孤軍旅団~自分で戦いたくないので大群召喚術もらいました~

いぬもんじ

動き出す流れ

火の玉vsモグラ。

火力は火の玉。

かわいさはモグラ。

モグラisボディーランゲージok。

モグラ優勢!

「じゃあ火の玉よりも意思疎通できそうだからしっかりと話しかけようか」

「モグっ!」
ザッ。
土方モグラちゃんが全員こちらを向く。
傾注かな。

「俺の召喚に応じてよく来てくれた。すでに俺にたいして友好的に接してくれるから話しやすいよ」

「君たちに来てもらったのは他でもない。この目の前にある金属のへばりついたイノシシから貴重そうな金属をもろもろ採集してほしいんだ。もちろん俺が持てる物は少ないからもしできるのならば君達にも持ってもらいたい。だから一番価値がありそうなものを優先的に選んでできるだけコンパクトにして持って行きたい。俺はそこらへんの感覚はわからないからもしわかるのならば君たちに全面的に任せたいと思うんだけど大丈夫かな」

「もぐぐっ!!」×10

任せてくださいとばかりに、直立不動になる土方モグラちゃん10匹。

この世界に生きている生き物の可能性もあるからもしかしたら金属の価値も分かるかもしれない。
まあ分からなくても、くず鉄程はひどくはないだろうから持って行くだけとくだろう。


「じゃあ任せた。俺はイノシシの肉の方を見てくる」

「もぐっ!(散開!)」

リーダー土方もぐらちゃんが言うや否や残りの9匹の土方もぐらが我先にとスコップとピッケルを掲げイノシシに突き立てて行った。

路肩モグラの大きさは40 CM ほどなどに比べてピッケルとスコップは1 m 近い。
それなのに軽々と振り回しては足場としてイノシシの肉の半分ほどまで突き立てる威力があった。
わらわらと土方モグラが猪に登って行きイノシシの肉から突き出た金属や水晶をいともたやすくぱきんぱきんピッケルで割って入った。
「すげえな。あのピッケル。いやもぐらちゃんがすごいのか。こいつら戦っても強そうだな」

色々役に立ってくれそうなのでできればこれからも召喚されてもらいたい。
システムがわからないのでもう一度来てくれるのかどうか不安になる。



そうこうしながら俺はイノシシの肉の方を見ていた。
表面上はしっかりと雷で焦げ付いてはいるが中まで炭化している感じでもない。
一段落ついたような 土方もぐらちゃんを引っ張ってきて、スコップで肉をえぐり出してもらった。
血抜きなんぞはやり方も知らないし、別に久留米でも何でもないからそのまま焼いて食べようと思う。


土方もぐらちゃんにつきっきりだったせいかちょっとふてくされたような黄色の火の玉たちが仕事がないかフラフラふよふよ飛んでいた。
あまりにあまりな仕事なので申し訳なかったがほんのちょっとの雷を出してもらって枯れていた木を持ってきて火を起こしてもらった。
重要なところなので十分に褒めておいたら機嫌を直したのか俺の周りを定期周回して周りを護衛してくれた。


それからは簡易的な焼肉パーティーとなった。
肉がゴロゴロとしてあまりにもワイルドだったが、異世界なのだから歓迎パーティーになったかもしれない。
もぐらちゃん達も誘って一緒に焼肉を食べて行った。
なんと火の玉達も肉を体の中に取り込みじゅうじゅう焦がしながら食べて行った。

もしかして火の玉は見た目だけで、本当はちゃんとエネルギーがいるような生き物なのかもしれない。魔法的魔術的なものじゃないのかも。ちょっと知りたくなってきた。


32匹プラス10匹+と一人だったので全員にお肉が回ろうと思うのならば結構な重労働となった。
雰囲気で食べなくてもいいみたいなジェスチャーをする土方もぐらちゃんがいたが、せっかくの焼肉パーティー、肉はt単位であるのだから少しぐらいいいだろうと言って食べさせた。

食べなくてもいいのならばこれからの召喚に対して簡単になるかもしれない。

肉を切り取るがかり焼く係、渡す係食べる係。
小中学校の1クラスぶんぐらいいるので、結構すごい勢いで回った。

手が余った火の玉達や、土方もぐらちゃん達には、水場を探してもらっていた。

火の玉は空も飛べたので、すぐに川を見つけて土方もぐらちゃん達を引き連れてダッシュして行った。



もぐらちゃん達はそこらへんにあった大きな葉っぱで適当に作った水筒に、なみなみと汲んできてくれた。
水筒を受け取りここぞとばかりにもぐらちゃんの頭をぐりぐりと撫でる。
ちょっとツンツンした毛がモシャモシャと手に触れていい感じやわ。

「ちょっとこれは癖になるな」

「もぐ~」

もぐらちゃんもあざといぐらいに可愛く反応してくれるのでこちらもなで甲斐があるというものだ。

後ろのもぐらちゃん達もなぜか対抗意識を燃やして目をギラギラしているように見える
(錯覚)。





次の所に行く準備が整ったのである程度しっかり焼いた肉と水筒をもぐらちゃん達に持たせて俺の後ろを歩かせる周りは火の玉で防御を貼っているので突発的なモンスターが飛びかかってきても一瞬で対応できるようになっている布陣だ。



「物資は準備できた。次は向かう方向だな」

それももうできている。

色々試しているうちに火の玉に触れることがわかり、もしかしたらと思い、飛び乗ってみるとスライムの上に乗る騎士みたいにすごいフィットした感じで座れた。

最初は怖かったが30分ほど、試し運転をしたところスムーズに上下移動高低差移動ができるようになった。
人が作った町やそれに近い構造物があるかもしれないと考え、乗ったままゆっくり宙に浮いてもらった。
火の玉が空を飛べる高さも限度があり20 M ほどが限界で、森の端から端ぐらいまでしか見えなかった。
しかしリーダー格の火の玉に乗ってみたところ、頑張って50 M ほど飛んでくれたおかげで(高すぎておしっこちびるかと思った)、地平線の向こう側に石でできた壁が存在することが分かった。


今の時間はまだ日が出ている時間帯だが、あまり悠長なことを言っているとすぐに夕方になってしまう。


「これはもう強行突破だな。火の玉くん任せられるか?」

そう言うと黄色の火の玉は任せてくださいとばかりに大きく炎をゆらめかせた。




その後のことは簡単だった。
斥候で結構たくさんいた敵を殲滅する10体の黄色の火の玉。

残りの火の玉に乗っかる俺ともぐらちゃん10体。

奇妙な軍団である。

だがその戦闘力は凄まじく、近くに魔物を寄せ付けない。

まものらしき変な生物を倒しても、その都度一番価値がありそうなものをちょろっとちょろまかすだけの俺。

ちょっと大きなもので持てそうなものはもぐらちゃん達が体に巻きつけた。


部族の集団のような俺の集団は森の中を高速の車で駆け抜けるような速度で走り抜けていった。


道はわかっているので後は最短コース。





街の城壁らしきところにたどり着いたのは夕方になるちょっと前くらいの時だった。






なんか 冒険者でございと言わんばかりの風体の人間が50人くらい立ち並んで一人残らずこちらに武器を構えていた。



「解せぬ……」

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く