ゼンコウ

0:24#2

荷物をまとめ終わり、タバコを吸う。

あれは1年前に遡る。
突如、彼女から別れを切り出された。

理由は明白だった。
俺が悪い。

彼女を不安させて決断させてしまった。


プロポーズをして何もしなければ不安になるだろう。

ここでもやはり
自分の事しか考えてない。

自業自得だ。

色んな事が裏目に出ていた。

もう。こんな想いはしたくない。


自ら変わらないと何も始まらない。

今更、、

どの口が言ってるのか、、


客観的に思えばそうだ。

だが、ここで動かなければ後悔する。


そう想い。

タバコを灰皿へ押し付けた。


時刻は0:24

不意に立ちくらみがして倒れ込んだ。

目の前が真っ白になり目が眩んだ。

気づけいた時には駅にいた。

「何だ?」

上野駅のみどりの窓口だった。
右手に切符が握られている。

見れば、新潟行きの電車の切符だった。

「え?」
「どういう事?」
訳が分からない。

後ろから声をかけられた。

「失礼」

振り返るとそこには見知らぬ男が立っている。
身長は俺より少し大きい位の紺のセットアップに白いシャツにプレーントゥの革靴。

ギラギラしたオールバックヘアの男だ。

「〇〇さんですね?」

思わず、、声が失う。

「あっ、」
「はい」

「私、斉藤唯と申します。」

「なぜ?ここにと思われているかと思いまして」

「え?」

確かに、、

何でだ?

「貴方は、この度弊社のホームページからチケットを購入して頂きましたね?」

「ホームページ?」
「はい。ブローケンハートツアーです。」


「ブローケンハートツアー??」

「はい。ブローケンハートツアーです。」


全くもって見に覚えがない、、

「!!」
「思い出されましたか?」

「貴方様は、質問するサイトにいくつかの質問にお答えしました。そのサイトこそが弊社のブローケンハートツアー会社の物になります。」


「しかも、0:24にご購入をされている。」

「0:24にご購入されると弊社では全て無料にて手配をさせて頂くというシークレットサービスを行っております。」

何の事なんだ?

訳が分からない。

斉藤は続けてこう言い放った。

「貴方の元彼女さんと復縁させるツアーで御座います。」

「さぁ!お時間です。ご説明は新幹線の中で!」


なにが何だか、分からないまま、、、


俺は斉藤という男の後ろをノコノコとついていく。







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