剣聖と呼ばれた少年、願いを叶えるためにダンジョン攻略~最強がチートスキルで更に最強に~
第六話 『イリーガルモンスター』
天の大樹の中に入ると、そこには複雑に入り組んだ洞窟のような迷路が続いていた。
(ここは……さっきも来た道だな……)
探索を開始してから一時間は経過しているにも関わらずいまだに一階から進んでいない。シャロロの話によると、記録に残っている最高到達階数は四十五階。今のペースではそこまでたどり着くのにどれだけの時間がかかるのだろうか。考えると頭が痛くなってくる。
そうこうしているうちに今日何度目かのモンスターに遭遇した。
一見すると兎が人間のサイズに巨大化したような姿だが、目つきは鋭く口からは二本の大きな牙が生えている。牙の先からは紫色の毒々しい液体がしたたり落ちていて、噛まれるとまずいことになりそうだ。
俺は警戒しながらゆっくりと剣を構えた。
そして覚えたばかりの魔法――付与を使い、剣先をモンスターの額中央に向ける。
狙うは突きによる一点強打。
スーッと息を整えてから縮地を使い地面を大きく蹴りだした。
ゴッと鈍い音が響くと同時にモンスターは低い唸り声をあげて倒れる。
狙い通り、俺の剣がモンスターの頭蓋を砕いたのだ。
モンスターは絶命すると徐々に黒い煙となり空中に溶けていき、最後には小さな結晶のみを残す。この結晶にはエネルギーが含まれていて、これを使って明かりを生み出したり、機械を動かしたりすることが出来るらしい。元の世界で例えるならば電気のようなもので、人々の生活には欠かせないものだ。そして天の大樹攻略中の冒険者にとっては食い扶持となる。
結晶を服のポケットにしまって再びダンジョンの探索に戻ろうかというところで、向かいの通路から叫びながら慌てて走ってくる集団がやってきた。
「――ヘルパイトスがでたぞ!」
皆が俺の横を駆け抜けていく中、気の良さそうなおじさんが足を止めて俺に向かって声をかけた。
「そこの摸擬刀の少年! ぼさっとしてないで早く逃げなさい!」
「ヘルパイトスってなんですか?」
「イリーガルモンスターだ! 本来なら十階層のモンスターだよ!」
それだけ言うとおじさんは人の流れに乗って走り去ってしまった。
ここ天の大樹では上層に行けば行くほど強いモンスターがいるとされている。
しかし例外もあり、稀に上位階層のモンスターが下の階に出現することもあるらしい。そういったモンスターの事をイリーガルモンスターと呼ぶと昨日の宴の席でフィンから聞いた。
(本来であれば逃げるところなんだろうけど……)
今ここで帰ってしまうと薄青髪の少女に会うという目的が達成できなくなってしまう。それに、一撃で倒せてしまう一階層のモンスターには正直飽き飽きしていたところだ。自分の実力を正確に知るためにも強力なモンスターとは戦っておきたい。
結局俺はおじさんの忠告を聞かずに、逃げ惑う人々の波に逆らう形でヘルパイトスの元へと走りだした。
(ここは……さっきも来た道だな……)
探索を開始してから一時間は経過しているにも関わらずいまだに一階から進んでいない。シャロロの話によると、記録に残っている最高到達階数は四十五階。今のペースではそこまでたどり着くのにどれだけの時間がかかるのだろうか。考えると頭が痛くなってくる。
そうこうしているうちに今日何度目かのモンスターに遭遇した。
一見すると兎が人間のサイズに巨大化したような姿だが、目つきは鋭く口からは二本の大きな牙が生えている。牙の先からは紫色の毒々しい液体がしたたり落ちていて、噛まれるとまずいことになりそうだ。
俺は警戒しながらゆっくりと剣を構えた。
そして覚えたばかりの魔法――付与を使い、剣先をモンスターの額中央に向ける。
狙うは突きによる一点強打。
スーッと息を整えてから縮地を使い地面を大きく蹴りだした。
ゴッと鈍い音が響くと同時にモンスターは低い唸り声をあげて倒れる。
狙い通り、俺の剣がモンスターの頭蓋を砕いたのだ。
モンスターは絶命すると徐々に黒い煙となり空中に溶けていき、最後には小さな結晶のみを残す。この結晶にはエネルギーが含まれていて、これを使って明かりを生み出したり、機械を動かしたりすることが出来るらしい。元の世界で例えるならば電気のようなもので、人々の生活には欠かせないものだ。そして天の大樹攻略中の冒険者にとっては食い扶持となる。
結晶を服のポケットにしまって再びダンジョンの探索に戻ろうかというところで、向かいの通路から叫びながら慌てて走ってくる集団がやってきた。
「――ヘルパイトスがでたぞ!」
皆が俺の横を駆け抜けていく中、気の良さそうなおじさんが足を止めて俺に向かって声をかけた。
「そこの摸擬刀の少年! ぼさっとしてないで早く逃げなさい!」
「ヘルパイトスってなんですか?」
「イリーガルモンスターだ! 本来なら十階層のモンスターだよ!」
それだけ言うとおじさんは人の流れに乗って走り去ってしまった。
ここ天の大樹では上層に行けば行くほど強いモンスターがいるとされている。
しかし例外もあり、稀に上位階層のモンスターが下の階に出現することもあるらしい。そういったモンスターの事をイリーガルモンスターと呼ぶと昨日の宴の席でフィンから聞いた。
(本来であれば逃げるところなんだろうけど……)
今ここで帰ってしまうと薄青髪の少女に会うという目的が達成できなくなってしまう。それに、一撃で倒せてしまう一階層のモンスターには正直飽き飽きしていたところだ。自分の実力を正確に知るためにも強力なモンスターとは戦っておきたい。
結局俺はおじさんの忠告を聞かずに、逃げ惑う人々の波に逆らう形でヘルパイトスの元へと走りだした。
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