剣聖と呼ばれた少年、願いを叶えるためにダンジョン攻略~最強がチートスキルで更に最強に~
第七話 『呪われた少女』
通路を進んでいくと大きな部屋に突き当たった。
そしてそこには驚くべき光景が広がっていた。
人型の真っ赤なトカゲ、《ヘルパイトス》がそこにはいた。体躯は二メートルにも及び、皮膚は爬虫類特有のもので、両手の指先からは鉤爪が生えている。人を切り裂くのに十分なほどの鋭利さと大きさだ。
しかし衝撃的だったのはそのモンスターの姿の事ではなく、その先にある事象――ヘルパイトスの鉤爪により串刺しにされた薄青髪の少女の姿だった。
彼女の胸からは多量の出血が見られ、目には涙が浮かび顔は青ざめている。
誰がどう見ても致命傷だ。
「……どうなってんだよ、おい」
少女の周りには既に誰もいない。
彼女は逃げ遅れてやられたのか、あるいは他の人たちを逃がすために敵の注意を引きつけてこうなったのか。
どちらにせよ、誰か彼女を助けてやることはできなかったのか。
……考えても仕方ない。俺はモンスターの手から少女を取り戻すために剣を構えて技を繰り出した。
――八相発破、薩摩の剣術を参考に生み出した秘儀。
その振りの早さから二振りが一振りに見えるほどの斬撃をヘルパイトスの腕に打ち据える。
「ギシャァァァァ!!」
八相発破によりヘルパイトスの両腕を切り落とし、そこから少女を救い出して敵から距離を取った。
「――大丈夫か!?」
俺はうっかり残酷なことを言ってしまったと後悔する。
この怪我で大丈夫なはずはないのだ。
しかし彼女からの返事は意外なものだった。
「……だ……い……じょぶ」
今にも死にそうなか細い声で懸命に喋る少女。
「今すぐヒーラーの元に連れて行って治してやるからな!」
どうにか励まそうと、できもしないことを言う俺。
少女の顔を見ると、まだ何か言っているようだ。
「……うし……ろ」
後ろを振り向くと、ヘルパイトスの鉤爪の攻撃が飛んできた。
とっさに剣で攻撃を受け止める。
「――何故だ、腕は落としたはずなのに!?」
見るとヘルパイトスの両腕からは泡のようなものが噴き出ている。
まだ腕は不完全だが、どうやら再生しつつあるようだ。
「そんなのありかよ、くそっ!」
少女を抱えているために上手く反撃できず、鉤爪の攻撃を受け止めることしかできない。
このままでは埒が明かないので、少女を抱えたままどうにか逃げる方法を考えていたその時、
「もう治りました。わたしには構わず戦ってください!」
さっきまで死にそうだった人のものとは思えないはっきりとした口調で少女が言った。彼女の胸の傷はいつの間にか塞がっていて、顔の血色も良くなっている。
「なっ!? どういうことだ!?」
「後で説明します、今は戦いに集中してください!」
必死の形相で叫ぶ少女。
俺は混乱しながらも「わかった」と頷き少女を床に降ろした。
「ヘルパイストの結晶は人の心臓と同じ位置です! 付与を使って結晶に属性攻撃を叩きこんでください!」
少女の指示に従い、付与を使うとヘルパイトスの目の色が変わった。
自身の命の危機を感じたのだろう、鉤爪による攻撃は一層激しさを増した。
攻撃を一つ一つ丁寧に捌き、奴を仕留めるイメージを浮かべる。
鉤爪の攻撃は一撃が重いが、そのリズムは単調だ。
「――此処だ!」
敵のリズムが一瞬止まる隙を俺は見逃さなかった。
ヘルパイトスの結晶に俺の摸擬刀が突き刺さる。
「ギ……ギギ……」
ヘルパイトスの苦しそうな呻きと共に黒い煙が立ち上り、姿が徐々に溶けていく。最後には他のモンスターと同様に、結晶だけを残して完全に消えてしまった。
(十階層のモンスターということだったけど、一対一ならそんなに強くないな)
討伐に確かな手ごたえを感じる。
俺の実力なら道にさえ迷わなければ上位の階層までチャレンジできそうだ。
しかし今気になるのはそんなことよりも薄青髪の少女のことだ。
「本当に傷は大丈夫なのか?」
「はい……十分に回復しました」
「君はヒーラーをやっていると言っていたね。自分で回復術式を使ったの?」
「いえ……わたしの回復術式はかすり傷を治す程度しかできませんので……」
そういえば出会った時にも回復術式はほとんど使えないと言っていたな。
「それじゃあどうやって治したの?」
「わたしは……不死身なんです」
そしてそこには驚くべき光景が広がっていた。
人型の真っ赤なトカゲ、《ヘルパイトス》がそこにはいた。体躯は二メートルにも及び、皮膚は爬虫類特有のもので、両手の指先からは鉤爪が生えている。人を切り裂くのに十分なほどの鋭利さと大きさだ。
しかし衝撃的だったのはそのモンスターの姿の事ではなく、その先にある事象――ヘルパイトスの鉤爪により串刺しにされた薄青髪の少女の姿だった。
彼女の胸からは多量の出血が見られ、目には涙が浮かび顔は青ざめている。
誰がどう見ても致命傷だ。
「……どうなってんだよ、おい」
少女の周りには既に誰もいない。
彼女は逃げ遅れてやられたのか、あるいは他の人たちを逃がすために敵の注意を引きつけてこうなったのか。
どちらにせよ、誰か彼女を助けてやることはできなかったのか。
……考えても仕方ない。俺はモンスターの手から少女を取り戻すために剣を構えて技を繰り出した。
――八相発破、薩摩の剣術を参考に生み出した秘儀。
その振りの早さから二振りが一振りに見えるほどの斬撃をヘルパイトスの腕に打ち据える。
「ギシャァァァァ!!」
八相発破によりヘルパイトスの両腕を切り落とし、そこから少女を救い出して敵から距離を取った。
「――大丈夫か!?」
俺はうっかり残酷なことを言ってしまったと後悔する。
この怪我で大丈夫なはずはないのだ。
しかし彼女からの返事は意外なものだった。
「……だ……い……じょぶ」
今にも死にそうなか細い声で懸命に喋る少女。
「今すぐヒーラーの元に連れて行って治してやるからな!」
どうにか励まそうと、できもしないことを言う俺。
少女の顔を見ると、まだ何か言っているようだ。
「……うし……ろ」
後ろを振り向くと、ヘルパイトスの鉤爪の攻撃が飛んできた。
とっさに剣で攻撃を受け止める。
「――何故だ、腕は落としたはずなのに!?」
見るとヘルパイトスの両腕からは泡のようなものが噴き出ている。
まだ腕は不完全だが、どうやら再生しつつあるようだ。
「そんなのありかよ、くそっ!」
少女を抱えているために上手く反撃できず、鉤爪の攻撃を受け止めることしかできない。
このままでは埒が明かないので、少女を抱えたままどうにか逃げる方法を考えていたその時、
「もう治りました。わたしには構わず戦ってください!」
さっきまで死にそうだった人のものとは思えないはっきりとした口調で少女が言った。彼女の胸の傷はいつの間にか塞がっていて、顔の血色も良くなっている。
「なっ!? どういうことだ!?」
「後で説明します、今は戦いに集中してください!」
必死の形相で叫ぶ少女。
俺は混乱しながらも「わかった」と頷き少女を床に降ろした。
「ヘルパイストの結晶は人の心臓と同じ位置です! 付与を使って結晶に属性攻撃を叩きこんでください!」
少女の指示に従い、付与を使うとヘルパイトスの目の色が変わった。
自身の命の危機を感じたのだろう、鉤爪による攻撃は一層激しさを増した。
攻撃を一つ一つ丁寧に捌き、奴を仕留めるイメージを浮かべる。
鉤爪の攻撃は一撃が重いが、そのリズムは単調だ。
「――此処だ!」
敵のリズムが一瞬止まる隙を俺は見逃さなかった。
ヘルパイトスの結晶に俺の摸擬刀が突き刺さる。
「ギ……ギギ……」
ヘルパイトスの苦しそうな呻きと共に黒い煙が立ち上り、姿が徐々に溶けていく。最後には他のモンスターと同様に、結晶だけを残して完全に消えてしまった。
(十階層のモンスターということだったけど、一対一ならそんなに強くないな)
討伐に確かな手ごたえを感じる。
俺の実力なら道にさえ迷わなければ上位の階層までチャレンジできそうだ。
しかし今気になるのはそんなことよりも薄青髪の少女のことだ。
「本当に傷は大丈夫なのか?」
「はい……十分に回復しました」
「君はヒーラーをやっていると言っていたね。自分で回復術式を使ったの?」
「いえ……わたしの回復術式はかすり傷を治す程度しかできませんので……」
そういえば出会った時にも回復術式はほとんど使えないと言っていたな。
「それじゃあどうやって治したの?」
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