こんな俺でも愛してくれますか

UAI

23話 さらなる高みへ

ガキン、ガキンと剣がぶつかり合う。時に魔法、時には蹴りが入入り乱れる。

「さすが、鬼神だな。」
「さすが、化け物だな。」

2人の言葉が同時に放たれた。

「ギン。貴様だけ、は。」
「っ、やばいぞ。あれ。」
「やめろ、まだ復讐が....よせぇー。」

時雨がみるみる鬼へと変わっていく。光を包み込むほどの闇が時雨を飲み込んだ。

「全く、人間風情が俺に楯突くとは。」

時雨が飲み込まれたあと、2本の角を生やした鬼が現れた。

「おい、それがお前の姿か?」
「ほぅ、なかなかやるな。人間。褒美として、名を教えよう。ギトハだ。
「俺はギン・レックスだ。ギトハ、それが本気か?」
「これが、俺の実力。」
「うっ。」

いきなり、ギンに殴りが入った。

「何が、起きた。」
「特に、ただ。」
「ただ?」
「俺は、お前より遥かに強いだけだ。」

ギトハは、ギンに向かって魔法を放った。

「うまく、避けろよ。」
「逃げないと、死ぬ。」
「ほら、ギン。」

むくりと体を起こし、ギトハの攻撃をかわす、だが、逃げた先にギトハがいた。

「遅い。」
「....っ。」

ギンは、腹にギトハの蹴りをもろに食らった。

(まずい、負ける。)

ふと、思った。

(おい、ギンよ。)

と、声が聞こえた。

(お前か、エクリプス。)
(我を使え。)
(使ってるだろ。現在進行形で。)
(まだ、半分だ。)
(そうか、なら....全てをよこせ。)
(勿論だ、そのための契約だ。)

「トドメだ、暗黒弾シャドーボール。」

空中にいるギンに向けて、ギトハによる全力の攻撃。

「少し、やると思ったんだ期待外れだ。」
「ぎとは。」
「あぁ。」

ドゴ、バーンと地面に亀裂が入った。

「ぐはっ、まだまだ強くなんのか。」

ギトハは、ギンに向けて言った。

「これで、化け物になったかもな。」

今まで、エクリプスを装備していたギンだったが、装甲がなくなり、エクリプスがギンになったのだ。

(お前が俺になり、俺がお前になる。一心一体だな。)
(そうだな。)

「これで、お前を倒す。」
「そう来ないとな。」

ギトハは、飛んだ。ギンは迎え撃つため、ギトハに向かった。

「これで、どうだ。圧縮弾インパクト。」
「槍よ。」
「そんな武器で防げるわけ...ない、だろ。」

声が最後に連れ小さくなった。魔法と武器では、魔法が上。だが、それは違った。ギトハの腕がなくなっていた。

「腕がー。...貴様。」
「穿て...」

ギトハは、反撃しようとし、ギンは、槍で攻撃を放つ。

不知火バーニング

そう言って、ギンはギトハに向かって槍を投げた。槍は青白い炎をまといギトハを貫いた。

「アァァァー、再生が追いつかない。」
不知火バーニングは、全てを焼き、消えない。」
「ク、クソがぁー。」

ギトハは、徐々に消えていった。

「ひとまず、終わり。....身体が限界に達してるな。」

独り言をもらす。

(当たり前だ。)
(なんでだよ。)
(お前の器が許容範囲を超えたからな。)

人にはそれぞれ器が存在する。個人それぞれの大きさだが、器の許容範囲を超えると、気を失う。

「けど、俺は違う。」

エクリプスに向けて放った言葉だった。普通の人間とは、違うから。

「ミア、動けるか。」
「ギ...ン、くん。」
「帰るぞ。」
「うぅ、ギンくーん。」
「泣くなよ、生きてるから。」
「だって、時雨さんとあった時雰囲気が違ってた。前とあった時は、ギンくんより下だった。けど、昨日会った時は、ギンくんより強い。と思ったから。」
「負ける。と思ったか、俺が負けるとかないかな。変なこと起きない限り。」
「そうだね。」

ミアは、涙を拭き、ギンから離れた。

「時間ないから、学校行くぞ。」
「うん.....うわ、な、なに。」
「お姫様抱っこ。こっちが運びやすいの。」
「なんか、照れる。」
「照れてろ。じゃ、行くぞ。」

ギンは、ミアを抱えてその場を軽く蹴り、
飛んだ。

「しっかりつかまっとけよ。」

時雨の家の訓練所を後にし、学校へ向かった。

「綺麗だね。空からの景色って。」
「そうだろ。」
「なんで、ドヤ顔なのよ。」
「いや、なんとなく。」
「なんとなくって、それで、あとどれくらいで着く?」
「目の前だけど。」
「早っ。」

ギンとミアは、学校の屋上に降りた。

「先生のとこ行くぞ。ミアは、保健室行ってろ、事情話しとくから。」
「わかった。」

2人で、階段をおり、ギンとミアは、職員室に向かった。

「失礼します、浦原先生に用があって。」

すると、浦原先生が早足で向かってきた。

「ミア、大丈夫か。ギンは...普通だな。」
「まぁ、はい。」
「帰っていいから、こっちでなんとかしとく。ギンが途中でどっかいったこともわかったし。」
「では、また。」
「失礼します。」

職員室から出て、教室に向かう。

「放課後か、荷物持ってこないと。メリーも待ってるし。」
「玄関で待ってるから。」
「いや、それは大丈夫だ。」
「なんで?」
「本人が目の前にいるから。」

メリーは、ギンを発見した瞬間、飛びついてきた。

「ギン様ー。心配しましたよ。」
「ありがと。帰るぞ。」
「はい。」

着信音がなった。

「今度は、誰。」

ギンの携帯だった。

「はい、もしもし。」
「ギンくんか、私だ。」
「アランさん。」
「お父様。」
「誰ですか?」

ギンが、大きく声をあげたので、ミアとメリーは、ぐいと近づいた。

「用がある。うちにきてくれ。ミアも一緒。
「わかりました。」
「メリー、すまんが、野暮用が入ったから家でまっててくれ。」
「わかりました。」

メリーは、落ち込んだ。

「外食でいいか、今日。」
「いいです。」
「立ち直り早いな。」
「では、待ってますよ。」
「すまんな、ミア行くぞ。」
「う、うん。」

アランからの電話。ミアは、悩んでいたが、ギンは不安だった。

(やな感じ。)

学校から15分。ミアの家に着いた。

「ただいま帰りました。」
「おかえりなさいませ、ミア様。」
「えっと、お父様さまはどこ?」
「いつものところに。」
「相変わらず、すげぇー。」

いつものところとは、この前きたところだった。

「すまないね、いきなり。娘を助けにいってもらった帰りに。」
「いえ、脅してきましたので大丈夫です。」
「そ、そうなのか。」
「で、要件はなんですか?」
「ギンくん、ミアを嫁にもらってほしい。」
「「......はい。」」
「いやー、ギンくんしかいないのだよ。娘のために真剣になるのは。」
「ちょっと、お父様。」
「荷造りしてるから、今日から頼むね。」
「まじですか。」
「よろしくな、ギンくん。」
「くん付けだし。」
「殿だと、肩苦しいと思ってな。」
「貴族ですし、呼び方はどうでもいいです。」
「では、また。」

ーーーアランからミアを嫁に貰ってくれ。

「予感的中。」
「その、よろしく。」
「わかった、ミアは、俺が養ってやる。」

そう言って、ギンの家に向かった。

「ただいま。」
「おかえりな...さ....い。」
「あー。」
「なんで、ミアさんまでー。」
「親から直々に言われた、嫁に貰ってくれって。」
「メリーさん、よろしくね。」

2人とも、顔が笑っていなかった。

「メリー、支度しろ。行くぞ。」
「もう、いいです。それで、どこに行くんですか?」
「東京にでも行くか。」
「「今から。」」
「すぐに着くって。」

外食は、東京に決まった。

「ありがとね。」
「もう、いいから。行くぞ転移テレポート。」

こうして、長い長い1日が終わった。




次は、ほのぼのと行こうかな。違うかもしれないけど。



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