聖女な妹を狙うやつは、魔王だろうと殴ります。

ibis

人王との面会―2話

「久しいなユート」
「久しぶりっす『グローリアス様』」
「……それで……その者たちは?」
「あ、俺の友人っす」

 スッゲェ……王宮、初めて入った。
 それに……『人王 グローリアス』……こんなに近くで見るのは、初めてだ。

「ふむ……なんで連れて来たのだ?」
「えっと……この前、女神の声を聞けるってのは言いましたよね?」
「うむ……それを事実だという事も理解している」
「実は、さっきまで『七つの大罪』の『強欲』がいました」

 ユートの言葉に、『人王』が驚愕の表情を見せる。

「そ、それは……」
「安心してください!このアルヴァーナが『強欲』を追い払ってくれましたから!」
「……そこの少年が?」

 ……え、ここで俺の名前を出す?

「ふむ……強いのだな、少年」
「……まあ、一応は」
「―――『人王様』、渡されていた書類の整理が終わりました」

 背後―――俺たちが謁見えっけんの間に入ってきた扉。
 そこから、男が入って―――え?

「む……ご苦労『アーサー』……今客が来ている」
「そうなんですね……ユート君と……君たちは?」
「あ、こいつらは俺の友だち!『強欲』を追い払う実力があるから、ちょっと紹介に来た!」

 この男が、伝説の騎士の家系……国王の側近『アーサー・ペンドラゴン』……?
 姿を見るのは初めて……でも、これは―――

「へぇ……君、名前は?」
「……あ、アルヴァーナ・ミラード……」
「………………やっぱり……」

 アーサー・ペンドラゴン……こいつの見た目。
 銀髪、眼帯。そして、眼帯を付けていない方の眼は紅眼……
 すべて、俺とそっくり……いや、まったく同じだ。

「君は?」
「……シャルロット・ミラードです」
「シャルロット……そうか…………君が『セシル』と『マーガレット』の……」

 俺とシャルを見て、アーサーが腕を組む。

「……この人が……アーサー・ペンドラゴン……アルにぃの、……それにしてもアル兄そっくり……」

 背後に隠れるシャルが、何かをブツブツ言っている。

「ふむ……アルヴァーナと言ったな」
「え、はい」
「……君は、能力を持っているか?」

 眼を細くする『人王』……質問の意図がわからないんだが?

「まあ、2つほど……」
「アーサー」
「はっ」

 アーサーが眼帯を外し、異形な『魔眼』が俺を見る。

「……どうだ?」
「能力名、『消魔の魔眼イレイザー・アイ』、『憤怒の上昇アングリー・アップ』……」

 うん、その2つだな。

「そして―――『愛される者の力ラベッド・フォース』」
「……え?『愛される者の力ラベッド・フォース』……?」
「……どうやら、君は『能力三種類持ちトリオ』のようだね」

 ……俺が……『能力三種類持ちトリオ』……?

「……あんたの『魔眼』……わかるのか?人の能力が?」
「『鑑定の魔眼ジャッジメント・アイ』……僕の『魔眼』の能力さ」

 眼帯を付け、柔らかな笑みを向けてくる。

「ふむ……アルヴァーナよ。貴殿のその力、我々のために使わぬか?」
「……どういう事ですか?」
「お前の力を、『魔国』との戦争のために使わぬか?」
「いや、無理です」

 『人王』の顔が凍りついた。

「……その理由を聞いても良いか?」
「俺は、人のために行動しない。妹のためにしか行動しない……絶対に」
「ふむ……そうか……」

 立ち上がり、『人王』が近づいてくる。

「……こういうのはどうだ?お前とユートが戦い、お前が勝てばもう何も言わない。だがお前が負ければ……わかるな?」
「嫌ですよ。こっちには戦う理由がないじゃないですか」
「そうだな……お前が勝てば、何でも望みを聞いてやろう」

 ……何でも……望み……

「……何でも、ですね?」
「ああ、何でもだ」
「……いいですよ、やりましょうか」
「いいね……!俺もアルヴァーナは戦いたいと思ってたんだ!」

コメント

  • ユト

    続き楽しみにしてます❗

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