新しい世界で生きるには

パロす

閑話 : 研究者の苦悩。

研究者は悩んでいた。
十体を大部屋に収納しているが、特に
この三体はスキルが突出し過ぎている…と。
だが、だからと言って処分できるスキルではなかった。
何故ならば、その大部屋に収納されている10体全員が研究者達が欲しているスキルを持っていたからだった。
だが、余り仲良くなって欲しくなかった。
しかし、そのスキルが突出している三体は仲良くなってしまった。
これは誤算だった。
スキル分けにし、同じ部屋にしただけだが3人はウマがあってしまったようだ。

もしかしたら、スキルを合わせて、脱出してしまうのではないかと、考えてしまう。研究者達は落ち込んだ。
だが、仲良くなってしまったなら仕方ないと諦めた。仲が良くあろうと、なかろうと。「研究」の時間に呼ぶことが出来ればいいのだから。
脱出なんかさせない。警備を増やす。それだけだ。



「研究」は大部屋から十人ずつ呼び出し、呼び出した子のスキルを研究する時間だ。
研究者の目的とはスキルを子供たちから奪い、誰でもそのスキルを駆使する事を可能にすることだ。
今はスキルを奪っても使い捨てにすることしか出来ず、尚且つ劣化状態になってしまう。


例えば【耐性『毒』】

元は【耐性】という、全てにおいて耐性が付く筈のスキルだったが、劣化してしまったのだ。
この劣化を失くす為、我々は日々スキルを研究している。
ちなみにスキルを閉じ込める物は封筒だ。その封筒の中に入った紙にスキルが融合されている。研究者の中に【スキル融合『物質』】というスキル持ちがいる。そいつがその紙とスキルを融合させた。

その融合されたスキルを手に入れるのは簡単だ。この融合させた紙を生身で触ればすぐ手に入る問題ない。
それならば何故劣化するのか?  それは簡単だ。スキルを紙と融合する時に波長が合わず劣化してしまうのだ。
だから、紙の種類をスキル毎に変えるのだ。
紙の波長の種類を資料に記す。
そして実験体を呼び出してスキルの波長を専用の機械で資料に記す。
波長が合ってると思えば融合させる
それがスキル研究だ。

自分が欲したスキルを確実に手に入れるため、スキルの構造を理解し、それに見合った波長の紙を見つけ出す。

これが簡単にまとめた研究内容だ。
ちなみにスキルを奪った子供は処分している。
研究所の事をバラされたら迷惑だからだ。
仕方の無いことである。
そしてスキルを奪われる子は毎日平均一人〜三人が研究所から処分されている。もちろん大部屋の子以外の子供たちが、だ。

「はぁ、今日も失敗。成功する日は来るのか?」

「そんなこと言ってないでちゃんと手を動かせよ」

「あぁ?  ただの書類を重ねるだけだろ?  
それに紙の波長がスキルと適正な物とか意味わかんねぇんだよ」

「はぁ、まだ言っているのか。だからスキルと紙の波長が似ている物を見つけるそれだけだ。それ以上でも以下でもない。これは決定しているのだ。深く考えるな。」

「はぁぁ、またそれかよ。紙じゃなきゃいけねぇのか?石でも波長が似てるのあるんじゃねぇのか?逆に紙だと難しくないか?」

「うるさい。そんなの知るわけがないだろ。上からそう言われてるんだから従えよ」

「自分の意思も持てないのかお前は。お前は前はそんなんじゃなかっただろうが!  急にどうしたんだよ!」

「私は研究者の頂点のあのお方の威光を直接受けて感じたんだ…それから私は考えを変えた!  あの方に一生付いていくとな!」

「あの方の威光?……そうか!  そうだった!  なぜ今まで気づかなかった!!  お前は、お前達はあの方と直接であってから自分で考えることが出来なくなった!  そうだな!?」

「うるさいぞ!  さっさと仕事に戻れ」

俺はら最近入ったばっかの新入りだった。そして仲良くしてもらい、敬語はやめろと言ってくれたフレンドリー先輩は「あの方」に出会ってから自分で考えることが出来なくなってしまった。
それに気づいたのは今日だった。ちなみに、先輩がその威光とやらを受けたのは一週間位前だ。なぜ気付けなかったのか。俺は知ることができなかった。だが、おかしくなったのは「あの方」を直視したからだと考えていた。同時にこれは俺にはどうしようもできない、と孤独を感じていた。

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