剣聖と呼ばれた少年、願いを叶えるためにダンジョン攻略~最強がチートスキルで更に最強に~
第五話 『はぐれヒーラー』
シャロロに従って魔法ギルドに向かう途中、天まで届くほどの馬鹿でかい木が遠目に見えた。
その木の幹の太さは木というよりも建物で、見るものすべてを威圧するかのような異様な空気が感じ取れる。
「あれって天の大樹か?」
「そうですよ~、早速向かってる人たちが見えますね~」
天の大樹攻略に挑むパーティーが何組か見える中、
一人で天の大樹に向かっている女の子が目に入った。
「シャロロ、天の大樹に一人で挑もうって場合にはそれなりの強さがいるよな?」
「そうですね~低階層の探索が主でしょうけど、それでもある程度は実力があると思いますよ~」
「あの子にちょっと声をかけてみるよ」
「ふむ~、頑張ってください~」
ナンパのような形になってしまうのは恥ずかしいけど、有望な仲間を集めるためにはこんなところで躊躇してはいられない。
「ねえ、そこの君! 一人でダンジョンに行くの?」
「――ひゃっ!? すみません、いきなり声をかけられるなんてその……思わなかったもので」
声をかけた人はヒューム族の女の子で、魔法のステッキとマントを装備した出で立ちだ。
腰にかかるくらいに伸びたストレートの薄青色の髪はしっかり手入れされているようで、とてもサラサラだ。近づくと微かにシトラスの香りがしてくる。
「急に声をかけてごめんね、俺は魔法剣士をやってるものなんだけど、ジョブが合えば一緒に冒険にいけないかな~、なんて」
彼女のつぶらな瞳は、声をかけられた緊張からかユラユラと揺れている。
なんか喋れば喋る程ナンパしている感じが出ちゃって気恥ずかしい。
「わたしは、その……ヒーラーをやっています……」
「おー、それはまさしく俺が求める人材!」
「でもわたし回復術式はほとんど使えません……」
「大丈夫大丈夫! そこは俺の方でカバーするから」
「えっ……いいんですか」
パーティーの勧誘が思った以上にうまく行きそうだ。
わざわざ魔法ギルドにいかなくても道端でスカウトするって手もあったんだな。
その時、ダンジョンに向かっているパーティーの一つから、いかつい顔をした赤髪の騎士がこちらにやってきた。
「そこの新米剣士君、先輩からの忠告だ。そいつを仲間にするのはやめておけ。その女は呪いがかかっていてな、他の人の回復なんてほとんどできない役立たずなんだよ。かっかっかっ」
それだけ言うとダンジョンにさっさと行ってしまった。
なんで新米ってバレたんだ? あ、装備が摸擬刀だからか。
いや、そんなことよりも呪いだって……?
女の子のほうを見ると俯いて辛そうな表情をしている。
「やっぱりわたし、無理です……。ごめんなさい」
彼女はそのままダンジョンの方に走って行ってしまった。
「名前すら聞けなかった……」
「ツカサさん振られてしまいましたね~」
「そうみたい……だな」
「どうしますか、魔法ギルドに向かいますか?」
「いや、俺はこのままダンジョンに行くことにする」
「さっきの子が気になるんですか……?」
「ああ。あんな表情を見せられたら放っておけないよ」
呪いがかけられているというのに一人でダンジョンに向かうなんて、よっぽどの事情があるに違いない。それに……ちょっと可愛かったし。
「ツカサさんは優しいですね~。それでは私は夕飯の御馳走を用意して教会で待ってますから」
「ここまで案内してくれてありがとうシャロロ。それではまた夜に!」
「はい~、くれぐれもご無理なさらないようにしてください~」
シャロロに手を振り、ダンジョンへと駆けていく。
俺の脳裏には薄青髪の少女の顔が焼き付いて離れないままだった。
その木の幹の太さは木というよりも建物で、見るものすべてを威圧するかのような異様な空気が感じ取れる。
「あれって天の大樹か?」
「そうですよ~、早速向かってる人たちが見えますね~」
天の大樹攻略に挑むパーティーが何組か見える中、
一人で天の大樹に向かっている女の子が目に入った。
「シャロロ、天の大樹に一人で挑もうって場合にはそれなりの強さがいるよな?」
「そうですね~低階層の探索が主でしょうけど、それでもある程度は実力があると思いますよ~」
「あの子にちょっと声をかけてみるよ」
「ふむ~、頑張ってください~」
ナンパのような形になってしまうのは恥ずかしいけど、有望な仲間を集めるためにはこんなところで躊躇してはいられない。
「ねえ、そこの君! 一人でダンジョンに行くの?」
「――ひゃっ!? すみません、いきなり声をかけられるなんてその……思わなかったもので」
声をかけた人はヒューム族の女の子で、魔法のステッキとマントを装備した出で立ちだ。
腰にかかるくらいに伸びたストレートの薄青色の髪はしっかり手入れされているようで、とてもサラサラだ。近づくと微かにシトラスの香りがしてくる。
「急に声をかけてごめんね、俺は魔法剣士をやってるものなんだけど、ジョブが合えば一緒に冒険にいけないかな~、なんて」
彼女のつぶらな瞳は、声をかけられた緊張からかユラユラと揺れている。
なんか喋れば喋る程ナンパしている感じが出ちゃって気恥ずかしい。
「わたしは、その……ヒーラーをやっています……」
「おー、それはまさしく俺が求める人材!」
「でもわたし回復術式はほとんど使えません……」
「大丈夫大丈夫! そこは俺の方でカバーするから」
「えっ……いいんですか」
パーティーの勧誘が思った以上にうまく行きそうだ。
わざわざ魔法ギルドにいかなくても道端でスカウトするって手もあったんだな。
その時、ダンジョンに向かっているパーティーの一つから、いかつい顔をした赤髪の騎士がこちらにやってきた。
「そこの新米剣士君、先輩からの忠告だ。そいつを仲間にするのはやめておけ。その女は呪いがかかっていてな、他の人の回復なんてほとんどできない役立たずなんだよ。かっかっかっ」
それだけ言うとダンジョンにさっさと行ってしまった。
なんで新米ってバレたんだ? あ、装備が摸擬刀だからか。
いや、そんなことよりも呪いだって……?
女の子のほうを見ると俯いて辛そうな表情をしている。
「やっぱりわたし、無理です……。ごめんなさい」
彼女はそのままダンジョンの方に走って行ってしまった。
「名前すら聞けなかった……」
「ツカサさん振られてしまいましたね~」
「そうみたい……だな」
「どうしますか、魔法ギルドに向かいますか?」
「いや、俺はこのままダンジョンに行くことにする」
「さっきの子が気になるんですか……?」
「ああ。あんな表情を見せられたら放っておけないよ」
呪いがかけられているというのに一人でダンジョンに向かうなんて、よっぽどの事情があるに違いない。それに……ちょっと可愛かったし。
「ツカサさんは優しいですね~。それでは私は夕飯の御馳走を用意して教会で待ってますから」
「ここまで案内してくれてありがとうシャロロ。それではまた夜に!」
「はい~、くれぐれもご無理なさらないようにしてください~」
シャロロに手を振り、ダンジョンへと駆けていく。
俺の脳裏には薄青髪の少女の顔が焼き付いて離れないままだった。
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