新しい世界で生きるには
閑話 : 移住のサクヤ
ヤトと別れた後サクヤは特に何をする訳でもなくただ真っ直ぐに進みながら愚痴をこぼしながら歩いていた。
やれヤトは馬鹿だの、やれヤトは何もわかっていないなど……ひたすらにヤトをディスっていた。
途中挫けて泣きそうになったりもしたが、レイシーの言葉を思い出しながらずっと歩いていた。
「あれは……村なのです……??」
ひたすらに歩いて何時間だっただろうか、足がクタクタになりそろそろ座ろうとした時、目の前に一つの家が見えた。
サクヤはこの世界に人が居るんだと実感し、最後の力を振り絞って家まで足を運んだ。
家の目の前に、ようやく着いたサクヤは扉を三回ノックした。しかし何も返ってこなかった。
「あれ?   留守なのです?   誰かいませんかー?」
サクヤは大声を出してみたが、何も返事がなかった。
「お邪魔するですよー?」
サクヤはダメだとわかっていたが、扉を開けて村に入ってしまった。
その時。
「家の孫は渡さんぞ!   この化け物め!!!」
「きゃっ!?」
家を開けた瞬間クワを持った老人に襲いかかられた。サクヤは間一髪で回避したが老人は血走った目でサクヤにとどめを刺そうと、もう一度クワを振り上げる。
「ここで殺してやるっ!!!」
「おじいちゃんやめて!!」
老人がクワを振り下ろし、サクヤに直撃する瞬間家の奥からサクヤと同じ位の身長の子が現れた。
サクヤはクワが当たらなかったことにほっと胸を撫で下ろすが、すぐに気を引き締めた。
「なんで止めるんじゃ!」
「ちゃんとこの子のことを見てよ!
確かに似てるけど髪の毛しか合ってないよ!」
「あ、あれぇ……?   そうじゃったかの?」
「もう!   しっかりしてよ!   勘違いで人殺したらごめんなさいですまないんだからね!」
「す、すまんのぉ」
「私じゃなくてこの子に!」
「すまなかった!」
「えっ?   えっ!?」
突然謝られたサクヤはどうしていいか分からなかったが取り敢えず謝罪を受け取り、勝手に家に入り込んだことを謝った。
みんな心が落ち着いて、互いに自己紹介をした。
この老人はスルクスと言うらしい、そして孫はカラナというそうだ。年はサクヤと同じ歳で九歳らしい。
「へぇ〜、サクヤちゃんは気がついたら向こうの平野にいたの?」
「そうなのです!   自分でもびっくりなのです」
サクヤも自分でもこんなに嘘がペラペラと出てくることにびっくりしていた。けど、それも仕方ないだろう。出会って信用できるかも分からないのにすぐに秘密を打ち明けるわけにもいけないのだから。
「取り敢えず、家に泊まっていってよ!   住むところないんでしょ?   ね、いいでしょ?   おじいちゃん!」
「も、もちろんじゃ!」
カラナはスルクスに聞く時やけに威圧的だったがもしかしてサクヤを急に襲ったことに怒っているのだろうか。
それにしても住居を借りられるのは願ってもないことだ。
「ありがとうございますなのです!   お泊まりさせてもらうのです!   あ、でも服がないのです」
「ほんと!?   良かった!   服なら私の貸してあげるよ!」
「ありがとなのです!」
サクヤは服がない事に気づいたが、カラナが服を貸してくれるそうだ。確かに同年齢で身長も同じ位なら問題ない。
「話は終わったかい?   そろそろご飯にしようかのぉ」
「もう!   ご飯にするって言っていつも私が作ってるんだから!」
「ふぉっふぉっふぉっ、すまんのぉ」
そう言いながらスルクスは全く反省の色などなく顎を撫でていた。
「私も手伝うのです!」
「ほんと!?   ありがとサクヤちゃん!」
「料理なら得意なのです!」
サクヤは研究所にいた時に調理実習でいつも評価が1番高かった。といってもこれは研究者しか知らないが。
......................................................
「ごちそうさまでした!(なのです!)」
料理を作り、みんなで食事をし終えた。
その時にサクヤはずっと気になっていたことを質問した。それはサクヤが急に襲われた理由である。それも家の孫がどうのこうのと言っていた。
「うーむ、その事か。でもまだ教えられんかのぉ。」
「分かったのです……」
しかしスルクスは教えてくれなかった。やはり、まだ信用されていないということだろう。そのことを察したサクヤは残念そうに引いた。
しかし、その時にカラナは援護射撃を飛ばした。
「ええ!?   なんで教えてあげないの!」
「なんでと言われてものぉ、まだ来たばかりだしのぉ……その、あまり気に掛けさせるのも気が引けるのじゃ」
「そんなの言い訳じゃん!   これからサクヤはここで暮らすんだから時間の問題だよ!」
「分かった!  分かったのじゃ!   分かったからその手を離すんじゃ!」
「あっ」
カラナはいつの前にか掴んでいたスルクスの襟を離した。
「ご、ごめんねおじいちゃん」
「全くじゃ、わしを殺す気かい!   頭がぼーっとするんじゃ!」
スルクスは揺さぶられてクラクラしたのか頭がぼーっとするらしい。
少し時間を置いてスルクスは咳払いをした。
「それじゃ、説明するぞ。心して聞くんじゃ。」
「ごくり……」
サクヤは固唾を呑み込む。
「実はな、カラナは最近鬼神に言い寄られておるんじゃ。」
鬼神、それはとてつもなく強いとされている魔物だ。腕を振れば山が吹き飛び、さらに剣を振れば斬れないものは無いと言われるほどに。
やれヤトは馬鹿だの、やれヤトは何もわかっていないなど……ひたすらにヤトをディスっていた。
途中挫けて泣きそうになったりもしたが、レイシーの言葉を思い出しながらずっと歩いていた。
「あれは……村なのです……??」
ひたすらに歩いて何時間だっただろうか、足がクタクタになりそろそろ座ろうとした時、目の前に一つの家が見えた。
サクヤはこの世界に人が居るんだと実感し、最後の力を振り絞って家まで足を運んだ。
家の目の前に、ようやく着いたサクヤは扉を三回ノックした。しかし何も返ってこなかった。
「あれ?   留守なのです?   誰かいませんかー?」
サクヤは大声を出してみたが、何も返事がなかった。
「お邪魔するですよー?」
サクヤはダメだとわかっていたが、扉を開けて村に入ってしまった。
その時。
「家の孫は渡さんぞ!   この化け物め!!!」
「きゃっ!?」
家を開けた瞬間クワを持った老人に襲いかかられた。サクヤは間一髪で回避したが老人は血走った目でサクヤにとどめを刺そうと、もう一度クワを振り上げる。
「ここで殺してやるっ!!!」
「おじいちゃんやめて!!」
老人がクワを振り下ろし、サクヤに直撃する瞬間家の奥からサクヤと同じ位の身長の子が現れた。
サクヤはクワが当たらなかったことにほっと胸を撫で下ろすが、すぐに気を引き締めた。
「なんで止めるんじゃ!」
「ちゃんとこの子のことを見てよ!
確かに似てるけど髪の毛しか合ってないよ!」
「あ、あれぇ……?   そうじゃったかの?」
「もう!   しっかりしてよ!   勘違いで人殺したらごめんなさいですまないんだからね!」
「す、すまんのぉ」
「私じゃなくてこの子に!」
「すまなかった!」
「えっ?   えっ!?」
突然謝られたサクヤはどうしていいか分からなかったが取り敢えず謝罪を受け取り、勝手に家に入り込んだことを謝った。
みんな心が落ち着いて、互いに自己紹介をした。
この老人はスルクスと言うらしい、そして孫はカラナというそうだ。年はサクヤと同じ歳で九歳らしい。
「へぇ〜、サクヤちゃんは気がついたら向こうの平野にいたの?」
「そうなのです!   自分でもびっくりなのです」
サクヤも自分でもこんなに嘘がペラペラと出てくることにびっくりしていた。けど、それも仕方ないだろう。出会って信用できるかも分からないのにすぐに秘密を打ち明けるわけにもいけないのだから。
「取り敢えず、家に泊まっていってよ!   住むところないんでしょ?   ね、いいでしょ?   おじいちゃん!」
「も、もちろんじゃ!」
カラナはスルクスに聞く時やけに威圧的だったがもしかしてサクヤを急に襲ったことに怒っているのだろうか。
それにしても住居を借りられるのは願ってもないことだ。
「ありがとうございますなのです!   お泊まりさせてもらうのです!   あ、でも服がないのです」
「ほんと!?   良かった!   服なら私の貸してあげるよ!」
「ありがとなのです!」
サクヤは服がない事に気づいたが、カラナが服を貸してくれるそうだ。確かに同年齢で身長も同じ位なら問題ない。
「話は終わったかい?   そろそろご飯にしようかのぉ」
「もう!   ご飯にするって言っていつも私が作ってるんだから!」
「ふぉっふぉっふぉっ、すまんのぉ」
そう言いながらスルクスは全く反省の色などなく顎を撫でていた。
「私も手伝うのです!」
「ほんと!?   ありがとサクヤちゃん!」
「料理なら得意なのです!」
サクヤは研究所にいた時に調理実習でいつも評価が1番高かった。といってもこれは研究者しか知らないが。
......................................................
「ごちそうさまでした!(なのです!)」
料理を作り、みんなで食事をし終えた。
その時にサクヤはずっと気になっていたことを質問した。それはサクヤが急に襲われた理由である。それも家の孫がどうのこうのと言っていた。
「うーむ、その事か。でもまだ教えられんかのぉ。」
「分かったのです……」
しかしスルクスは教えてくれなかった。やはり、まだ信用されていないということだろう。そのことを察したサクヤは残念そうに引いた。
しかし、その時にカラナは援護射撃を飛ばした。
「ええ!?   なんで教えてあげないの!」
「なんでと言われてものぉ、まだ来たばかりだしのぉ……その、あまり気に掛けさせるのも気が引けるのじゃ」
「そんなの言い訳じゃん!   これからサクヤはここで暮らすんだから時間の問題だよ!」
「分かった!  分かったのじゃ!   分かったからその手を離すんじゃ!」
「あっ」
カラナはいつの前にか掴んでいたスルクスの襟を離した。
「ご、ごめんねおじいちゃん」
「全くじゃ、わしを殺す気かい!   頭がぼーっとするんじゃ!」
スルクスは揺さぶられてクラクラしたのか頭がぼーっとするらしい。
少し時間を置いてスルクスは咳払いをした。
「それじゃ、説明するぞ。心して聞くんじゃ。」
「ごくり……」
サクヤは固唾を呑み込む。
「実はな、カラナは最近鬼神に言い寄られておるんじゃ。」
鬼神、それはとてつもなく強いとされている魔物だ。腕を振れば山が吹き飛び、さらに剣を振れば斬れないものは無いと言われるほどに。
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