新しい世界で生きるには

パロす

忌むべき力とクラスタの行方

   リビングにつくとそこには誰もいなかった。
   果物の入っているバスケットがあるだけで、特に何もなかったのだ。
クラスタは何処に行ったのかをヤトは少し考えた結果、トイレに居ると結論が出た。
軽い足取りでトイレに向かう。

   しかしクラスタは居なかった。

「うーん、クラスタどこ行ったんだ?」

   全く、自分から能力を教えてくれと言ったくせになんてやつだ。
などとふざけたことを考えながら、まぁすぐに帰ってくるだろうと決めつけて部屋に戻った。

   さて、クラスタが居ないなら能力の範囲を確認しなければいけないかな。クラスタを驚かせるためにもな!
ヤトはベットの縁に座ってそんなことを考えた。
取り敢えず『逆転』の能力を使ってスキルを作れるか試してみることにする。

   イメージするのは研究所に居る時にレイシーが話してくれた忌むべき力だ。
その忌むべき力とは世界に一桁しか発現しない力らしい。その力が強力で残酷すぎてしまい、発現した人は女子供関係なく殺されてしまうそうだ。

   忌むべき力に触れたものはすべて崩壊する。破滅する。そして忌むべき力は持ち主によって形が千差万別だ。だがそれは形状だけであって色は黒だ。
形状は球状もあれば気体もある。液状もあれば杯の形もある。四角形もあれば三角形もある。
そして最も恐れられたのは自由自在に形を変化させることが出来たことだ。

   そして民家に生まれたならば殺されるが、スラム街などの子に発現した場合は力に気づき猛威を振るっているという設定だ。もちろん気づかない者もいる。

そしてその力の名前は

『カタストロフィ』

   というそうだ。ヤトはカタストロフィという語呂が気に入っていて試しに作ろうという話である。

   そして願わくば、自由自在に形を操ることが出来る『カタストロフィ【Ω】』である。
物は試しだ!   ヤトはそう考え、想像する。

   俺はカタストロフィを持っていない。
   カタストロフィがどういう発動句で、どういう力なのか、知らない。ダメージはどれ程与えるのか、範囲はどこまでなのかも知らない。マナはどれほど使うのかも知らない。

これを逆転させる。

   俺はカタストロフィを手に入れている。
   カタストロフィがどういう発動句で、どういう力なのかもすべて知っている。ダメージも、範囲もすべて分かっている。マナも消費量を知ってる。

『逆転(リバース)』

   発動句を唱えた瞬間、頭がクラっときた。
ヤトはその時に確信した、この能力は何でも可能だと……。

【『カタストロフィ』を手に入れました。
『カタストロフィ』をすべてを把握したことにより、『カタストロフィ』から『カタストロフィ【Ω】』に昇華しました。
『カタストロフィ』の発動句は『破滅よ』です。】

   ヤトは世界の言葉を聞きながら、後に倒れてまた気絶した。


......................................................


   ヤトは目が覚めると、先程倒れた時と同じ状態だった。しかし身体が怠い。仕方なく身体を起こすと物凄い空腹感に襲われた。
ヤトは新しい記憶よりも先に、腹を満たす為に怠い身体を働かせながらリビングへと向かった。

   リビングに着くと果物が置いてあるバスケットがあった。しかし、その果物は少し傷んでいるように見える。

   だがヤトはそれに動じることもなく、いただきます。そう言ってすべて平らげた。
ヤトは腹が満たされ満足そうにご馳走様と挨拶をして立ち上がろうとした時、バスケットの底に折りたたまれた紙があるのが見えた。

   その紙を広げると何やら文字らしきものが書いてあった。それは蛇のような文字で、なんて書いてあるのかさっぱり理解出来ない。だが何かのメッセージをクラスタが書いたことだけはわかる。この森にはヤトとクラスタしか居ないのだから。
ヤトは紙を折りたたみ、机の上に置いた。

   ヤトはこの世界の言葉がわからない、ならばすることは一つだけだ
『言語理解』のスキルを手に入れるしかない。

『言語理解』のスキルはクラスタと駄弁っていた時にエルフの言葉の話になり、少しだけ出てきたスキルの名前だ。

そうと分かれば話は早い。ヤトはまた想像する。

   俺はこの世界の言葉を何も理解出来ない。
   この世界の文字が何を示し、何も意味するのか……分からない。

これを逆転する

   俺はこの世界の言葉をマスターしている。
   もちろん文字だって、意味だって分かっている。

『逆転(リバース)』!

【あなたはこの世界、全ての言語をすべてを掌握しました。パッシブスキルに『言語マスター』が追加されました。】

   何故かこの世界の言語を全て理解したそうだ。頭痛も起きないし実感がわかないが……。
そしてパッシブスキルは常に発動してるから発動句は要らないのか。

   まぁ、取り敢えずそんなことを考えるよりも先にこの置き手紙を読まない事には始まらない。
   

   手紙を再度手に取り、広げて読むと何故か文字が前にいた世界の文字になっていた。
謎が深すぎる。。。
取り敢えずその思考を捨てて文字を読む。
手紙にはこう書いてあった。

《ヤト、お前勝手に俺のフルーツ食いやがったな!?   まぁ、それは許そう。お前が何日寝ているつもりなのかは知らねぇが俺がこれを書いてる時点では三日は寝てるな。
風呂の問題は多分いらねぇだろ、ベットに浄化の魔法かけてるからな。

本題に入る。
俺はお前が来る前にグリーヴァスドラゴンの子供を見つけたことがあった。それは一、二年前の話だ。多分この話をする時点で分かるかも知れないが、お前が寝てる間にそのグリーヴァスドラゴンの親が来る気がするんだ。これは感だ、冒険者としてのな。
だから俺は取り敢えず家を離れて辺りを散策する。そして来ていたのであれば……討伐だ。
そういうことで俺はここを暫く離れる。間違っても来ようなんて思うなよ?   お前はまだまだ未熟だ、グリーヴァスドラゴン相手にお守(も)りをしながら戦うなんで流石にできないからな。
じゃあな



追記
快眠の魔法をかけた。いい夢見ろよ》


ヤト無言で手紙を握りつぶした




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