクス副隊長についてきてもらうことにした。
やはり最初からピューマを街の中で歩かせる訳には行かないので籠に入れて公園まで移動して、辺りを見渡し人がいないのを確かめてから外に出してリードと付けて歩いた。ピューマは嬉しそうに草の臭いを嗅いだりとあちこち動いている。
公園の芝生の上にハンカチを敷いて座り、ピューマを好きにさせていた。勿論リードつけたままでね!
ピューマはリードが伸びる範囲で走ったりして遊んでいた。
ピューマも最初は成体の猫ほどだったのたに、今は小型犬くらいの大きさまで成長をしていた。
ピューマの入れていた籠も、もうすぐしたらピューマが入らなくなりそうなので、明日出発前にも今日行った動物用品店に行き、一番大きい籠を買わないといけないなと思った。
ランクス副隊長は公園の噴水を見ながら話しかけてきた。
「私は本当はアリア様の婚約者候補だったのをご存知でしたか?」
どうしたのかしら急に。
「ええ。お母様から聞いたことがあるわ。」
今はバーバラ御姉様の婚約者····まだ候補になるのかしら?
「アリア様がルイス殿下と婚約がなくなったらと、たまに思います·····」
ランクス副隊長は夜空の星を見上げていた。
「········」
私は何て言っていいか分からず、黙っていたらそっと手を握ってきて
「今言ったことは忘れてください。」
と、寂しそうな顔をして言ってきたので私は頷くしかなかった。
私達はピューマを存分に遊ばせて、宿へと戻って行った。その間もランクス副隊長は私の手を繋ぎ離そうとしなかった·····
自分の部屋に入るとテーブルに置き手紙があった。
アリア様
キース様と少し出てきます。遅くなるかもしれませんので先にお休みになってください。
ネネ
あら!?とうとう告白でもするのかしら。
幸いこの部屋にはお風呂が付いているので、お風呂で汗を流してからピューマと一緒にベッドでぐっすりと寝ていた。
ギシッ!ギシッ!ギシッ!
とベッドが軋むような音で目が覚めた。
時折人の呻き声らしきものが聞こえる。
半分寝ぼけていたからどこから聞こえてくるのか分からないけど。
その音が気になりその後はなかなか寝付けられなかった。
朝、ピューマがペロペロと顔を舐める行動で目が覚めた。
あら、ネネが来てないようね。珍しく寝坊かしら。
私は服を着替えながらネネを待つが来る気配がない。
昼前には出発しようって話なのでネネを起こしに行かなければと思い、ネネの部屋へ行きドアをノックをする。
するとドアを開けて出てきたのはネネではなくキース隊長だった。
しかも上半身はシャツを羽織っているだけで見事な腹筋が見えていた。
「え!?」
私は驚き思わず声を出してしまった。
「アリア様、おはようございます。」
キース隊長はばつの悪そうな顔をして頭をポリポリ掻いている。
「おはようございます。何故キース隊長はネネの部屋に?」
キース隊長は私から目を逸らしながら
「えーと、今、ネネ殿は体調が悪くてまだ寝ているのです。」
ネネが!?
「大丈夫かしら!」
私はネネの様子を見ようと部屋に入ろうとしたがキース隊長に阻止されてしまった。
「·····キース隊長そこを退いてください。」
「申し訳ございません。ネネ殿は大丈夫ですので出発までには何とかなると思います。申し訳ございませんがアリア様はランクス殿と朝食を取って頂けませんか?」
·····キース隊長は何でこんなに焦ってるのかしら····
この部屋にいるということは、ネネは上手く告白できたのかしら?
ネネも私よりキース隊長が部屋に居てくれた方が嬉しいわよね。
私はそう自分で納得した。
「分かったわ。もし無理そうならもう一泊するから無理しないようにネネに言ってちょうだいね。」
私はあとはキース隊長に頼み、自分の部屋に戻った。
それからは一人で食事をする気にもならず、かといってランクス副隊長とも食事する気にもならず、お菓子で済ませてしまった。(バレたらネネに怒られるわね。)
出発の頃には青い顔したネネがふらつきながら部屋にやってきた。
「アリア様、今朝は申し訳ございませんでした。」
ネネが謝ってくる。
「そんなこといいのよ!それよりネネ!まだ体調悪そうじゃない!もう一泊しましょう!」
私はそう言ったがネネが大丈夫だからと言い張り、予定通り出発することにした。
だがネネは、階段を降りときもキース隊長の手を借りて降りていた。しかも歩き方もおかしい。
やはりもう一泊をともう一度言ってみたが、
「多分今日だけですので。」
とネネが言ったので、馬車に乗りサブライマの街を出発したのだった。
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