閉じる

剣聖と呼ばれた少年、願いを叶えるためにダンジョン攻略~最強がチートスキルで更に最強に~

結月楓

第四話 『パーティー』

「おはようございます! ツカサさん」
「おはようシャロロ」

 教会の裏部屋にて目を覚ます。
 召喚で呼び出された都合上家を持っていないので、当面の間は教会に泊めてもらうことにしたのだ。

「ツカサさんに似合いそうな服を用意しておきましたよ」
「ああ、助かるよ」

 元々着ていた胴着は昨日のフィンとの試合で焦げてしまったので、新しい服をシャロロに頼んでおいたのだ。
 黒を基調としたスッキリとしたフォルムの新衣装を身にまとい、窓に映る自分の姿を確認してみる。

「うん、サイズもばっちりだな」
「やっぱり似合いますね~。その服は魔法耐性も高いですからダンジョン探索にも役立ちますよ」
「ところでシャロロ、ステータスをもう一度確認させてもらえるか?」
「いいですよ~」

 昨日と同様にシャロロは俺の胸に手を当ててからスラスラとステータスを書き始めた。


名前:柊司ひいらぎ つかさ
Lv:1→2
力 :380→387
耐久:300
器用:435
敏捷:325→341
魔力:0→350
《魔法》  付与グラント(火・雷・氷)
《スキル》 剣術、言語理解


「わかりやすく変化があったところには前の数値も書いておきました~」
「魔力が増えただけじゃなく、レベルが上がって主に敏捷が伸びてるな。フィンさんとの戦いで縮地を使ったからかな」

 割と簡単にステータスが伸びることに驚きつつも、成長した喜びを感じてテンションが上がってくる。

「ねえ、シャロロ? このくらいのステータスがあれば天の大樹を登っても平気かな?」
「パーティーを組んで攻略するのが普通ですけど、ツカサさんの強さなら低階層は一人でも大丈夫だと思いますよ~」
「よし、それじゃあ早速天の大樹に案内してくれ!」

 ――グギュルルル

 突然腹の虫が鳴った。
 勇んでダンジョンに行くと言ったものの格好がつかず恥ずかしい。

「ご飯はいいんですか? 腹が減っては戦はできませんよ~」
「ご、ご飯でお願いします……」

 シャロロは楽しそうに笑いながら食堂に向かって行く、俺もその後についていった。


 ◇ ◆ ◇ ◆


 食堂には小麦の香ばしい匂いが鼻をくすぐるフランスパンがバスケットの中にたくさん並べてあった。

「好きなだけ食べてくださいね~」
「それじゃ、遠慮なく! いただきます――むぐっ」

 パンを口に入れると、甘い香りが口の中一杯に広がる。

「昨日の宴会で食べた料理もおいしかったけど、これもおいしいなぁ」
「気に入っていただけたようで何よりです~」
「ところでシャロロさ」
「はい? なんでしょう」
「パーティーを組んでダンジョンに行くのが普通ってさっき言ってたよね」
「いいましたね~」
「何人くらいのパーティーで行けばいいんだ?」

 シャロロはモグモグと食べていたパンをごくりと飲み込んで質問に答えてくれた。

「まともに攻略しようとなると回復役と攻撃役の最低二人が必要ですね~。天の大樹はとてもとても高くて、その階層は数百にも及ぶと云われているんですよ~。なので途中で怪我をすると命にかかわるので回復役が必要になるという訳なんです」
「なるほどな、そしたら俺は回復役となるパートナーを見つけなきゃいけないってことか」
「そうなりますね~。回復役の人を探すのであれば魔法ギルドに行くと良いですよ」
「よし、それじゃあダンジョンに行く予定は変更だ! 食べ終わったら魔法ギルドに行くことにするよ」
「では食べ終わったらご案内しますね~」

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く