新しい世界で生きるには

パロす

おいしいごはん

「クラスタ…か。案外悪いやつではないのかもしれないな。本当のこと話したら信じてくれるかな。」

ヤトはまだ子供だ。子供のうちは信用なんてすぐにしてしまう。それがたとえ、いい人でも悪い人でも。

子供なんてそんなものだ。



数分してからクラスタは片手に料理の乗ったおぼんを持ちながら扉を開けて戻ってきた。

「おう!一応出来たぞ〜。お前寝起きだしスープ類でいいだろ?」

クラスタはそう言いながら空いている手で隅っこにある机を指さしながらそこに座ってろと言った。
ヤトは頷きながらその机に向おうとしていたが、足がふらついてしまい思うように動かない。それに歩く度痛みが走る。

それもそうだろう。慣れない森をそれも長時間も歩いたのが原因だ。研究所に居る時はこんなに長時間も歩いたことは無かった。あそこまで持った体力を褒めて欲しいところである。
しかし、こんな事をクラスタに気にさせる訳にはいかない。そう考え壁を伝いながら歩いて座った。

「おい、なんで壁なんて触りながら歩いてるんだ?」

むっ。そう唸りながらヤトはどう言い逃れしようか考えていた。
恐らくヤトの状態を見抜いた上での質問だろうと、カマを掛けられた時から学んだ。
さてどうしたものか。

「実は、われぇ……俺は寝起きが悪くてな。いつも起きた時は目が回ってしまっているんだ。」

これは失敗だ。言いながら自分でもわかるほどに酷い。今さっき起きたばかりなら信じたかもしれない。しかし起きてからもう数十分は経っている。

「あーはいはい。どうせ足を痛めたんだろ?歩いてる時プルプルしてたぞ」

クラスタはそう言いながらヤトの前にある机に料理の乗ったおぼんを置く。



料理は、少し濁った食パンのようなものに野菜と何かの肉が入ったスープだ。それに銀のスプーンも付いている。
この食パンをスープに付けてふやかしながら食べろということだろう。
あとはティーセットが乗っている。
中身は紅茶だろう。


「まぁ、それは後で聞くとして。冷めないうちに早く食べろ」

「それじゃあ……いただきます」

ヤトは研究者に教わった作法を真似て手を合わせ、食材に感謝する言葉「いただきます」をしっかりと言った。

「ん?いただきます?なんだそれ」

クラスタは何を言っているんだ?と困惑を顔に浮かべていた。
そうか、世界が違うと作法も違うのか。あれ?それじゃあなんで言語や言葉遣いは同じなんだ??
そう考えていたが答えが出ることは一生ないだろう。
一つ言えるのはサクヤの願いが関係しているのかもしれない。
だが、この答えに辿り着くことも不可能と言える。
ヤトはサクヤの願いを知らないからだ。それに当の本人、サクヤもスキルについて熟知していなければ知ることは不可能だろう。

「これは俺の国の食事の作法だ」

「へー。一応いろんな国を旅したのだが、そんな作法聞いたことないな?どこの国だ?」

若干目がキラキラした顔を迫ってくる。地味に怖い。おっさんなんだから考えてくれ。

しかし、どうしたものか。
急に異世界から来た!なんて言っても信じてもらえないだろうし、信じてくれても色々とめんどくさそうだ。
少しずつ教えていく方がいい気がする。
それにまだ互いのことを何も知らない。いや、知らな過ぎる。
逆に何故一緒に住んでいるのかも謎だ。
だが、クラスタが良い奴って事だけは分かるかな。
そんなことを考えて答えを出した。

「ここからずっと、ずーっと遠い世界から来た。それ以外はまだ教えられない。」

クラスタは目を見開き口を大きく開けて絶句したような、唖然としたような。そんな顔をして驚いていた。
やっぱ、そうなるよね。なんてそんなことを思いながらヤトはクラスタの用意してくれた料理を食べ進めていた。

「あ、美味しい」

クラスタは料理が上手なようだ。塩味もちょうど良く、野菜も口の中で溶けるまで煮詰めてある。きっとヤトの胃を配慮しての行為だろう。
その当のクラスタはさっきの話に驚いて場所を移動し、ベットの上に座りブツブツつぶやきながら考え事をしていた。
その間にヤトはクラスタの料理を完食した。

「ふぅ…ごちそうさまでした。
クラスタ、ありがとう。美味しかったよ」

ヤトは後ろを向き、クラスタにそう声をかけるが反応がない。まだ考え事をしているようだ。

「おい!クラスタ!!」

大きな声で呼びかけるが、反応がない。
もしかしたら、そう思いヤトはおぼんの上にある銀のスプーンをクラスタに投げつけた。すると

「なんだっ!?
…………?スプーン?」

「クラスタ、ご飯ありがとう。美味しかったぞ」

スプーンを投げてやっと反応してくれたクラスタに感謝の気持ちを伝えるとクラスタは不思議そうな顔をしていた。

「あ、ああ。それは嬉しいが、なんでスプーンを投げるんだ?流石に行儀が悪いぞ」

「だって、声をかけても反応してくれなかったじゃないか。」

クラスタは行儀が悪いというが、確かにスプーンを投げるのはまずかったかもしれない。
普通に叩きに行けばよかったかもな。そう少し後悔する。

「あぁ?ああー。それはすまなかったな!
よし!!俺が残りは片付けとくよ!それにさっきの作法の話はできないんだろ?ならいつか教えてくれよな!
んじゃ、今すぐ風呂入って寝ろ!すぐ入れ!今すぐ入れ!明日からステータスを覚えてもらうぞ!早く身体を休めろ!」

「えぇ!?またそんな急に!?」

「善は急げ!急がば回れ!早く行け!」

「それ結局回り道なんじゃ…」

「いいから行け!」

「はい!」

クラスタのペースに飲まれて、ヤトは案内されるがままに風呂場に向かった。着替えはクラスタのを貸してくれるらしいがサイズが合わないだろう。
クラスタ曰く小さいことを気にしたら負けらしい。意味が分からない
ヤトは服を脱ぎ風呂に入り、身体を休めた。
一方クラスタはカンテラのような物を手に持ち、さっきの部屋に戻りまた一人考え事をしていた。

「ずっーと遠い世界(・・・)か。
これはこの世界じゃないって意味だよな。
どうしてあいつは世界を渡ることなんて出来るんだ…?まさかあいつが【転移】持ち?いや、それなら人里のいる所に転移することが出来るはずだ。
でも、ユニークスキルの事も冒険者のことも、ジョブについても何も知らないように感じられた。
本当に別の世界から…?
それに自分のスキルを知っているのにステータスが使えないなんてことも妙だ。
気になる…。
あと、あいつはなんであんなにも年の割に大人びてるんだ?九歳なんてもっと自己中心的で遊び盛りだろうに。謎が多すぎる。
だが、悪い奴ではない。
それだけは直感的に分かる。」

ベットに座りぶつぶつ呟きながら、思考の海に意識を漕ぎ出していた。







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ヤトは風呂を上がり、クラスタのぶかぶかの上の服とクラスタが洗ってすぐに乾かしてくれたパンツだけを履き、先程の部屋に向かっていった。
扉を開け部屋の中に目をやるとクラスタは帰りを待っていたようで話しかけてきた。

「あ、そうだ言い忘れてたがこれからはここがお前の部屋な」

「えぇ!?」

急に衝撃的な事実を打ち明けられ、驚いた。
てっきりここはクラスタの部屋だと思っていたからだ。廊下にでも横になって寝ることを覚悟してたくらいだ。

「それじゃあ、クラスタはどこで寝るんだ?」

「ん?ああ、俺はリビングで適当に寝るさ」

やっぱり、予想は外れていた訳では無いみたいだ。クラスタは自分の部屋をヤトに譲り、自分はリビングで寝ると言い始めてしまった。

「やめてくれよ!俺は別に廊下で寝たって構わない!こっちは居候させてもらう身なんだぞ」

「あぁ?何勘違いしてやがる、俺は元からリビングで寝てるんだぞ?」

クラスタは苦し紛れの嘘を呆けた顔で言ってきた。流石にこんなのに騙されるほど子供ではない

「嘘をつくな!こんな生活感…はないけど、ベットだって机だってあるんだぞ?騙されるか!」

「はぁ…これはお前が寝ている間に作ったんだぞ?」

「はぁ?そんなこと人間にできるわけがないだろ!」

クラスタは嘘を言ってはいない。
建築スキルを持っていないが、物を作ることに対しての才能はピカイチなのだ。
それに足りない所は魔法で補ったりもしていたりする。

「魔法があれば余裕なんだよ」

「ま、魔法…そうなのか?」

「あぁ、そんなもんだ。
だから気にせずにここで寝とけ」

なんか丸め込まれたような感じがして納得がいかないが、渋々ヤトは頷いた。

「んじゃ、横になってさっさと寝とけ。持ってきたライトはそこにあるボタンを押せば消えるからな。おやすみ」

クラスタはそう言いながらカンテラのような形をしたライトの上を指さしながら言った。
おやすみ…か。
言語や作法が同じだったり違ったり、ほんとに訳がわからないな。
そんなことを思いながら、おやすみとクラスタに言って扉を出るのを確認してからライトを消し、目を閉じた。

「ありがとう」

そう小さく呟きながらヤトは眠りについた。









名前:ヤト

年齢:9

生命力:100
マナ:∞
攻撃力:120
精神力:200
敏捷:350
知力:220

スキル




ユニークスキル

譲渡   逆転  マナ貯蔵庫【∞】 適応   共有


状態異常

■■操■             ■■【■】  ■■■■【■■】 ■神■■【■】  ■■■■【■■】 ■■  【■■■■】

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