聖女な妹を狙うやつは、魔王だろうと殴ります。
妹と喧嘩した日―2話
「……どうしよう……」
人通りの少ない町中……1人の少女が涙目になりながら歩いていた。
……アル兄と、喧嘩してしまった。
いつも通りクエストに行こうとするアル兄を見て……ふと、先日見た夢を思い出した。
あの男とアル兄が戦って、アル兄が死んでしまう夢を。
夢を信じるわけではないが……心配になったので、アル兄に付いて行きたいと言ったが……私の事を心配するアル兄は、『ダメ』の一点張り。
「もう、アル兄ったら心配性なんだから……そういう所が好きなんだけど♪」
先ほどの喧嘩も忘れ、上機嫌に引き返す。
……謝ろう、アル兄に。私が悪かったと。
「許して、くれるかなぁ……?」
なんて話し掛ければ良いだろうか。
いつも通り、抱きついて良いだろうか?それとも、最初は謝った方が良いだろうか?
「どうしようかな―――」
「よぉ、そこの嬢ちゃん。名前……シャルロットか?」
「んー?そうだけど……なんで私の事を?」
「んや……嬢ちゃんに会いたいって言う人がいてさ」
私に……会いたい……まさか―――?!
「もぉ、アル兄ってば♪私が言う前に来るなんて♪」
「嬢ちゃん……?」
「それで、アル兄はどこに―――」
ハンカチのような物を鼻に押し当てられ―――急速に、意識が遠退いていく。
薄れ行く意識の中……思うことは1つ。
アル、兄……
―――――――――――――――――――――――――
「―――ん……ぅ……?」
目を擦り、体を起こす。
ここは……『人国』と『魔国』の間にある森の中……?私は、寝ていたのだろうか?
「やぁ、目が覚めたんだね」
「あなたは……」
黒っぽい肌の色。魔女みたいに伸びた爪。そして左目の上にある傷……この人は、『魔国』にいた―――
「……『強欲』の……エルビス……?」
「正解。ああ、君に手を出すつもりはないから、安心していいよ」
ニコリと微笑むエルビス……その表情に、少し恐怖を覚える。
「でしたら……なんで私を?」
「餌さ……あいつを誘き寄せるための」
「そう……ですか」
「怖がらないんだね?それに……口調も、前に会った時と変わってるし」
「これが普通の口調ですよ……お兄様の前では、心を癒すために妹を演じていますから」
私の喋り方は、アル兄のために。
だから……この人の前では、あの喋り方はしない。
「私を攫ったのは、誰ですか?」
「金で雇った『人族』さ……ほんと、生き物って欲深いよね」
どうするべきか……伝えるべきか?今、彼が何をしようとしているのかを。
彼が……どれだけ無謀な事をしようとしているのかを。
「あの……エルビスさん?」
「ん?なんだい?」
「悪い事は言わないので……逃げた方がいいですよ?」
「それは……俺があのガキに、負けると?」
「はい。お兄様に勝てるわけないじゃないですか」
目がつり上がり、エルビスさんが私の頭を掴もうとして―――
「……何の音だ?」
「さすがお兄様……私の場所が完璧にわかるなんて……♪」
『ズッ―――ン……ズッ―――ン……』と、地獄の底から響くような轟音……間違いないアル兄だ。
「だから逃げた方がいいって言ったでしょう?」
「この感じ……いつものアルヴァーナじゃないのか……?!」
「『怒れる狂戦士』……許容範囲以上の憤怒を感じたお兄様の本気……あぁ―――」
木々を薙ぎ倒しながら現れたそれを見て、うっとりと言葉を溢した。
「―――カッコいいです、お兄様♪」
人通りの少ない町中……1人の少女が涙目になりながら歩いていた。
……アル兄と、喧嘩してしまった。
いつも通りクエストに行こうとするアル兄を見て……ふと、先日見た夢を思い出した。
あの男とアル兄が戦って、アル兄が死んでしまう夢を。
夢を信じるわけではないが……心配になったので、アル兄に付いて行きたいと言ったが……私の事を心配するアル兄は、『ダメ』の一点張り。
「もう、アル兄ったら心配性なんだから……そういう所が好きなんだけど♪」
先ほどの喧嘩も忘れ、上機嫌に引き返す。
……謝ろう、アル兄に。私が悪かったと。
「許して、くれるかなぁ……?」
なんて話し掛ければ良いだろうか。
いつも通り、抱きついて良いだろうか?それとも、最初は謝った方が良いだろうか?
「どうしようかな―――」
「よぉ、そこの嬢ちゃん。名前……シャルロットか?」
「んー?そうだけど……なんで私の事を?」
「んや……嬢ちゃんに会いたいって言う人がいてさ」
私に……会いたい……まさか―――?!
「もぉ、アル兄ってば♪私が言う前に来るなんて♪」
「嬢ちゃん……?」
「それで、アル兄はどこに―――」
ハンカチのような物を鼻に押し当てられ―――急速に、意識が遠退いていく。
薄れ行く意識の中……思うことは1つ。
アル、兄……
―――――――――――――――――――――――――
「―――ん……ぅ……?」
目を擦り、体を起こす。
ここは……『人国』と『魔国』の間にある森の中……?私は、寝ていたのだろうか?
「やぁ、目が覚めたんだね」
「あなたは……」
黒っぽい肌の色。魔女みたいに伸びた爪。そして左目の上にある傷……この人は、『魔国』にいた―――
「……『強欲』の……エルビス……?」
「正解。ああ、君に手を出すつもりはないから、安心していいよ」
ニコリと微笑むエルビス……その表情に、少し恐怖を覚える。
「でしたら……なんで私を?」
「餌さ……あいつを誘き寄せるための」
「そう……ですか」
「怖がらないんだね?それに……口調も、前に会った時と変わってるし」
「これが普通の口調ですよ……お兄様の前では、心を癒すために妹を演じていますから」
私の喋り方は、アル兄のために。
だから……この人の前では、あの喋り方はしない。
「私を攫ったのは、誰ですか?」
「金で雇った『人族』さ……ほんと、生き物って欲深いよね」
どうするべきか……伝えるべきか?今、彼が何をしようとしているのかを。
彼が……どれだけ無謀な事をしようとしているのかを。
「あの……エルビスさん?」
「ん?なんだい?」
「悪い事は言わないので……逃げた方がいいですよ?」
「それは……俺があのガキに、負けると?」
「はい。お兄様に勝てるわけないじゃないですか」
目がつり上がり、エルビスさんが私の頭を掴もうとして―――
「……何の音だ?」
「さすがお兄様……私の場所が完璧にわかるなんて……♪」
『ズッ―――ン……ズッ―――ン……』と、地獄の底から響くような轟音……間違いないアル兄だ。
「だから逃げた方がいいって言ったでしょう?」
「この感じ……いつものアルヴァーナじゃないのか……?!」
「『怒れる狂戦士』……許容範囲以上の憤怒を感じたお兄様の本気……あぁ―――」
木々を薙ぎ倒しながら現れたそれを見て、うっとりと言葉を溢した。
「―――カッコいいです、お兄様♪」
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