剣聖と呼ばれた少年、願いを叶えるためにダンジョン攻略~最強がチートスキルで更に最強に~
第一話 『始まりの教会』
「んっ……ここは何処だ?」
目を覚ますと見知らぬ高い天井。
周囲を見渡すと色彩豊かなステンドグラス、奥の方には白い十字架と蝋燭が立てられた祭壇がある。
どうやらここは教会らしい。
少し記憶を整理してみる。
俺の名前は柊司、つい先ほどまでインターハイの決勝で戦っていた。
試合は俺の二本先取で終わり、その後先輩に声を掛けられ……。
そうだ、救急車を呼んだところで意識がなくなったんだ。
でもおかしい、それならば今いる場所は病院のはず。
何故教会にいるのかさっぱりわからない。
「目を覚ましたようですね~。ようこそ、アールグリフの地へ!」
祭壇の方から聞こえてくる突然の声に驚きながら身を起こす。
しかし祭壇には人が見当たらない、どこから声が聞こえているのだろうか。
「誰かいるの!?」
「居ますよ、居ます、ほらここに」
祭壇の奥でジャンプをしてひょこっと顔を出す人物が見えた。
見たところ祭壇の高さは一メートルくらいしかない。
それよりも背が低いなんて子供なのだろうか?
訝しんでいると、その人物(どうやら女の子のようだ)はトテトテとこちらに歩いてきた。
「まずはお名前を教えていただけますか? 私はシャロロと言います~」
「俺は柊司。シャロロ……? 外国人の方なのかな?」
シャロロと名乗る子はクシャクシャの茶色いショートヘアに真ん丸の青い目をしている。
修道服に身を包み十字架のアクセサリーを首から下げているので、シスター見習いだろうか?
「えーとですね、外国人というならばヒイラギツカサさんのほうですよ。ここはアールグリフですから」
「俺のことはツカサでいいよ。で、ここは日本じゃないということ? アールグリフなんて国聞いたことないけど……」
子供のごっこ遊びか何かだと思いながらも真面目に質問を返す。
「ツカサさんは信じられないかもしれませんけど、この国では魔法が発達していてですね、召喚によりあなたは呼び寄せられたのですよ~」
「……シャロロ、冗談はそのくらいにして本当のことを話してほしいんだけど」
俺が苦笑いを浮かべると、シャロロは掌を上に向ける形で両手を前に出してきた。
「見てくださいツカサさん。いきますよ~、えいっ!」
かけ声を上げると、シャロロの掌から顔の大きさほどもある火の玉がボッと浮かび上がった。
「これは手品じゃありません、魔法なんです」
真剣な目で見つめてくる彼女の表情は、嘘を言っているようには思えなかった。
「本当……なのか?」
「はい~、本当です! 信じてもらえたようなので説明させてもらいますね~」
シャロロはにこっと微笑み、彼女の手から火の玉が消えた。
「この国には天の大樹というそれはそれは大きな木があるんですよ。そしてその木の中はダンジョンになっていてですね~、モンスターがたくさんひしめいているんです。そんな危険なところなんですけど、言い伝えによると最初にてっぺんまで辿り着いた人は何でも願いが叶えられるとされていてですね~。それを狙って天の大樹に挑む冒険者が後を絶たないのです」
「へぇ……」
ダンジョンという言葉に心が躍る。
俺は剣道に打ち込む一方でRPGゲームも大好きだった。
だからここがファンタジーの世界だっていうのならばそれを享受することだって簡単にできる。
「教会としては天の大樹でモンスターに殺されてしまう人がたくさんでている現状には困っているんですよね~。なので、実力のある人を召喚して早くダンジョン攻略を果たしてしまおうと考えたのです。それがツカサさんを呼んだ経緯なんですよ~。ツカサさんにとっても願いを叶えることが出来るので悪い話ではないと思うのですが……どうですか?」
「……断られたらどうするつもりなの? 無理やりこちらの世界に連れてきて」
シャロロが信頼できるかを確かめるために、少し意地の悪い質問をしてみる。
「説明が抜けていたのですけれど、召喚術は死者しか呼ぶことが出来ないのです。ツカサさんは覚えてないかもしれませんが、元の世界で死んでしまったはずなんです。もしツカサさんが断るのであれば再び天に帰っていただくことになりますね~。なんせ私の召喚術は一人の死者をつなぎ留めておくことしかできないので……次を探すことになります」
「なるほどね、それなら断る理由がないな。また死んでしまうのは勘弁願いたいし」
俺が快諾したのを聞いた瞬間、シャロロに笑顔が咲いた。
その可愛らしい顔を見て、思わず自分も笑みがこぼれる。
「ありがとうございます! これからよろしくお願いしますね、ツカサさん」
「ああ、よろしくな。シャロロ」
俺達はがっちりと熱い握手を交わした。
「それにしてもシャロロは小さいのに仕事をしてて偉いな。今何歳になるの?」
「あの~、私は二十五歳ですよ……? ミルフィン族ですからこれ以上大きくならないんです!」
小さいと言われたことが気に食わなかったのだろうか、シャロロはぷくっと頬を膨らませる。
子供が駄々をこねているようにしかみえないけど、多分嘘じゃないのだろう。
「ミルフィン族ね、人間以外の種族があるなんて本当にファンタジー世界なんだな」
「……人間? ツカサさんのようなヒューム族のことですかね?」
「わからないけど、多分そうだ」
ファンタジーと言えば多種族の坩堝になっているのは至極当たり前だろう。
俺の想像通りのファンタジー世界に来れたようで胸が高鳴る。
「ところで、ツカサさんは剣術がお得意ですよね?」
「剣道をやっていたから多少自信はあるけど、なんでそれを……?」
「ツカサさんが目を覚ます前にステータスを確認しておいたんですよ~」
「ステータス? それは俺の能力ってことか?」
「そうですよ~、ダンジョンに一度も行ったことがない人としては破格のステータスでしたから将来有望です!」
そう言われると悪い気はしない。
調子に乗ってもう少し質問をしてみる。
「なあ、そのステータスってやつを見せてもらえないか」
「勿論いいですよ~、ちょっと体を触らせてもらいますね」
シャロロは俺の胸に左手を強く押し当てた。
なんだか医者で触診されているときのような気分だ。
シャロロはうむうむと頷くと、左手は俺の胸に当てたまま、右手でペンをとって紙に文字を書き出した。
「はい、これがツカサさんのステータスになります」
渡された紙には良くわからない言語でステータスと思われるものが書かれていたが、不思議と読むことが出来た。日本語に翻訳するとこんな感じだ。
名前:柊司
Lv:1
力 :380
耐久:300
器用:435
敏捷:325
魔力:0
《魔法》 なし
《スキル》 剣術、言語理解
「言語理解っていうのはこの世界の言葉が分かるとかそういうのだよな? いつの間に覚えていたんだろう」
「それはですね~、私の召喚の凄いところの一つですよ~。この世界の言葉を理解できるようにした状態で召喚できるんです!」
俺の方では特に意識せずに日本語として話しているつもりだったけど言葉が通じているのは、この言語理解スキルのおかげってことか。本当凄いな。
「で、魔力が0だけどここってどうにかならないのかな? さっきの火の玉も使えないって事だろ?」
「そうですね~、魔法ばかりはこの世界の住人じゃないと大体覚えてないですね。でも今から覚えることはできますよ? 魔法ギルドか魔法剣士ギルドにいけば教えてくれますね~」
ギルドというものがあるのか、ますます面白くなってきた。
多分俺は剣術を軸に能力を伸ばしていくのが良いだろうから……、
「それじゃあ魔法剣士ギルドに案内してもらえるか?」
「えぇ、いいですよ~。では一緒に行きましょうか!」
知識がどんどん与えられていくから、正直頭がパンクしそうだ。
魔法剣士ギルドとやらで一旦運動ができると嬉しいのだが。
そんな考えを浮かべながらシャロロの案内に従って教会を出発した。
目を覚ますと見知らぬ高い天井。
周囲を見渡すと色彩豊かなステンドグラス、奥の方には白い十字架と蝋燭が立てられた祭壇がある。
どうやらここは教会らしい。
少し記憶を整理してみる。
俺の名前は柊司、つい先ほどまでインターハイの決勝で戦っていた。
試合は俺の二本先取で終わり、その後先輩に声を掛けられ……。
そうだ、救急車を呼んだところで意識がなくなったんだ。
でもおかしい、それならば今いる場所は病院のはず。
何故教会にいるのかさっぱりわからない。
「目を覚ましたようですね~。ようこそ、アールグリフの地へ!」
祭壇の方から聞こえてくる突然の声に驚きながら身を起こす。
しかし祭壇には人が見当たらない、どこから声が聞こえているのだろうか。
「誰かいるの!?」
「居ますよ、居ます、ほらここに」
祭壇の奥でジャンプをしてひょこっと顔を出す人物が見えた。
見たところ祭壇の高さは一メートルくらいしかない。
それよりも背が低いなんて子供なのだろうか?
訝しんでいると、その人物(どうやら女の子のようだ)はトテトテとこちらに歩いてきた。
「まずはお名前を教えていただけますか? 私はシャロロと言います~」
「俺は柊司。シャロロ……? 外国人の方なのかな?」
シャロロと名乗る子はクシャクシャの茶色いショートヘアに真ん丸の青い目をしている。
修道服に身を包み十字架のアクセサリーを首から下げているので、シスター見習いだろうか?
「えーとですね、外国人というならばヒイラギツカサさんのほうですよ。ここはアールグリフですから」
「俺のことはツカサでいいよ。で、ここは日本じゃないということ? アールグリフなんて国聞いたことないけど……」
子供のごっこ遊びか何かだと思いながらも真面目に質問を返す。
「ツカサさんは信じられないかもしれませんけど、この国では魔法が発達していてですね、召喚によりあなたは呼び寄せられたのですよ~」
「……シャロロ、冗談はそのくらいにして本当のことを話してほしいんだけど」
俺が苦笑いを浮かべると、シャロロは掌を上に向ける形で両手を前に出してきた。
「見てくださいツカサさん。いきますよ~、えいっ!」
かけ声を上げると、シャロロの掌から顔の大きさほどもある火の玉がボッと浮かび上がった。
「これは手品じゃありません、魔法なんです」
真剣な目で見つめてくる彼女の表情は、嘘を言っているようには思えなかった。
「本当……なのか?」
「はい~、本当です! 信じてもらえたようなので説明させてもらいますね~」
シャロロはにこっと微笑み、彼女の手から火の玉が消えた。
「この国には天の大樹というそれはそれは大きな木があるんですよ。そしてその木の中はダンジョンになっていてですね~、モンスターがたくさんひしめいているんです。そんな危険なところなんですけど、言い伝えによると最初にてっぺんまで辿り着いた人は何でも願いが叶えられるとされていてですね~。それを狙って天の大樹に挑む冒険者が後を絶たないのです」
「へぇ……」
ダンジョンという言葉に心が躍る。
俺は剣道に打ち込む一方でRPGゲームも大好きだった。
だからここがファンタジーの世界だっていうのならばそれを享受することだって簡単にできる。
「教会としては天の大樹でモンスターに殺されてしまう人がたくさんでている現状には困っているんですよね~。なので、実力のある人を召喚して早くダンジョン攻略を果たしてしまおうと考えたのです。それがツカサさんを呼んだ経緯なんですよ~。ツカサさんにとっても願いを叶えることが出来るので悪い話ではないと思うのですが……どうですか?」
「……断られたらどうするつもりなの? 無理やりこちらの世界に連れてきて」
シャロロが信頼できるかを確かめるために、少し意地の悪い質問をしてみる。
「説明が抜けていたのですけれど、召喚術は死者しか呼ぶことが出来ないのです。ツカサさんは覚えてないかもしれませんが、元の世界で死んでしまったはずなんです。もしツカサさんが断るのであれば再び天に帰っていただくことになりますね~。なんせ私の召喚術は一人の死者をつなぎ留めておくことしかできないので……次を探すことになります」
「なるほどね、それなら断る理由がないな。また死んでしまうのは勘弁願いたいし」
俺が快諾したのを聞いた瞬間、シャロロに笑顔が咲いた。
その可愛らしい顔を見て、思わず自分も笑みがこぼれる。
「ありがとうございます! これからよろしくお願いしますね、ツカサさん」
「ああ、よろしくな。シャロロ」
俺達はがっちりと熱い握手を交わした。
「それにしてもシャロロは小さいのに仕事をしてて偉いな。今何歳になるの?」
「あの~、私は二十五歳ですよ……? ミルフィン族ですからこれ以上大きくならないんです!」
小さいと言われたことが気に食わなかったのだろうか、シャロロはぷくっと頬を膨らませる。
子供が駄々をこねているようにしかみえないけど、多分嘘じゃないのだろう。
「ミルフィン族ね、人間以外の種族があるなんて本当にファンタジー世界なんだな」
「……人間? ツカサさんのようなヒューム族のことですかね?」
「わからないけど、多分そうだ」
ファンタジーと言えば多種族の坩堝になっているのは至極当たり前だろう。
俺の想像通りのファンタジー世界に来れたようで胸が高鳴る。
「ところで、ツカサさんは剣術がお得意ですよね?」
「剣道をやっていたから多少自信はあるけど、なんでそれを……?」
「ツカサさんが目を覚ます前にステータスを確認しておいたんですよ~」
「ステータス? それは俺の能力ってことか?」
「そうですよ~、ダンジョンに一度も行ったことがない人としては破格のステータスでしたから将来有望です!」
そう言われると悪い気はしない。
調子に乗ってもう少し質問をしてみる。
「なあ、そのステータスってやつを見せてもらえないか」
「勿論いいですよ~、ちょっと体を触らせてもらいますね」
シャロロは俺の胸に左手を強く押し当てた。
なんだか医者で触診されているときのような気分だ。
シャロロはうむうむと頷くと、左手は俺の胸に当てたまま、右手でペンをとって紙に文字を書き出した。
「はい、これがツカサさんのステータスになります」
渡された紙には良くわからない言語でステータスと思われるものが書かれていたが、不思議と読むことが出来た。日本語に翻訳するとこんな感じだ。
名前:柊司
Lv:1
力 :380
耐久:300
器用:435
敏捷:325
魔力:0
《魔法》 なし
《スキル》 剣術、言語理解
「言語理解っていうのはこの世界の言葉が分かるとかそういうのだよな? いつの間に覚えていたんだろう」
「それはですね~、私の召喚の凄いところの一つですよ~。この世界の言葉を理解できるようにした状態で召喚できるんです!」
俺の方では特に意識せずに日本語として話しているつもりだったけど言葉が通じているのは、この言語理解スキルのおかげってことか。本当凄いな。
「で、魔力が0だけどここってどうにかならないのかな? さっきの火の玉も使えないって事だろ?」
「そうですね~、魔法ばかりはこの世界の住人じゃないと大体覚えてないですね。でも今から覚えることはできますよ? 魔法ギルドか魔法剣士ギルドにいけば教えてくれますね~」
ギルドというものがあるのか、ますます面白くなってきた。
多分俺は剣術を軸に能力を伸ばしていくのが良いだろうから……、
「それじゃあ魔法剣士ギルドに案内してもらえるか?」
「えぇ、いいですよ~。では一緒に行きましょうか!」
知識がどんどん与えられていくから、正直頭がパンクしそうだ。
魔法剣士ギルドとやらで一旦運動ができると嬉しいのだが。
そんな考えを浮かべながらシャロロの案内に従って教会を出発した。
「ファンタジー」の人気作品
-
-
3万
-
4.9万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
1万
-
2.3万
-
-
9,688
-
1.6万
-
-
9,542
-
1.1万
-
-
9,385
-
2.4万
-
-
9,166
-
2.3万
コメント
春風 めると
更新楽しみに待ってます!お気に入り入れときますね!