新しい世界で生きるには

パロす

企み

「俺がご飯食べ終わったらスキル三つ教えるから使い方教えてk……」

「おお!?!?   マジでか!?   いいぞ!!   さぁ!食え!   早く教えるんだァァァ!!!!」

「えぇ……ステータスの魔法は?」

「そんなの後でいいだろ!?   そんなことよりスキルだ!」

   クラスタのテンションの上がりように付いていけないな。そんなことを思いながらしっかりと味わいご飯を食べ終わった。





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   ヤトはクラスタに急かされるまま家の外に出た。
そういえば、目が覚めてから外に出ていない気がする。地味に楽しみだ。
家の扉が開き、外に目をやるとある程度の範囲の木が伐採されていた。
クラスタ曰く家を作ったのは森の木らしい。
多分ここら辺の木はすべて家になったのだろう。

「さぁ、スキルの名前を!   そして使え!」

   クラスタは若干目が血走っている。地味に怖い。
なんでこんなにスキルのことになると気持ち悪くなるのか聞いたところ、
知ることが好きだから!
と返ってきた。それにしても度が過ぎてる気がしなくもない。

「使えって言われても微妙なのしかないけど……」

「いいから名前を!   早く!」

「クラスタめんどくせぇ!」

   何度もそう急かすなよ!   などと怒鳴りながらスキルを説明する順番を考える。
その時にふっと過(よ)ぎった。
ここでスキル教えないって言ったらどうなるんだろう……と。

「クラスタ面倒臭いからスキル教えない」

「な、なんだって!?   何でそんなに俺を焦らして虐めるんだ!!」

   なんか、弱いもの虐めをしているような気分になってしまった。
若干後悔する。若干でしかないが。

「んじゃ、教えるぞ」

「よっ!   待ってました!」

   全く調子の良い奴だな。そう思いながらニヤニヤしてしまう。本当にクラスタは面白い

「まず一つ目のスキルの名前は『マナ貯蔵庫【∞】』だ。
能力は自分のマナが無限になる。だな」

   ほら、微妙だろ?   そう言いながら笑ったがヤトの想像と反対にクラスタの顎は外れそうな程に開かれ、目なんて飛び出そうな程だ。まさに間抜け面。

「ど、どうしたんだ……?」

   ヤトはそんなクラスタのことを笑えずに、心配していた。
まさか、弱すぎて絶句するしかないほどだったのか。もしかしたら、捨てられる!?
そんな嫌な予感が脳裏を過(よ)ぎる。

「た、頼むクラスタ。クラスタの家を追い出されると俺は、何処に行けばいいのか分からなくなってしまう。捨てないでくれ……」

   ヤトは必死になりクラスタに縋ろうとする。
足を折り曲げ、地面に手をつけ、頭を少し地面から離し……土下座をした。

「あ?   あぁーあぁ。違う違う逆だ!   そんな体制してないで早く立て!
お前今マナが無限になるって言ったろ?」

「よっこいしょ。うん、そうだよ」

   ヤトはクラスタの声に安堵しつつ立ち上がる。
それならば何故クラスタはあんなにも間抜け面を晒していたのだろうか。理解できない

「お前の世界は知らんが、この世界ではマナによって人間の価値は左右されると言っても過言ではない程にマナは重視されてるんだ。まぁ、冒険者は身体能力と力があればそこそこ行けるから……
まぁ、若い内の話だな。
その若い内でも特に学園ではそうだ。
あー、と言っても分からないか、学園というのは………」

   そんな感じで話はどんどん脱線していき学園の話になった。
まとめると、この世界では十五歳になると王都にある学園に行き、魔法、スキルの使い方を学ぶことが可能になる。
そしてその中のクラス階級はマナ所持量と努力、そして才能によって変わるみたいだ。
そして絶句していたのはヤトのスキルが馬鹿げているから……というのが答えだった。少し恥ずかしい。

「それにしても一発目からそれか。後に教えた方が良かったんじゃないか?   もう驚かないぞ?」

   クラスタはそう言いながらニヤニヤしている。
俺的には一番インパクトの薄いのを選んだんだけどな。。ヤトはそう思いながらクラスタの顔を見ていた

「次のスキルは『譲渡』
能力は、あらゆるものを譲渡する。形在るもの、無いものまで全てを譲渡する。その代わり、マナを激しく消費する。……だったかな?スキル併用することが出来るらしいよ」

「はぁぁぁ!?!?!?!?」

「びっくりしないんじゃないの?」

   ヤトはニヤニヤしながらクラスタの矛盾したことを突っつく

「ばっか、そんなこと言ってる場合じゃねぇだろ!?お前のさっきのスキルで無償で何でも渡せんじゃねぇか!」

「あぁ!   言われてみれば!」

「気づいてねぇのかよ!」

   そんな事言われても仕方ないだろう。使う機会なんてほとんど無かったのだから。

「それにしても、『譲渡』か。病気や状態異常、傷も渡せるなら負け知らず……だな。
色々と鈍りそうだが」

「多分譲渡できるんじゃない?」

「マジかよ……」

   クラスタは呆れたような顔をしてくる。そんな事されてもどうしようもないのに。

「んじゃ、次最後行くよ」

「お、おう」

「『逆転』
能力は、あらゆるものを逆転させる。形在るもの。無いものまで全て逆転させる。その代わり、マナを激しく消費する。……これも併用出来るらしいね」

「ん?…………おう、まてや」

「使ったことあるから、最後に選んだけど、どう思う?   これは強くない?   立場も逆転できたんだよ」

   ヤトはシャッテングリズリーとの死の追いかけっこした時の事を思い出して少し身震いする。

「なぁ、スキル併用出来るって言ったよな?」

「え、うーん。やったことは無いけど出来るらしいね」

「なぁ、『譲渡』に『逆転』をかけるとどうなると思う?」

「えっ」

   全てを渡す。それの逆。それは……
全てを奪うこと。
そう、まるで昔にレイシーが話してくれた愚かな勇者の能力と同じ……

「この世界では禁忌と呼ばれ、今は見ない……昔の昔に存在した闇に堕ちた勇者の力『強奪』を完全に再現……いや、それすら超えることが出来るんじゃないか?」

   この時のクラスタの顔は口角が釣り上がり、悪いことを企んだかのような笑顔をしていた。

「よし、そうと決まればさっさとやってしまおう!」

「そんな急な!」

   いくら何でも、今からやるなんて思わなかった。
スキル関連や自分が気になるとフットワーク軽くなるすぎだろ……

「いいから早く早く!   『逆転』の使い方は分かってるんだろ?   なら出来るだろ!」

   子供かよ!そう内心で悪態を吐きながら、断っても断りきれないだろうな……と諦め受け入れる

「わ、分かったよ……」

   ヤトはまた想像を固める。前に聞いたレイシーの言葉通りにすればできるはずだ。これでシャッテングリズリーからも助かったんだしな。


   想像する。

   譲渡の力、それは全てを渡すことだ。なんだって渡すことができる。体力も、スキルも、記憶も、血も、肉も、すべて出来るはずだ。
その逆を考える。相手の体力でも、スキルでも、血でも、肉でも、骨でも。何でも強奪する。技術だって、思考だって、記憶だって、全て奪い取って捨ててやる。命だって奪えるはずさ。


   想像を固め、息を吐き、あの言葉を呟く

「『逆転(リバース)』」

   その瞬間頭に知らない声が響いた。

【シークレットスキルに『強奪【Ω】』が追加されました。】



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