新しい世界で生きるには

パロす

力を把握

想像を固め、息を吐き、あの言葉を呟く

「『逆転(リバース)』」

その瞬間頭に知らない声が響いた。

【シークレットスキルに『強奪【Ω】』が追加されました。】

「どうだ?   ちゃんと逆転はできたか?」

   そう言いながら顔を覗き混んできたのはクラスタだ。

「うん……大丈夫だ。ちゃんと強奪になったよ」

「おお!   そりゃ良かったな!   よし!   今すぐ試そう!   すぐやろう!!  善は急げ!  急がば回れ!!
って、ところでなんでお前はそんなにテンションが低いんだ?   もっと喜べよ?」

「ん?  あぁ……ちょっと疑問が多くてね」

「よし、答えられる範囲なら答えてやるよ!   言ってみろ!」

「んじゃ一つ目、頭に流れるあの無感情な声は何?」

「あぁ、世界の言葉のことか」

「世界の言葉?」

「そう、世界の言葉。
世界の言葉はエルフの森で、ハイエルフ達が管理してるんだ。
世界の言葉っていうユニークスキルを持った人間が居たんだがな、それが優秀過ぎたんだ。
だが、人間はすぐに死んでしまう。
だからそのユニークスキルを失わない為に、異種族同士でその人間を捕まえて死なないように監禁してるんだ。エルフ特性の秘薬を打ってな」

   といっても何千年も前の話だけどな!   ガハハ!
と軽快に笑っていたが、全然笑える話じゃない気がする。

「えっ、何千年もって……さっき声がしたからまだ生きてるってこと?」

「そういうことになるな、不老不死の秘薬の力さ」

「あぁ、これ国家機密並みに重要なことだからな、漏らすなよ?」

   そう言いながら言うクラスタの顔は真面目だった。なんでこんなことをクラスタは知ってるんだろうか……謎が深い。

「まぁ、分かったよ。
その世界の言葉のユニークスキルはどういう能力なの?」

「あっ、そっちか!?   無駄に漏らしただけじゃねぇか……。」

   クラスタは勘違いで国家機密並みに重要なことを漏らしたらしい。クラスタには秘密を話さない方がいいかな。などとヤトは心の中で決意していた。

「えっとなー、俺もよく分からんのだが
自分の意思とは関係なく発動するようだ。
それと、この世界の人がレベルアップしたら勝手に
報告してくれるし、何かスキルが手に入ったら報告してくれるんだ。
世界を回してくれてるようなものと思ったけばいい」

   曖昧ですまんな!   と謝るが、逆によく知ってるなと感心する。
世界旅でもしてたのだろうか?

「うーむ、大体分かったよあの声はスキルの持ち主な声なの?」

「それは正解だな」

   なるほど……でもエルフの森か、いつか寄ってみるのも良いかもしれないな。

   と言っても場所知らないけど

「んじゃ次の質問するよ」

「どんとこい!」

「さっき逆転を使ったけど、なんでユニークスキルを読むときは逆転(ぎゃくてん)なのに発動させるのは逆転(リバース)なの?」

「はぁぁ!?!?」

「わっ!?   なに!?!?」

   唐突にクラスタが叫び出しびっくりする。
とうとう頭でも狂ったのか?   などと考えるがそれはないかと頭から捨てる

「なんでそんなことも知らないんだ!?」

「知らないものは知らないんだよ!」

「ユニークスキルを使うことができるのは発動句が必要なんだよ!   その発動句が逆転(ぎゃくてん)の場合は逆転(リバース)なんだ。
そして発動句を得る為にはそのユニークスキルについてよく調べなければならない。どんどん追求していくと、世界の言葉が教えてくれるんだが……お前はどこで発動句を知った?」

「えっと、研究者が教えてくれたけど……」

「それがおかしいんだよな!」

「そんなこと言っても仕方ないだろ?
教えてもらったんだから」

「まぁな」

「ところでさっきの発動句とかあんまり分からないんだけど、なんか分かりやすく例えてよ」

「よし、じゃあユニークスキルを南京錠としよう。そして発動句が鍵だ
そして誰もが最初は南京錠にぴったりの鍵を持っていない
鍵を手に入れる為には南京錠の鍵穴の構造を知らなければならない。 ここまで分かるか?」

「おう」

「そして鍵穴の構造を知ると、世界の言葉が鍵(はつどうく)を教えてくれるんだ!
鍵穴の構造を知るってのはまぁ、知りたいユニークスキルがどういうのか知るってことだな。
まぁ、瞑想してれば勝手に頭に流れてくる」

「なるほどなぁ……なんとなく分かったよ。
ありがとう」

「おうおう!  どんどん感謝しろ!」

「クラスタうぜぇ!」

   そう言いながらお互いに笑い合う。
しかし流石クラスタ博識だ。

「纏めると、発動句は瞑想してれば手に入るようなものだよね?」

「まぁ、そうなるな」

   そういうクラスタの顔はすごく複雑そうなしていた。きっと簡単にまとめられるのが嫌だったのだろう。そんなことに気は使わないが

「その瞑想って大体何年ぐらいして発動句が手に入るんだ?」

「うーん、三年ぐらいだな」

「はぁ!?   クラスタ!   お前はそんなに掛かるのにすぐ使えとか無茶振りをしてたのか!?」

   まったく、本当にクラスタはスキル系になると周りが見えなくなるんだな。


   ってあれ?   もしかして逆転を使って「知らない」を「知っている」に変えられるんじゃ……

「すまない、クラスタ!   さっきのは謝るよ!」

   ヤトは自分に考えさせてくれたのにそんなことを捨てて、クラスタを責めてしまったことを謝ることができるいい子なのだ。

「……は?」

クラスタは何言ってんだこいつ。みたいな顔でこっちを見ているが、クラスタのやりたい言いたいことが分かった今では滑稽に見えてしまう

「強奪のことを「知らない」から「知ってる」に逆転で変えるんだろ!?」

「へっ?   ……ああ!   そうともそうとも!!   よく分かったな!   ガハハ!!」

あれ?   もしかしてクラスタは分かっていなかった?   だとしたら本当に周りが見えてないだけだったのか!

「謝罪を返せぇ!」

「そりゃないぞ!   お前が勝手に謝っただけだろ!?」

「くそぅ!」

そんなくだらない茶番劇を二人で楽しんでいた。



......................................................



「よし、やってみろ」

さっきの茶番劇が終わり、クラスタと二人で話してこれから逆転を使って強奪をマスターすることになった。


想像する

強奪はどこまで奪えるのか。命も奪えるのか。魂も奪えるのか。範囲はどこまでだ?   そして相手の物も奪えるのか?   そして代償はなんなのか。
そして発動句は何なのか。
俺には何もわからない。

それを逆転させる。

俺は強奪のすべてを知っている。
範囲はどこまでか、何を奪えるのか。
発動句も知っている。
そして代償も。

そして発動句を口にする

「『逆転(リバース)』」

その瞬間頭に声が流れた。

【『強奪【Ω】』についてすべてを把握しました。

『強奪【Ω】』が『略奪者』に昇華しました。

『略奪者』の発動句は『略奪者(プリュンダラー)』です。

『略奪者』の昇華能力は仲間に『略奪者』の力を一度だけ付与することができます。
そして付与された『略奪者』の力は一度しか使えません。代償は人それぞれになります。】

   そう世界の言葉が話し終わった瞬間、頭に膨大な情報が流れ込んできた。
頭が情報の処理に追いつかず、沸騰するような錯覚をするほどに辛くなり視界がだんだんぼやけて……気絶した。

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