新しい世界で生きるには
クラスタの家
「ユニークスキル三つ持ってるんだぞ!驚いたか!?」
「ふむ。ユニークスキルがなんなのか分からぬが凄いスキルなら我も五つ持ってるぞ」
「えぇっ!?!?」
お前が驚くのか。ヤトはそんなことを思いながら嫌いになれないこの男に気を許しかけていた。
「何でそんなに驚くのだ?そのユニークスキルとやらかどうかは分からぬのだぞ?」
「はぁ?何言ってんだお前?普通自分のスキルを知ることが出来るなんて十五歳からだぞ?
それに魔法を教えられるのだって十五歳からだ。だから『ステータス』の魔法だって使えないから自分で知ることなんて無理なはずなんだぞ?
なんでお前は自分のスキルを知ってるんだ?」
「ふぅむ。」
ドジを踏んだか。そう内心で溜息を吐きながら適当な言葉を考える。
「実はな。我はとある魔術師に拾われたのだ。その時に英才教育だのなんだの言ってステータスの魔法を教えてくれたのだ」
よくもまぁ、こんな嘘をすぐに思いつくものだ。もしや詐欺師の才能があるのではないか?など考える
「ほう?なるほどな。それでか……納得した。」
ふぅ…上手く欺けたかな?これで落ち着ける。ため息を吐きながらヤトはそう考えた。
「なら、今ステータスを見せてはくれないか?」
「は?」
「だから、ステータスを見せてくれと言っているんだ。別に困るものでもないだろう?」
クラスタは分かっているのかニヤニヤとしながら攻めてくる。これは…折れるしかないか?いや、いける。そう考えて、ヤトは頭をフル回転させる。
「それは無理な話だな」
「ほう、なんでだ?」
「お前も冒険者なら分かるだろう?自分のステータスは命と同等のもの。そんな簡単に今日であったばっかりの人に教える訳にもいかんのでな。」
昔、レイシーに冒険者のことを聞いていてよかった。あれはレイシーが作った話と言っていたがどうにも生々しくてとても作り話とは思えなかったな…。
それにしても、よくこんなにポンポンと嘘をつけるものだな。人間やれば出来るものだ。
と思い出に浸っているとクラスタの声で呼び覚まされる。
「何を言ってんだ?冒険者のステータスが命と同等なんて何時の話をしているんだよ。今じゃ挨拶と同じようにステータスを見せ合うのが基本だぞ?」
そ、そうだったのか…。レイシーの話が筋を通り過ぎていて信じすぎていたようだ。
相手は多分現役の冒険者だ。さっき憧れとか何とか言ってきたし、子供にとってはヒーロー的な存在なのだろう。そんな奴が嘘をつくはずもない。
しかし、こうなってしまうとどうにも言い逃れが出来そうにないな。そう諦めて自白することにした。
「ふぅむ。我の負けだ。さっきの話は嘘だ。我は少し特殊な方法で自分のスキルを知った。
だが、これはまだ話すことはできない。」
「やっぱりな」
「は?」
こいつは何を言っているんだ?やっぱりってどういうことだ?
ヤトはクラスタに困惑の目を向けていた
「いや、だからな?カマをかけたんだよ。今でも冒険者にとってはステータスは命と同等なもの。挨拶と同じように見せるわけがないだろう?
まぁ、結構大事のようだしな。理由はいつか聞かせてくれよ」
そうクラスタは笑いながら話しかけてきた。
そんなクラスタに我は恥ずかしいような怒りを覚えた。
「なっ!?カマをかけただと!?騙したな!?」
「ハッ!なんとでも言いやがれ!引っかかった方が悪いんだからな」
くっ!嫌なやつだ。そう思い睨んでみるが、笑っているだけで目も合わせやしない。
「うーん、じゃあ取り敢えず俺の家に来いよ。
ステータスの魔法とか教えてやる」
「ふん。誰がお前なんぞの家になんか行くか。それに十五歳までは駄目なんじゃないのか?」
「俺の好奇心を阻むものなら法だって犯してやる!」
「駄目な人間なのだな。
    まぁ、付いてくだけなら構わな……あ、れ?」
そう言い終える前に限界が来たのか倒れるようにしてヤトは睡魔に飲まれていった。
それも仕方ないだろう。初めての森を歩き、シャッテングリズリーに襲われ、変な男と会話をしたのだ。
「おい、大丈夫かっ!?」
クラスタは急に倒れたヤトを心配し揺さぶる。
聞こえてきたのはスーッスーッと聞こえる寝息だけだ。
「こいつ寝たのか…?めんどくせぇ……」
ただ一人、クラスタは呟きながらヤトを抱え家のある方へ歩いていった。
...........................................................................................................
「ふぁ〜あ。んっ、ベット…?」
ヤトは目覚めるとベットの上に寝転がっていた。
気だるい体を無理やり起こして、辺りを見渡す。
ベットは部屋の隅っこにあり、すぐ左側が壁だ。
反対の右側には隅っこに机がくっつけられており、椅子があるだけで特に何も無かった。まるで自分の部屋のような感じだ。
そして体を真っ直ぐにすると見える、扉の方から声が聞こえた。
「お、やっと気がつきやがったか。人の家で二日も眠りこけるなんて大物だな」
扉の前に座っていたのか、立ち上がりそう冗談交じりに笑うのはクラスタだ。
思い出した。確か我はクラスタに家に誘われたのだ。
そう頭の中で思い出す。
「クラスタ殿、家を貸してくれてありがとうございます。それに、出会い頭に大口を叩いしまい申し訳ありません。」
ヤトは目が覚めて思い出す、
年上の人に対して馴れ馴れしくしすぎていた。これは許されることではないだろう。少なくともヤトはそう考えていた。
「オェー!気持ち悪い!それに俺がタメ口で言いって先に言ったんだぞ?もう忘れたのか?」
「いえ、我はしっかりと覚えています。
ですが、あれは社交辞令的なものでしょう?すみません。気づけなくて。」
「あー!!!もう!うぜぇな!?だから敬語は辞めろって!それに『我』と敬語ミスマッチ過ぎなんだよ!『俺』にしろ!!それに口調も一般的なものにしろ!これから一緒に暮らすんだからな!」
「で、ですが…」
「いいから!ほら!」
「わ、わかりま…わかった。」
「名前も呼んで!」
「わかったクラスタさん。」
「クラスタだ!」
「分かったよ、クラスタ。」
それでいい!そう言わんばかりに首を縦に振り頷いていた。解せぬ。
「って、一緒に暮らすってどういう意味です…だ?」
「は?そのまんまだろ?お前どうせこのあと行く宛ないだろ?」
「うぅ…」
図星をつかれた。これが大人というものか…鋭い。
「よし、早速だが無属性魔法の習得に取り掛かるぞ!」
「えぇ!?いま起きたばかりでお腹空いたし、喉乾いたんだけど!」
「我儘なガキだな!」
「ガキじゃない!ヤトだ!」
「あー、はいはいすみませんね!ヤトさん!」
そう子供のような目線で話してくるクラスタにイラッとするが、心地よくも感じる。まるで居場所を見つけたみたいな…そんな感じだ。
「このっ!クラスタ!」
「やっぱりガキはガキだ!届かねぇでやんの!」
「くぅぅぅ!!巨人め!」
ヤトは精一杯叩こうとするが、拳は躱され、蹴りは止められ…手も足も出ない。
だが、そこに怒りはなく笑顔しかなかった。
「んじゃ、飯の用意するからそこに座ってろ」
「ふっ!」
飯の用意をすると言って後ろを向いたクラスタにポケットに入っていた石を投げるが、あっさり取られてしまった。
「まだまだだなー」
そう言いながらクラスタはこちらを向かず手を振り、部屋を出ていった。
「クラスタ…か。案外悪いやつではないのかもしれないな。本当のこと話したら信じてくれるかな。」
ヤトはまだ子供だ。子供のうちは信用なんてすぐにしてしまう。それがたとえ、いい人でも悪い人でも。
子供なんてそんなものだ。
「ふむ。ユニークスキルがなんなのか分からぬが凄いスキルなら我も五つ持ってるぞ」
「えぇっ!?!?」
お前が驚くのか。ヤトはそんなことを思いながら嫌いになれないこの男に気を許しかけていた。
「何でそんなに驚くのだ?そのユニークスキルとやらかどうかは分からぬのだぞ?」
「はぁ?何言ってんだお前?普通自分のスキルを知ることが出来るなんて十五歳からだぞ?
それに魔法を教えられるのだって十五歳からだ。だから『ステータス』の魔法だって使えないから自分で知ることなんて無理なはずなんだぞ?
なんでお前は自分のスキルを知ってるんだ?」
「ふぅむ。」
ドジを踏んだか。そう内心で溜息を吐きながら適当な言葉を考える。
「実はな。我はとある魔術師に拾われたのだ。その時に英才教育だのなんだの言ってステータスの魔法を教えてくれたのだ」
よくもまぁ、こんな嘘をすぐに思いつくものだ。もしや詐欺師の才能があるのではないか?など考える
「ほう?なるほどな。それでか……納得した。」
ふぅ…上手く欺けたかな?これで落ち着ける。ため息を吐きながらヤトはそう考えた。
「なら、今ステータスを見せてはくれないか?」
「は?」
「だから、ステータスを見せてくれと言っているんだ。別に困るものでもないだろう?」
クラスタは分かっているのかニヤニヤとしながら攻めてくる。これは…折れるしかないか?いや、いける。そう考えて、ヤトは頭をフル回転させる。
「それは無理な話だな」
「ほう、なんでだ?」
「お前も冒険者なら分かるだろう?自分のステータスは命と同等のもの。そんな簡単に今日であったばっかりの人に教える訳にもいかんのでな。」
昔、レイシーに冒険者のことを聞いていてよかった。あれはレイシーが作った話と言っていたがどうにも生々しくてとても作り話とは思えなかったな…。
それにしても、よくこんなにポンポンと嘘をつけるものだな。人間やれば出来るものだ。
と思い出に浸っているとクラスタの声で呼び覚まされる。
「何を言ってんだ?冒険者のステータスが命と同等なんて何時の話をしているんだよ。今じゃ挨拶と同じようにステータスを見せ合うのが基本だぞ?」
そ、そうだったのか…。レイシーの話が筋を通り過ぎていて信じすぎていたようだ。
相手は多分現役の冒険者だ。さっき憧れとか何とか言ってきたし、子供にとってはヒーロー的な存在なのだろう。そんな奴が嘘をつくはずもない。
しかし、こうなってしまうとどうにも言い逃れが出来そうにないな。そう諦めて自白することにした。
「ふぅむ。我の負けだ。さっきの話は嘘だ。我は少し特殊な方法で自分のスキルを知った。
だが、これはまだ話すことはできない。」
「やっぱりな」
「は?」
こいつは何を言っているんだ?やっぱりってどういうことだ?
ヤトはクラスタに困惑の目を向けていた
「いや、だからな?カマをかけたんだよ。今でも冒険者にとってはステータスは命と同等なもの。挨拶と同じように見せるわけがないだろう?
まぁ、結構大事のようだしな。理由はいつか聞かせてくれよ」
そうクラスタは笑いながら話しかけてきた。
そんなクラスタに我は恥ずかしいような怒りを覚えた。
「なっ!?カマをかけただと!?騙したな!?」
「ハッ!なんとでも言いやがれ!引っかかった方が悪いんだからな」
くっ!嫌なやつだ。そう思い睨んでみるが、笑っているだけで目も合わせやしない。
「うーん、じゃあ取り敢えず俺の家に来いよ。
ステータスの魔法とか教えてやる」
「ふん。誰がお前なんぞの家になんか行くか。それに十五歳までは駄目なんじゃないのか?」
「俺の好奇心を阻むものなら法だって犯してやる!」
「駄目な人間なのだな。
    まぁ、付いてくだけなら構わな……あ、れ?」
そう言い終える前に限界が来たのか倒れるようにしてヤトは睡魔に飲まれていった。
それも仕方ないだろう。初めての森を歩き、シャッテングリズリーに襲われ、変な男と会話をしたのだ。
「おい、大丈夫かっ!?」
クラスタは急に倒れたヤトを心配し揺さぶる。
聞こえてきたのはスーッスーッと聞こえる寝息だけだ。
「こいつ寝たのか…?めんどくせぇ……」
ただ一人、クラスタは呟きながらヤトを抱え家のある方へ歩いていった。
...........................................................................................................
「ふぁ〜あ。んっ、ベット…?」
ヤトは目覚めるとベットの上に寝転がっていた。
気だるい体を無理やり起こして、辺りを見渡す。
ベットは部屋の隅っこにあり、すぐ左側が壁だ。
反対の右側には隅っこに机がくっつけられており、椅子があるだけで特に何も無かった。まるで自分の部屋のような感じだ。
そして体を真っ直ぐにすると見える、扉の方から声が聞こえた。
「お、やっと気がつきやがったか。人の家で二日も眠りこけるなんて大物だな」
扉の前に座っていたのか、立ち上がりそう冗談交じりに笑うのはクラスタだ。
思い出した。確か我はクラスタに家に誘われたのだ。
そう頭の中で思い出す。
「クラスタ殿、家を貸してくれてありがとうございます。それに、出会い頭に大口を叩いしまい申し訳ありません。」
ヤトは目が覚めて思い出す、
年上の人に対して馴れ馴れしくしすぎていた。これは許されることではないだろう。少なくともヤトはそう考えていた。
「オェー!気持ち悪い!それに俺がタメ口で言いって先に言ったんだぞ?もう忘れたのか?」
「いえ、我はしっかりと覚えています。
ですが、あれは社交辞令的なものでしょう?すみません。気づけなくて。」
「あー!!!もう!うぜぇな!?だから敬語は辞めろって!それに『我』と敬語ミスマッチ過ぎなんだよ!『俺』にしろ!!それに口調も一般的なものにしろ!これから一緒に暮らすんだからな!」
「で、ですが…」
「いいから!ほら!」
「わ、わかりま…わかった。」
「名前も呼んで!」
「わかったクラスタさん。」
「クラスタだ!」
「分かったよ、クラスタ。」
それでいい!そう言わんばかりに首を縦に振り頷いていた。解せぬ。
「って、一緒に暮らすってどういう意味です…だ?」
「は?そのまんまだろ?お前どうせこのあと行く宛ないだろ?」
「うぅ…」
図星をつかれた。これが大人というものか…鋭い。
「よし、早速だが無属性魔法の習得に取り掛かるぞ!」
「えぇ!?いま起きたばかりでお腹空いたし、喉乾いたんだけど!」
「我儘なガキだな!」
「ガキじゃない!ヤトだ!」
「あー、はいはいすみませんね!ヤトさん!」
そう子供のような目線で話してくるクラスタにイラッとするが、心地よくも感じる。まるで居場所を見つけたみたいな…そんな感じだ。
「このっ!クラスタ!」
「やっぱりガキはガキだ!届かねぇでやんの!」
「くぅぅぅ!!巨人め!」
ヤトは精一杯叩こうとするが、拳は躱され、蹴りは止められ…手も足も出ない。
だが、そこに怒りはなく笑顔しかなかった。
「んじゃ、飯の用意するからそこに座ってろ」
「ふっ!」
飯の用意をすると言って後ろを向いたクラスタにポケットに入っていた石を投げるが、あっさり取られてしまった。
「まだまだだなー」
そう言いながらクラスタはこちらを向かず手を振り、部屋を出ていった。
「クラスタ…か。案外悪いやつではないのかもしれないな。本当のこと話したら信じてくれるかな。」
ヤトはまだ子供だ。子供のうちは信用なんてすぐにしてしまう。それがたとえ、いい人でも悪い人でも。
子供なんてそんなものだ。
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